50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 20

<昨日からの続き>

10年で110%、40%の評価益

昨日まで、50歳以上の人のためのポートフォリオを2種類ご紹介しました。この2種類は、私と、連れ合いが実際に10年程度かけて実践してきたものをシンプルな形に改良したもので、それぞれ110%、40%の評価益が出ています。

野村、大和で立派に運用可能

最近の投資方法はSBI証券や楽天証券などのネット証券を利用したものが増えていますが、そこまでしなくても、野村証券や大和証券のような、普通の証券会社でも十分できる方法です。一言でいえば、内外のETFに投資する方法なので、ネット証券が得意とするインデックスファンドを利用する必要がありません。

実際の資産運用に当たっては、いくつか気を付けることがありますので、それを説明します。

① 10年間は売らない(バイ・アンド・ホールド、Buy and Hold、買いっ放し)
② リバランスしない
③ 欲張り過ぎない。ETF以外は買わない
④ 保険を見直す
⑤ 証券会社、銀行の営業員のいうことは聞かない

① 10年間は売らない(バイ・アンド・ホールド、Buy and Hold、買いっ放し)

利益確定しない、損切しない

一番大事なことは、ETFを買ったら売らないことです。まず10年間はそのままにしておきましょう。株式に投資する人やメディアが良く言う言葉に、利益確定とか、損切という言葉があります。しかし、利益を確定したら、そのお金をどうするのでしょうか。再び投資するのであれば、証券会社に手数料を支払い、政府には税金を支払うだけ損をします。もし、株価が高い時に売れて、安くなったら買い戻すということをできると思っていたら、それは完全な勘違い、誤りです。それができるのであれば、世界中の人が投資をして、全員が金持ちになります。

10年経ってマイナスだったら?

何もしないで、放っておくことが、最も賢い投資方法です。もし、10年経ってもリターンがマイナスならどうすればよいでしょうか。それはもう10年待つことです。それでもマイナスならどうしましょうか。もう10年待ちましょう。それでもだめなら、そのまま、子供に相続させて「10年持ち続けろ。」と言いましょう。

リーマンショックを乗り越えたSPY

リーマンショックの時は、株価が半分以下になりましたが、5年で回復しました。

2007年に156ドルだったSPYは、2009年には半分以下の76に下落しましたが現在は382ドルまで上昇しました。

大恐慌を乗り越えたアメリカ株

1929年の大恐慌の時は、株価が回復したのは1955年ですから、26年を要しました。しかし、ピークの時に買ったのではなく、過去数年間にわたって分散投資したり、その後も配当があっとことを考えれば、10数年で回復したと思われます。

200年で100万倍になったアメリカ株式

アメリカの株式の価格上昇を200年以上の長期で見ると下のグラフのとおりです。縦軸は対数目盛ですから。200年で100万倍に上昇したことが分かります。

② リバランスしない

リバランス

リバランスとは、ポートフォリオのとおり株式を購入した後、相場変動などで変化した投資配分比率を見直し、値上がりした資産・銘柄を売り、値下がりをした資産・銘柄を買い増す、などによって、ポートフォリオの構成を最初と同じ比率に修正していく手法のことです。

ETFにリバランスは不要

私は、リバランスをしません。その理由は個別株式であれば、極端に価格が上昇した場合、それを売却する理由はあるかもしれませんが、ETFの場合には必要ないと思うからです。アメリカの比重が大きくなるのは、アメリカの経済が発展するからで、それを減らす合理的な理由が見つかりません。

リバランスには手数料がかかる

リバランスは、株式を売り買いすることですから、証券会社に手数料を支払わなければなりません。

ほったらかしの人の成績が最良

フィデリティ証券が、どんな投資方法をしていた人が最も良い成績をおさめたかを調査したことがありました。ポートフォリオを忘れてほったらかしにしたグループが、もっとも良い成績だったそうです。

③ 欲張り過ぎない。ETF以外は買わない

ETF以外には目をくれない

株価が下落すると売りたくなり、上昇すると買いたくなるものです。また、株で損をすると、取り戻したくもなります。そうした場合、少数の個別株式で再起を期したくなる場合も有ります。他の人が個別株式で儲かったという話を聞くと、自分もそうなりたいと思い、個別株式やレバレッジを使ったETFを買いたくなる人もいます。

12年で2倍になれば十分満足

しかし欲張らないで、長期投資することが長い目で見ると最も良い方法だと思います。年率6%のリターンがあれば十分ではないでしょうか。年率6%なら、72の法則で12年後に2倍になります。

④ 保険を見直す

子供が成長するまでの団体定期保険以外は不要

子供が社会人になるまでは、稼ぎ頭である親が病気になったり死亡すると、子供に十分な教育を受けさせられません。生活することすら厳しくなります。したがって、多くの人は50歳代半ばまでは生命保険に入ることが必要でしょう。しかし、医療保険やがん保険などは必要ないそうです。なぜなら、生命保険会社の部長さんたちは、会社の福利厚生で扱っている団体定期保険以外は入らないそうです。それも、子供が育ってしまえば、必要がなくなります。私も55歳で、ほとんどの保険をやめました。そして今まで保険料で支払っていたお金は、投資に回すことができました。

⑤ 証券会社、銀行の営業員のいうことは聞かない

お客が損をする商品ばかり

はっきり言って、証券会社や銀行の勧める商品は、お客が損をして、金融機関が儲かるものばかりです。特に、新聞・雑誌、インターネット広告を出している商品に手を出さないことです。具体的には、ファンドラップ、アクティブファンド、外貨預金、銀行で販売する保険などが該当します。

日本最大、世界最大のETFが最高

そんなものを買うよりも、日本最大のETFである1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))や、世界最大のETFであるSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)やVOO、VTを買って、何もしなければ、金融資産は10年後に増えているでしょう。これらの商品は、コストが安く、透明性の高い商品です。

ETFしか買わないと思わせる

営業員がしつこく電話で営業したり、あるいは自宅まで営業に来ることがありますが、すべて断りましょう。そして、この客は、ETFしか買わないから営業しても無駄だと思わせることです。

<明日は全体のまとめです>