リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査1

金融庁のアンケート調査

2019年、金融庁はリスク性金融商品販売に関し、顧客ロイヤルティを数値化した指標等も活用した顧客アンケート調査を実施しました。

顧客本位の業務運営は実現したか

金融機関経営者等の取組みにより、「顧客本位の業務運営」がどのように金融機関の営業現場での顧客への対応に活かされ、顧客による金融機関の選択に活用されているか等について、顧客の視点から実態の分析・確認を行いました。

【リスク性金融商品とは】

外貨預金、仕組預金、投資信託、貯蓄性保険(終身保険や個人年金保険、養老保険など、貯蓄性を重視した保険)、仕組債、外貨建て債券、株式(含む自社株式、従業員持株)

【投資経験者とは】

上記リスク性金融商品のいずれかを購入したことがある人

合計7500人に調査

今後数回に分けて、その内容を確認します。調査方法は、インターネット調査約6000人(20歳以上)、郵送調査1500人(60歳以上)です。

保有金融資産額

最初に、保有金融資産額の構成比率を見てみましょう。

資産なしから開始

300万円未満の人が28%います。学生は通常この中に入るでしょう。私も、大学を卒業した時は、親に50万円くらいの借金をして、社会人1年目に給料から返済しました。

住宅購入で金融資産はなくなる

20歳代は残業が多かったので、20歳代の終わりには600万円に増えました。その後、財形貯蓄の給与天引きでせっせと貯蓄しました。それに加えて一時払い養老保険等を利用して、50歳になるころには、8,000万円くらいに増えました。50歳で住宅を購入したので、その時には、従業員持株会の株式、確定拠出年金、確定給付年金以外の資産はゼロになりました。なお、住宅ローンを利用せずに、購入しました。

退職金と運用で1億円越え

その後、退職金等を受け取り、ETFで運用した結果、現在は1億円以上の金融資産を保有しています。このグラフのすべてにいたことがあるということになります。

保有金融資産額 構成比率
300万円未満 28%
300~500万円未満 13%
500~1,000万円未満 16%
1,000~2,000万円未満 13%
2,000~3,000万円未満 9%
3,000~5,000万円未満 9%
5,000万円~1億円未満 6%
1億円以上 2%
所有していない 6%

職業別の分類

職業の中で最大は、専業主婦と退職後(リタイア後)です。どちらも1000人を超えています。

私は6種類経験

私の経験した職業は、学生、会社員(上場企業)、会社員(非上場(売上高10億円以上))、パート・アルバイト、退職後(リタイア後)、その他ですから6種類です。

職業 人数 構成比率(%)
経営者、役員 156 2
会社員(上場企業) 535 7
会社員(非上場(売上高10億円以上)) 617 8
会社員(非上場(売上高10億円未満)) 892 12
専門職(弁護士、医師、会計士など) 243 3
自営業・自由業 604 8
公務員 406 5
学生 48 1
専業主婦 1081 14
派遣・契約社員 353 5
パート・アルバイト 890 12
無職 741 10
退職後(リタイア後) 1069 14
その他 124 2

20代から80代以上まで

年齢別にみると、60歳以上が42%を占めていて、多いように思われますが、60歳代、70歳代、80歳以上が元気ですから、おかしくはありません。

年齢 人数 構成比率(%)
20代 540 7
30代 1257 16
40代 1477 19
50代 1214 16
60歳以上 3271 42

投資経験者

投資経験 人数 構成比率 (%)
投資経験者 5159 67
投資未経験者 2600 34

投資経験をした人は全体の3分の1でした。私の友人は、上記リスク性商品の最初にある外貨預金を買いました。トルコリラだったので、表面利率は高かったのですが、為替損が発生して、損をしてしまいました。私に相談すれば、絶対に進めないような商品を、銀行の窓口は積極的に勧めます。銀行はもうかります。顧客は金融リテラシーを身につけないと、金融機関にまるごと持っていかれます。

さて、この人たちはどんな金融機関を利用しているのでしょうか。

メインで利用している金融機関(投資経験者のみ) 人数 構成比率 (%
主要行等 689 13
ネット銀行 473 9
地方銀行・第二地方銀行 815 16
その他預金取扱等金融機関 527 10
証券会社(対面) 873 17
証券会社(ネット) 1362 27
生命保険会社 290 6
その他 119 2

ネット証券がトップ

証券会社(ネット)が1位なのに驚きました。私は60歳代なので、ネット証券には、精神的な距離を感じていましたが、27%の人がメインで利用しているのです。冷静に考えてみれば、20、30、40歳代の人がかなりの割合で使っていれば、ネット証券がトップになっても、おかしくありません。

高齢者もネット証券の時代か?

私もそろそろ、ネット証券をメインに取引することを真剣に考えた方が良いかも知れません。私の場合には、ETFを中心に運用してますし、一度買ったら、ほとんど売ることがない、バイ・アンド・ホールドの主義を貫いていますので、ネット証券の優位性はあまりないと考えています。しかし、私が死んで、金融資産を引き出すときには、野村證券の場合約1%の売買手数料がかかりますから、もし、金融資産が1億円あるとすると、100万円の費用が掛かります。ネット証券であれば、手数料が安いので、100万円ではなく、数千円で済むと思います。一方で、家族全員が、例えばSBI証券をメインにすると、万が一の分散化が図られない恐れもあります。さて、どうしましょうか。

<明日に続く>