NT倍率急落、REIT急落

今日は、2020年3月19日のいろいろな指標の動きの中で、特徴的なものを見たいと思います。

日経平均とTOPIX

日経平均は2月中旬の23,000円台から、1か月で16,000円台まで7,000円下落しました。しかし、3月19日は日経平均が1%下落しているのに、TOPIXは1%上昇しています。

NT倍率が3月11日から毎日下落して14倍から12倍になりました。

NT倍率

日経平均株価(日経平均)をTOPIX(東証株価指数)で割った倍率です。両者の頭文字をとってNT倍率と呼び、両指数間の相対的な強さを示しています。

例えば 日経平均=16,500円 TOPIX=1,300 とすると

NT倍率= 16,500 ÷ 1,300 = 12.7 倍です。

日経平均は値がさ株の影響大

日経平均は東京証券取引所第一部(東証一部)の上場銘柄の中から、日経新聞が選んだ日本を代表する225銘柄の株価合計を除数で調整した平均価格のため、株価の高い値がさ株(ハイテク関連セクターなど)の影響が強い。

NT倍率上下の要因

一方、TOPIXは東証一部全上場銘柄の時価総額による加重平均で計算されるため、時価総額の大きい銘柄(内需セクターなど)の影響を受けやすいという特徴があります。そのため、ハイテク関連セクターの株価が内需セクターよりも上昇するとNT倍率が上がり、内需セクターの株価がハイテク関連セクターより上昇するとNT倍率が下がります。

ユニクロ、ソフトバンク

現在のNT倍率は12倍台まで下がっていますが、数年前には10倍だったこともありました。その後、日本経済が景気拡大して、ユニクロやソフトバンクなどの銘柄が高くなるとともに、公共株が伸びなかったことが影響してきたようです。しかし、新型コロナウイルスで、公共株が見直されることによって、NT倍率が下落したのではないかと言われています。

私はTOPIX

私は、日経平均のETFは持たず、TOPIXのETFしか持っていません。つい最近までは、日経平均のETFを持っていればよかったと残念がっていましたが、NT倍率が高くなりすぎたので、その時点でTOPIXから日経平均に乗り換えることは良くないと考えていましたし、そのことをこのブログでも書きました。あまりに上がりすぎると、いつかは揺り戻しが来るので、じたばたしない方が良いという典型でしょう。

REITは半分まで下落

次は、東証REITです。1か月前は2,200以上でしたが、2月19日には、約半分の1,150まで下がりました。

東証REIT

東証REITは、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)全銘柄を対象とした時価総額加重平均型の指数です。2003年3月末の時価総額を1000として指数化したもので、東証が算出しています。国内REITの代表的指数で、多くのETF、投資信託がベンチマークとして採用しています。

公示地価

折しも、昨日18日国土交通省が発表した2020年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途平均(全国)が1・4%のプラスと5年連続で上昇しました。札幌など中核4市を除く地方圏も0・1%上昇と28年ぶりにプラスに転換しました。

新型コロナウイルスの影響はまだ

調査時点が1月1日ですから、新型コロナウイルスの影響は全く出ていないデータということになります。リーマンショックの時には、商業地は7年間、住宅地は9年間にわたって下落しました。マイホームを買うのは数年後にした方が良いかも知れません。ただし、このグラフは全国の土地を対象にしたグラフなので、東京などはもう少し早く下落が終了するかもしれません。

東京の住宅地価上昇は2006年から

私は東京23区内に住宅用の土地を購入したのが2004年でしたが、その地域は2006年から上昇が始まったように記憶しています。

オリパラの延期とコスト負担

現在、オリンピック・パラリンピックを予定通り開催できるのかどうかで大騒ぎしていますが、そのことも土地の価格に影響しそうです。予定通り開催するかどうかは、アスリート・スタッフ・観客の健康だけでなく、東京・日本の住民の健康にももちろん影響がありますが、延期などによるコストをだれが負担するかというのも大きな問題です。アメリカのテレビ放映権だけでなく、選手村跡のマンション引き渡し遅延コストなどを負担するのは、最初にあきらめた組織が最も多く負担することになるでしょう。日本政府が最初に延期と言い出したとたんに、IOCはコスト負担額が少なくなるのではないでしょうか。日本政府がテレビ放映権を買い取ると言ったとたんにアメリカのテレビ会社は高額を吹っかけてくるでしょう。日本政府としては、最初にあきらめて手を挙げるわけにはいきません。WHOが延期を勧告して、決定権のあるIOCがそれを受け入れて延期を決定し、日本はそれを受け入れるけど、コスト負担はできるだけ回避するという形になるような気がします。

ヘッジファンドの狙い

日本は経済対策にとてつもないお金がかかるのですから、オリンピック・パラリンピックで余計な負担はしたくありません。日本の国債残高はGDP比で237%で先進国に比べて圧倒的に高い水準です。日本の国民やマスメディアは、新型コロナウイルスで大騒ぎしていますが、世界のヘッジファンドは、この機に乗じて日本円、日本株をいつ、どうやって売り浴びせようかと、虎視眈々と狙っているのではないでしょうか。ちなみに、韓国の国債残高はGDPで30%しかないそうです。韓国は、将来北朝鮮と統一した時に巨額の財政支出が必要なので、財政緊縮を徹底しているのだそうです。また、世界大戦後ハイパーインフレで苦しんだドイツの国債残高はGDP比で62%です。日本が「前例ない経済対策」を行うとなると、新型コロナウイルスと経済問題だけでなく、円売り、日本株売りにも警戒が必要だと思います。