ソーシャル・グッド、インパクト・インヴェストメンツ、ESGs、SDGへの投資

カタカナ語、英語が並んでいますが、まずはその意味から確認しましょう。

① ソーシャル・グッド Social Good

地球環境や地域コミュニティなどの「社会」に対して良いインパクトを与える活動や製品、サービスの総称を指します。 古くからあるソーシャルグッドの代表例としては水や空気の浄化、街の緑化、教育やヘルスケアなどが挙げられます。

2語か1語か

これがソーシャル・グッドの一般的な説明ですが、それだけでは終わりません。SocialGoodという暗号資産があります。この単語をよく見ると、SocialとGoodという2語に分かれておらず、SocialGoodの一語です。更には、この暗号資産を出しているSocial Good Foundation株式会社は、SocialとGoodという2語に分かれています。複雑ですね。

暗号資産で社会貢献

この会社は、「買物をするだけで暗号資産が貯まり、社会貢献ができるスマートフォンサービス」を世界167か国(日本を除く)に提供しています。暗号資産ポイント還元事業者としてユーザー数は、2020年7月末時点において、9万人で世界第1位です。アマゾン、イーベイ、アリババ、ナイキ等でユーザーが買い物をするたびに、購入金額の最大20%が独自発行の暗号資産(名称、略称SG)でユーザーに還元されます。

② インパクト・インヴェストメンツ Impact investments

「インパクト投資」は、社会的事業を行う企業、組織、ファンドへ投資することによって、社会的成果と財務的リターンの両立を目指すものです。また、新興国や発展途上国においてもインパクト投資は可能であり、そのリターンの比率は、状況によって異なります。

社会的事業の効果を数値化

インパクト投資においては、事業によって生み出された社会的成果や便益を、指標を用いて測ります。社会的事業の効果が数値化され、可視化されることが、インパクト投資の持つ大きな特徴の一つと言えます。

定義が定まらず

しかしながら、G8インパクト投資タスクフォース会合においても、「インパクト投資」の定義をめぐる議論は収束しておらず、何が「インパクト投資」を指すかは国や組織によって異なっています。

③ ESG

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものです。今日、企業の長期的な成長のためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的に広まってきています。一方、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクを抱えた企業であり、長期的な成長ができない企業だということを意味します。ESGの観点は、企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきています。

④ SDGs

SDGsは、Sustainable Development Goalsの略で日本語では「持続可能な開発目標」を意味します。国連が2015年にまとめた持続可能な開発目標のことで、飢餓の根絶や地球温暖化対策など、2030年までに世界が達成すべき目標を17の大きな目標として取り上げています。

これらへの投資は、将来的に利益につながるのでしょうか。2020年8月28日のニューヨーク・タイムズの記事を参考に考えてみましょう。

ソーシャル・グッドへの投資は最終的にもうかる

インパクト・インベストメントは、コロナウイルス危機下において、伝統的な投資寄りを上回る成績を残しています。このことは、変化を生み出そうとする裕福な投資家にとって、転機かも知れません。

インパクト・インベストメンツは、社会的善を促進し、社会的悪を妨げることですが、コロナウイルス・パンデミックの間は、伝統的投資対象より実績が上回りました。そしてそのリターンが、ポートフォリオ変更を躊躇している投資家の注目を引いています。

インパクト・インベスティングは三つの分野に集中しています。E.S.Gとして知られる、環境Enviromental、社会Social、ガバナンスGovernaceです。リターンは様々な上場投資信託を通して確認することができます。例えばS&P500テクノロジーETFは、今年25%上昇していますが、石油・ガス株式を含むS&P500エネルギーETFは34%下落しています。

RBCキャピタル・マーケッツの研究によれば、全体として8月の第1週までのところで、ESGアクティブ・ファンドは64%がベンチマークを上回っていましたが、伝統的なファンドは49%でした。

私募市場でも同様の実績となっています。バイタル・ファームズは2007年テキサス州オースチンで設立され、牧草で育った鶏の卵を販売しています。

「数年前、ベンチャー・キャピタリストは養鶏場で困惑していた」と、この農場で最初の民間投資家の一つであるSJFベンチャーズ業務執行取締役のデイブ・カークパトリックは言います。しかし、バイタル・ファームズは、7月末に市場公開するまでは、私募市場で成長に10億ドルの価値だった。

今、他の投資家は持続可能で利益の出る農業について聞きに来るとカークパトリック氏は言います。彼は、インパクト・キャピタル・マネージャーズの創設者でもあるが、そこは、インパクト・インベスティングが、より高いリターンを得る方法になり得ることを示そうとする業界団体です。

コロナウイルス危機は、富裕投資家にとって転機あるかもしれません。良いことをし、しっかりしたリターンを出そうとする投資のためのマーケットがあり、それを拡大する重要な顧客層が富裕投資家であるとアドバイザーたちは見ていました。

「世界でうまくいかないことがあるときには、そのことが必ずインパクト・インベスティングを推進することになる。」と、DBLパートナーズの共同創設者で業務執行社員のナンシーEPファンドは言います。「過去何年にもわたってやって来たのに、うまくいかないことがあるものだわ。」

その結果戦略転換を引き起こし「インパクト・インベスティングに群がり、今、リターンが生まれる。」と彼女は言います。

投資資金がリターンを生み始めたのです。モーニングスターのレポートによると、今年の前半で、209億ドルがインパクト・ファンドに流れ込み、昨年1年間の全式に少し足りない金額です。

インパクト・インベストメントをするためには、個人はリターンをあきらめる必要がある、という主張(これはささやかなリターンとして知られる、異論の多い考えだ)を止める時だと考えるアドバイザーを、このデータは元気づける。

「インパクト・ポートフォリオは伝統的ポートフォリオを大きく上回る成績をおさめた。」とてぃえどマン・アドバイザーズのインパクト・インベスティングの共同経営者ブラッド・ハリソンは言います。「過去1年間、私たちがパンデミックに取り組んできた間、成績は上昇した。しかし、すべての投資物語と同様に、これにも複雑な話がある。」

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