「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」の特徴

2020年1月18日に行われた「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」発表会において、上位に入賞した銘柄の特徴を検証したいと思います。なお、私はこの発表会でプレゼンターをつとめました。

上位独占

『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』シリーズは、三菱UFJ国際投信が業界最低水準の運用コストをめざすこととして、何度も信託報酬率の引き下げを実施してきました。このため、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」でも1位から3位を独占しました。

ニッセイの巻き返し

この贈呈式の会場でニッセイアセットマネジメント株式会社が<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの信託報酬を大幅に引き下げることを発表しました。

野村の信託報酬ゼロ商品

2月25日には、野村證券が信託報酬ゼロのつみたてNISA専用ファンド「野村スリーゼロ先進国株式投信」を3月16日(月)より取扱い開始することを発表しました。

上位入賞銘柄の特徴

このため「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の輝きも、わずか1か月で色あせてきた感じもしますが、ここで「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 」の上位入賞銘柄の特徴について私見を述べたいと思います。

① ETFよりインデックスファンドが多い

ブロガーは、年齢的に若い人が多いという傾向があると思います。中高年齢の人たちが野村證券、大和証券などの対面証券を利用するのと対照的に、若い人たちにはインターネットを自由に使いこなすことのできる人が多いと言えるでしょう。若い人の多くは、数百万、数千万円の貯蓄がなく、これから積み立てなどで貯蓄していくことになるでしょう。ETFを購入するには、ある程度まとまったお金が必要ですが、インデックスファンドの場合には、数万円、数千円など少額から購入することが可能です。このため、ETFよりもインデックスファンドの方が人気があります。

積立用の銘柄が多い

①でも述べたように、若い人は毎月少額を積み立てる傾向にありますから、その用途に合った銘柄が上位に入る傾向があります。ETFは最小取引額が大きいため、あまり積立用に適さないので、なかなか上位には食い込めません。ベスト10に入ったのは、バンガード トータル ワールド ストック ETF(VT)の1銘柄だけです。

③ アクティブファンドよりインデックスファンドが多い

日経新聞、朝日新聞、MXテレビ、日経CNBCテレビ、各種雑誌などはアクティブファンドを報じることが多い現状にあります。その理由は、投資資金が高齢者に偏在していて、彼らは対面証券売り場で勧められるアクティブファンドを買うことが多いのです。また、高齢者は蓄財というよりは老後の楽しみで投資する人が多い傾向にありますから、インデクスファンドには興味をそそられないようです。つまり、趣味でアクティブファンドや個別株式を売買する人は高齢者で、若い人はインデックスファンドに関心があります。自分は、どちらのタイプなのかをよく見極めてから買う銘柄を決めるのが賢明だと思います。

④ 外国株式ファンド

株式と債券を比較すると、株式の方がリターンが高い現状にあります。また、3~5%程度の長期金利があれば、アセット・アロケーションに債券を組み込むことも考えられますが、現在は超低金利の時代ですから、債券に魅力を感じません。

株式については、国内と外国がありますが、アメリカ株式のリターンが高いことから、外国株式に人気があるのが現状です。年金ファンドなどの機関投資家であれば短期・中期の運用実績が重要ですが、個人投資家は主に長期の運用実績が重要ですから、国内株式よりも外国株式にウエートを置くことになります。

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 」の特徴は以上ですが、様々な投資家の特徴に相応しい投資対象は以下のようになっていると考えられます。なお、私は、中高齢、コストに敏感、インターネットが得意です。

投資家のと特徴 ・コストに敏感
・蓄財優先
・コストに鈍感
・楽しみ優先
・若い
・インターネットが得意
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 個別株式
・中高齢
・インターネットが不得意
ETF 個別株式、
新聞・雑誌で上位のアクティブファンド

この表の中で気を付けなければいけないのは、右の列の「コストに鈍感」「楽しみ優先」です。

売買手数料を証券会社に献上しない

個別株式で高い運用実績を上げたという記事が、雑誌やインターネットなどで報じられることがありますが、それはたまたまの偶然だというのが定説になって来ています。個別株式に血道を上げて時間とエネルギーを使い売買手数料を証券会社に献上しないように注意した方がよさそうです。

アクティブファンドの期待リターンは高くない

アクティブファンドは、期待リターンが高くないのに購買・保有のコストが高いので、近づかない方が良いと思います。アクティブファンドを買うのであれば、個別株式を少額、複数銘柄を楽しみ程度にやる方が分別のある投資ではないでしょうか。

SPYと1306のバイ・アンド・ホールド

それぞれのユーザーの特徴、資金残高、投資金額、投資方法に合った銘柄を買うようにした方が良いでしょう。例えばインターネットが不得意で、パソコン操作に自信のない人は、あえて「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 」の銘柄を選ぶ必要はありません。野村證券の対面売り場で、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)と1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))を買って、売らずに10年間持ち続ければよいのです。ネット証券よりも購買手数料は高いのですが、長期保有なら1年当たりのコストは気にならないほどに低下します。