50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 要約版

50代からの無理をしない投資により10年で2倍に

私は47歳で確定拠出年金、57歳で国内株式ETF、59歳で外国株式ETFを始め、現在の評価額は2億円を超え、元金の2倍以上になりました。

小銘柄数の個別株式投資はギャンブル

1億、2億の金融資産を持っている人の場合、個別株式の売買で増やした人が多いのですが、それはギャンブルであって、成功した人の反対側には数多く損失を被った人がいます。しかし、私が実際に運用している方法は、そういうギャンブル的資産運用ではなく、だれでもできる方法です。

原資はすべて給与、賞与、退職金

また、私の投資資金には、相続財産は入っておらず、全部自分で稼いだ、給与、賞与、退職金です。個別株式は、従業員持ち株会で積み立てた株式を一時期保有していましたが、全部売却してETFに変えましたので、現在は全く保有していません。

50歳代、60歳代のためのシンプルな方法

私のブログでは、この知識経験を詳しく述べていますが、どのように投資して良いか分からない50歳代、60歳代(70歳代以上の方もどうぞ)の方々のために、できるだけシンプルな投資方法を説明したいと思います。

野村証券、大和証券でもできる

最近はネット証券ばやりで、野村證券や大和証券では賢い投資術ができないと思う人もいますが、それは間違いです。現に私は野村證券しか使っていません。

株式ETFは野村證券や大和証券で手軽に買えます。(外国株式の一部は買えない証券会社もあります。)以下の表は代表的な株式ETFです。

国内株式ETF

コード 名称 純資産総額(億円) 信託報酬
1306 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投資信託 146,084 0.088%
1308 上場インデックスファンドTOPIX 67,613 0.088%
1348 MAXIS トピックス上場投信 20,187 0.078%
1321 (NEXT FUNDS)日経225連動型上場投信 77,340 0.180%

外国株式ETF

コード 名称 純資産総額(億円) 信託報酬
SPY SPDR S&P 500 343,373 0.0945%
VOO バンガード・S&P 500 ETF 186,029 0.03%
VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF 18,007 0.08%

ポートフォリオ 1

そこで、国内債券、外国債券に投資せずに、国内株式と外国株式に半分ずつ投資するポートフォリオを考えてみましょう。それが下の図、個人のポートフォリオ 1 です。

投資の運用評価は常に中間評価

いたってシンプルで、これで大丈夫なのかと思われる人もいるでしょう。しかし、何が良いかはやってみないと分からないものです。しかも、投資の運用評価は常にある一時点の中間評価でしかありません。つまり、5年後には良かったと思っても、10年後に同じ評価になるかどうかは分からないものです。

10年後に期待

私は、投資は人生と同じで、常に中間評価しかできないと思っています。そして、株に関しては、1週間後、1か月後、1年後に上がっているかどうかは分からないのです。ただし、10年後には上がっている確率はかなり高いと思います。そして20年後はさらに高くなっているというのが、今までの歴史です。

連れ合いのポートフォリオ

実は、このポートフォリオに近い形で投資している人がいます。それは、私の連れ合いです。そのポートフォリオは下図のとおりです。

連れ合いの評価益は40%増

右側の1306の特定口座とNISAを合計すると44%になります。外国株式は、VOO、SPY、つみたてNISAで合計が54%です。少し外国株式の方が多いですが、内外に半分ずつと言えるかもしれません。実は、VOOやSPYの株価上昇が激しかったので、もともと5割ずつだったものが6割対4割になってしまったとも言えます。この結果、連れ合いの評価益は40%を超えています。連れ合いが投資を始めたのは14年前ですが、少しずつ投資額を増やしていったので、4割程度の運用益しかありませんが、初めから全額投資していれば、元金の2倍程度になっていたと思います。

そこまで欲張らずとも、様子を見ながら少しずつ投資しても4割増になると思って下さい。あくせくせず、のんびりやるのも、一つの考え方です。

ポートフォリオ 2

日本株式ETF25%、外国株式ETF75%

国内株式と外国株式を半分ずつ持つ方法もありますが、資産を分散化させるためには、国内株式の割合を25%に落として、外国株式を75%まで増やすパターンも有力です。VTという世界の株式市場に分散投資するETFの場合、日本の比率は7.2%ですが、25%でもそれより高くなっています。その理由は、日本に住む日本人としては、円を使う可能性が高く、情報も良くとれる日本株式にウエイトを置いて投資することは、自然だからです。

外国株式の地域分散

外国株式を75%まで高めた場合、すべてをアメリカ株式にする考え方と、世界株式に分散させる考え方の二通りあると思います。アメリカ株式はリーマンショックの後、特にGAFAM(GAFAMとは、IT企業のGoogle、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの頭文字の略です。)とテスラの株価上昇が激しく、現在は、多少バブル気味とも言えます。

アメリカ株はバブルか?

しかし、本当にバブルなのか、将来発生している利益を早めに反映しているだけで、2~3年後に利益が追い付いてくるかもしれません。例えば5年前にも、株価が上昇し、このような高い株価が続くわけはないので用心したほうが良い、という見方がアメリカ経済評論家の中にはありました。しかし、アメリカ企業の成長が株価に追い付いて、妥当な株価とされたこともあります。

インド、東南アジアの経済成長

アメリカ以外で注目すべきなのは、新興国の経済成長です。特に、インド、東南アジアは今後かなりのハイペースで成長すると見込まれていますので、その地域の株式にも投資しておきたいという気持ちはあります。ところが、過去10年以上新興国株式ETFであるVWOは株価が上昇していません。これをチャンスと見るか、魅力がないと見るかは、難しい判断です。ただし、それ以外に地域分散という考え方に基づいて、アメリカ以外の世界の国々に投資しておきたいという考え方を、私はとりました。

私の現在のポートフォリオは以下の図のとおりです。

  • 日本株式ETF:1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF)) 26%
  • アメリカ株式ETF:SPY  38%、VOO 5%、野村つみたて外国株投信とDCのうちアメリカ株 5%、合計48%
  • 日米以外の株式ETF:VGK(ヨーロッパ)10%、VWO(新興国)4%、ASX(オーストラリア)2%、合計16%

新興国、金を検討中

ヨーロッパ、新興国の割合は、VTの地域別割合を参考にしていますが、十分に買えていない状態です。この2地域の株式ETFは株価が上昇しないので、あまり買いたいという気持ちになかなか慣れません。一方で、余裕資金があれば、金(ゴールド)のETFにも投資してみたいとも思っています。

具体的ETF

今まで、日本株式:外国株式の比率を、50%50%とするパターンと、25%75%とにするパターンを例示しましたが、この二つのパターンに具体的ETFを当てはめてみましょう。

ポートフォリオ A

一つ目がポートフォリオAで、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))50%、VOO(バンガード社のS&P500)50%です。VOOは野村証券では買えますが、大和証券では買えないので、代わりにSPYが代替案になるでしょう。

日本株式ETFは1306

日本株式ETFの有力候補としては、TOPIX型と日経平均型がありますが、

  • TOPIXの方が市場の実態をよく表していること
  • 日経平均の信託報酬が高いこと

からTOPIX型を選択しました。その中でも1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

少額ならVOOの代わりに1557もある

ここで、購入銘柄を少し工夫してみます。1306は東京証券取引所に上場しているETFなので、一般の個別株式と同様に、売り買いができます。一方、VOOは、アメリカのニューヨークにあるNYSE Arcaに上場されているので、夜間取引になります。具体的には、あらかじめ証券会社に購入を申し込んで、翌日以降に購入することになります。つまり、時間差が少しあって、ひと手間かける必要があります。そこでもっと簡単な方法で買うようにします。VOOと同じくアメリカのS&P500に投資するETFの中で、世界最大のものはSPYですが、このETFは1557というコードで東京証券取引所に上場しているので、この1557を購入すればよいのです。

VOOと1306は5年かけて分散投資

現金・預金 300万円
個人向け変動10年国債 700万円
1年目:VOO 100万円
1年目:1306 100万円
2年目:VOO 100万円
2年目:1306 100万円
3年目:VOO 100万円
3年目:1306 100万円
4年目:VOO 100万円
4年目:1306 100万円
5年目:VOO 100万円
5年目:1306 100万円

ポートフォリオ B

日本株式ETF25%、外国株式ETF75%

もう一つのパターンは、日本株式ETFの割合を25%に下げたものです。

日本株式ETFは1306

選択した銘柄は、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))です。1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

外国株式ETFはVT

外国株式はVTを選びました。外国株式が50%であれば、SPYやVOOを選択してアメリカ一国に投資しても良いのですが、75%まで増えると、さすがにアメリカ一国に集中しすぎてしまい、怖い気がします。そこで、世界に投資するVTを選択しました。VTの中でアメリカの株式が占める割合は56%ですから、これに75%をかけると42%になります。つまり全体のポートフォリオの中でアメリカには42%投資することになります。程よい分散投資と言えるかもしれません。

バンガード社のETFは低コスト

私がこのポートフォリオで選んだVTやVOOは、バンガード社の商品です。バンガード社は、ブラックロックに次ぐ、世界2位の投資信託および上場投資信託(ETF)の提供者で、投資信託とETF以外にも証券サービス、ファイナンシャル・アドバイス・サービス、教育資金サービス、など数々のサービスを提供しています。

ジョン・ボーグル

創業者のジョン・ボーグル(1929-2019)は、世界初の個人投資家向けのインデックス・ファンドを設定した人物であり、幅広く投資家に低コストで投資ができる機会を与えた人物としても知られています。「インデックス・ファンドの父」とも呼ばれている。バンガードは上場企業ではなく第三者株主が存在しないため、ファンドの保有者がバンガードのファンドであり、バンガードのファンドに投資をする投資家がバンガードの保有者になる仕組みで経営されています。この仕組みにより、ファンドの利益は第三者の株主等ではなく、バンガードのファンドに投資をする投資家に還元されることになっています。日本の生命保険会社も同様の趣旨の資本構造になっていますが、残念ながら、利益は社員の給与や、会社の不動産になってしまいました。

基本的にポートフォリオAと同じです。

現金・預金 300万円
個人向け変動10年国債 700万円
1年目:VT 100万円
1年目:VT 100万円
2年目:1306 100万円
2年目:VT 100万円
3年目:VT 100万円
3年目:1306 100万円
4年目:VT 100万円
4年目:VT 100万円
5年目:VT 100万円
5年目:1306・VT(50万円ずつか、どちらか一つだけ100万円) 100万円

以上が、50歳以上の人が投資する場合のポートフォリオです。

実際の資産運用に当たっては、いくつか気を付けることがありますが、それは以下の通りです。

① 10年間は売らない(バイ・アンド・ホールド、Buy and Hold、買いっ放し)
② リバランスしない
③ 欲張り過ぎない。ETF以外は買わない
④ 保険を見直す
⑤ 証券会社、銀行の営業員のいうことは聞かない

最後に一言でまとめると、「株式ETFを買って、10年間そのままにする」を実践することです。

<終わり>