金の話 2020年9月

文化放送・大人ファンクラブのゲスト森田隆大

大垣尚司(金融・住宅のプロフェッショナル、青山学院大学教授・JTI代表理事)と、残間里江子(団塊世代プロデューサー)の文化放送・大人ファンクラブで金(きん)の話をしていましたので、勉強しましょう。今日のゲストは、森田隆大(ゴールド・ゴールド・カウンシル(WGC)顧問、森田アソシエイツ代表、埼玉学園大学大学院客員教授、NPOフェアレーティング代表理事)です。

2011年のピークは資金逃避

金は今最高値を更新していますが、その前のピークは2011年でした。それを作ったのはリーマンショックで、マーケットが荒れたので、資金を逃避させようとしてピークができました。今回は急な出来事というよりは、コロナも有って、投資環境が不安定になって、いろんな投資リスクを同時にヘッジできる金に、投資家が注目したことがけん引したと考えられます。

世界は金に注目

ゴールド・ゴールド・カウンシルは正しい情報を提供する機関です。森田氏が、この仕事を引き受けた時は、こんな怪しい仕事を引き受けるのは信じられないと言われた時代でしたが、今や金は注目されています。でも、日本の金需要は、去年も今年の上半期もマイナスなんです。世界では、金に注目が集まっているんですけど、日本人は金価格が上がると売りに行くんです。

金の業者が家を訪問

今は金が高くなったので、家に有る金を売りに行くと、結構金メッキが多いそうです。今はコロナ感染が怖いので、取引業者のところに売りに行くのではなく、業者の方からマスクして家に来るそうです。金メッキか本物の金かは、現在は機械で判定できます。昔は試金石は那智黒(なちぐろ、黒い碁石)でした。

金のETFは金現物と交換可能

普通の人は、金塊を買うことはできないので、金のETFが伸びています。金のETFは裏付けとして金を買っていて、一定の条件を満たせば金と引き換えてくれます。普通の株の取引と同じで数千円から買えます。普通に上場していますので、ほとんどの証券会社で口座を通して売り買いできます。金のETFを上場してから10年近くたっていますが、毎年伸びていて、最近特に伸びています。ETFは金価格と同じように価格が動きます。

金は宅急便で配達

面白い話として、自分のETFを金に換える時に、宅急便で家まで来るんです。それほど気楽に扱えます。もちろん保険に入っています。特にコロナの時代は、実際に買いに行ったり、売りに行ったりするのは難しい。今年上半期の金貨、地金の売買の様子を見ると、先進国は3桁のプラスで、それ以外は2桁のマイナスです。先進国はネットで取引するインフラがあるから、取引したいときはすぐに買えます。それ以外の国だと物理的に行けないので買えないからです。従って、ETFというのは現代に合った商品と言えるでしょう。

金を仏像に貼り付ける

ミャンマーでは、少しお金が貯まると、貧乏なくせして金を買うんです。中国の人も買うけど、少し違います。仏像まで持って行くと、するするすると上から籠が下りてきて、そこに金を入れる。その籠がまた、するするすると上まで行って、仏像に貼ってくれるのです。つまり、買った金を仏像に貼るのです。寄付です。

自国通貨に不安を持つと金を購入

中国は世界最大の金の需要国です。インド、トルコも需要は高い。好きな女人人には、ダイヤじゃなくて金をプレゼントします。日本人はそんな感覚はないけど、途上国の人は、自国通貨がドルに対して大きく変動します。価値が減ることをヘッジするために、金を買うことが多い。金は国際価格でドルで決まり、それにその国の為替レートを掛ければ、現地通貨になります。現地通貨の価値が落ちれば、現地通貨ベースの価値が上がるので、それで資産保全をしていることが結構多いのです。

金ETFは守りの資産

日本もこれからは、国がどうなるかどうかは分かりませんが、コロナみたいなことがあると、大儲かりするかどうかは分からないけれど、数千円単位で買えるなら、ETFで少しずつ買うのも一つの手かもしれませんね。守りの資産として一部持つのも今の時代には有っているかもしれません。

日本の金ETFは1000~2000億円、世界は26兆円

日本のETFはあまり知られておらず、全部足しても1000~2000億円しかありません。全世界で金のETFは26兆円です。昔は田中貴金属があっても、お店が多くなかったけど、今のETFはどこでも買えますね。

ウォーレン・バフェットが金の鉱山株購入

最近では、世界で一番有名な投資家のウォーレン・バフェットが、金の鉱山株を初めて買ったんです。これは経済にとっては良いニュースかどうかは分からないのですが、今まで彼は、「金は何も生まない。生産的でない」と言っていて、金は一切持たなかった。どちらかというと、アンチ・ゴールドだったのです。その代わりに売ったのは、ゴールドマン・サックスの株です。そうすると、経済の方向がおかしくなっていくと考えているということが分かります。つまり、今まで株でもうけていた最頂点の会社の株を売って、何にも生産活動には関与しないけど、ただ価値がある金を買っているのは、なかなか印象的です。

バフェットは持ち続ける

マネーゲームの終焉が来て、この時期においては金を持つ理由を見つけたんでしょうね。一方で、バフェットさんは日本の5大商社を買ったんですね。この人は買ったら、ずーと持つおじいさんです。