リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査7

<昨日の続き>

金融庁のアンケート調査

2019年、金融庁はリスク性金融商品販売に関し、顧客ロイヤルティを数値化した指標等も活用した顧客アンケート調査を実施しました。その内容を確認しています。

郵送調査の対象者(インターネットに馴染みがない60歳以上の個人)とインターネット調査における60歳以上の対象者の回答を比較したところ、郵送調査の回答者の数値は以下の特徴ありました。

3.「取組方針」・「自主的なKPI」を知った手段は、新聞や金融機関の担当者から情報を入手する割合が高い

昨日までは主要証券会社について、投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIを確認しましたが、今日はそのデータを公表した合計値を、金融庁発表資料で確認したいと思います。

共通KPI-(1)運用損益別顧客比率①

マイナスの人が減少

運用損益別顧客比率のボリュームゾーンが、-10%以上0%未満(18年3月末基準)から、0%以上+10%未満(19年3月末基準)へシフトした結果、運用損益0以上顧客比率の全業態平均は65%(226社平均)と、前年比11%増加しました。マイナスだった割合も46%から35%へと減少しました。

共通KPI-(1)運用損益別顧客比率 ②

投資信託の運用損益別顧客比率(業態別、18年3月末・19年3月末基準)

(注1)上段:基準日18年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(134先)の公表データを集計(単純平均)
下段:基準日19年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(226先)の公表データを集計(単純平均)
(注2)各業態の右端のパーセンテージは、運用損益率0%以上の顧客割合(小数点以下四捨五入)
(注3)各業態の右側の( )内数値は、公表先数
(注4)協同金融にJAバンクを含む

直販投信の成績が良いけど・・・

運用損益の成績が良いのは直販の投信会社で、もっとも成績の悪いのは対面証券会社でした。しかし、ネット証券のインデックスファンドを新たに作れば、それが最も良い成績になるでしょう。

ファンドラップの運用損益別顧客比率(業態別、 18年3月末・19年3月末基準)

(注1)上段:基準日18年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(15先)の公表データを集計(単純平均)
下段:基準日19年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(15先)の公表データを集計(単純平均)
(注2)各業態の右端のパーセンテージは、運用損益率0%以上の顧客割合(小数点以下四捨五入)
(注3)各業態の右側の( )内数値は、公表先数

地域銀行、IFA

最も成績の良かったのは地域銀行、悪かったのはIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)でした。なお、ファンドラップは商品として保有している会社が少ないので、傾向を見るには信頼性が乏しいと思います。

共通KPI-(2)投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン/リスク・リターン

業態別コスト・リターン

業態別の傾向としては、ネット系証券や直販の投信会社では、低コスト・高リスクで高リターンを、協同金融では、低コスト・低リスクで全業態平均的なリターンを確保。

各販売会社における投資信託のコスト・リターン
(18年3月末・19年3月末基準)

(注1)上段:基準日18年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(135先)の公表データを集計(単純平均)
下段:基準日19年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(222先)の公表データを集計(単純平均)
(注2)主要行等には、主要メガ系信託を含み、協同金融にJAバンクを含む。また、その他はIFA、保険会社等
(注3)コストは、販売手数料率(税込)の1/5と信託報酬率(税込)の合計値
リターンは、過去5年間のトータルリターン(年率換算)

証券はネットと対面が両極端

業態別の傾向としては、ネット系証券や直販の投信会社では、低コスト・高リスクで高リターンを、協同金融では、低コスト・低リスクで全業態平均的なリターンを確保。コストの高いのは対面証券会社。

各販売会社における投資信託のリスク・リターン
(18年3月末・19年3月末基準)

(注1)上段:基準日18年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(134先)の公表データを集計(単純平均)
下段:基準日19年3月末。19年6月末までに金融庁に報告があった金融事業者(222先)の公表データを集計(単純平均)
(注2)主要行等には、主要メガ系信託を含み、協同金融にJAバンクを含む。また、その他はIFA、保険会社等
(注3)リスクは、過去5年間の月次リターンの標準偏差(年率換算)
リターンは、過去5年間のトータルリターン(年率換算)
(注4)図の点線は回帰直線

対面証券はリスクも高い

共通KPI-(1) 運用損益別顧客比率(投資信託-①)

(注1)基準日は19年3月末
(注2)19年6月末までに、金融庁に報告があった主要行・地域銀行(106先)の公表データを集計
(注3)各社の右端のパーセンテージは、運用損益率0%以上の顧客割合(小数点以下四捨五入)

成績上位10社は以下の通りです。

埼玉りそな銀行
SMBC信託銀行
ゆうちょ銀行
東邦銀行
南日本銀行
オリックス銀行
北九州銀行
ソニー銀行
スルガ銀行
山口銀行

成績下位10社は以下の通りです。

あおぞら銀行
長崎銀行
十八銀行
熊本銀行
北國銀行
横浜銀行
千葉興業銀行
親和銀行
香川銀行
大正銀行

運用損益別顧客比率(投資信託)対面証券
(運用損益率0%以上の顧客割合が高い順)は以下の通りです。

池田泉州TT証券
七十七証券
武甲証券
とうほう証券
ぐんぎん証券
東武証券
第四証券
ニュース証券
三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券
四国アライアンス証券
播陽証券
FFG証券
ワイエム証券
西日本シティTT証券
八十二証券
水戸証券
ひろぎん証券
九州FG証券
岡三証券
とちぎんTT証券
ごうぎん証券
光証券
内藤証券
浜銀TT証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
極東証券
岡三にいがた証券
東洋証券
丸八証券
エース証券
ちばぎん証券
百五証券
いちよし証券
めぶき証券
静銀ティーエム証券
長野證券
益茂証券
東海東京証券
永和証券
アーク証券
大和証券
むさし証券
SMBC日興証券
中銀証券
木村証券
証券ジャパン
中原証券
PWM日本証券
丸三証券
フィデリティ証券
大万証券