老後資産の留意点 2

<昨日の続き>

今、知って準備しなければいけない5大マネー・リスク

2.インフレリスクを認識しない(途中から)

100万ドルのポートフォリオから毎年4%、つまり4万ドルを引き出すプランを考えましょう。「その4万ドルは、1年目と10年後の購買力に違いがあります」とブローンは言います。上記のように、このリスクを打ち消す方法の一つが、低めの引き出し率で始め、徐々に増やすのです。また、株価が低迷する年に引き出しを減らしたり止めたりできるように、いくらかの現金を取っておくのです。

債券やほかの一定収入を得られる投資は、価格が安定する傾向があるので、老後生活者のポートフォリオの中核になっています。ところがこれらの資産の多くが、現在危うい状態になっています。もしインフレ予想がもっと語られるようになると、債券価格は下落します。なるほど、債券は株式ほど下落することはまれですが、株式は下落を回復する力があります。このような訳で、複合的なポートフォリオでは株式と債券の両方を持つという知恵を働かせているのです。

3.医療費用を過小評価しない

医療費は退職者が気をつけなければいけない重要なインフレ要素です。インフレそれ自体に加え、多くの人が予期しない医療支出の準備をしていません。

例えば、「ある時点で、驚くほど高額の介護が必要になるかもしれません」とブローンは言います。必ずしも一度に何年も続くかわかりませんが、10人中7人が、人生のある時点でそのような補助が必要になるかもしれません。とにかく、このような不測の事態のための準備をする人はほとんどいない、彼は言います。

医療費用は不確定です。「医療費の負担は、老後計画の最も重要だが予想できないものの一つです」と、フィデリティ職場コンサルティング部門のホープ・マニオン上級副社長は言います。

医療貯蓄口座を準備することは素晴らしいことです。この口座は、掛け金の税額控除、投資の成長に対する非課税、幅広い医療費用に使う場合の引き出しが非課税が組み合わされます。しかし、医療貯蓄口座も、多くの人が毎年の上限をかけていなかったり、あまりに用心深くファンドに投資していて、十分に活用していません。

4.資産よりも長生きする

寿命が長くなっているために、想定よりも早く貯蓄を使い果たす可能性が増しています。

「もし、老後10年か20年分のお金があれば、十分足りていると計算しているなら、驚くことになりそう」で、65歳になった人の5人に1人の男性が90まで生きるとブローンは言います。女性では3人に1人です。このため、株式市場か他の成長投資を、バランスの取れたポートフォリオに保持すべきです。

長生きリスクは重大な危険であり、多くの人が評価していない、ボストン大学経済学教授のローレンス・コトリコフは言います。「人々は長生きが良いニュースだ考えている」と、「自分のものを確保しなさい――社会補修給付金を最大にする秘訣」の共著者のコトリコフは言います。

「しかし、金銭面の見通しからすると、恐ろしいニュースにもなりえる」と付け加えます。

したがって、社会保障給付金の請求を遅らせることを彼は強く推奨します――できれば70歳にすれば、その時毎月の給付金が最大になります。予想していたより大幅に長く生きてしまうリスクに対するタイプの保険に支払いを増やすことを考えてくださいと彼は言います。

5.税金対策に失敗する

税制優遇の401(k)プラン、個人退職勘定などに、数十年でなくとも数年間積み立ててきました。できるだけ長くそれを続けるのが良いのです。それがベストな戦略ですし、特に退職時の貯蓄をさらに増やす必要があるなら、それが良いのです。しかし、引き出すことが必要になる前に、それらの口座から徐々に引き出す理由があるかもしれません。

例えば、社会保障給付金をひとたび請求し始めれば、必要最小限の引き出しを大きくしたいとは思わなくなるでしょう。様々なタイプの収入が多すぎると、税率区分が上がり、社会保障給付金の一部も課税されることになります。

個人の環境が変わるのに応じ、ベストな戦略が一つしかないということになりません。しかし、税金を最小限にするように気を付けて、退職後の引き出し、仕事の収入、社会保障給付金を調整するプランを持つべきです。

以上が拙訳でした。この記事の中で、「65歳になった人の5人に1人の男性が90まで生きるとブローンは言います。女性では3人に1人です。」とありますが、日本人の場合はどうなるでしょうか。

日本人はアメリカ人よりも長生きしますので、65歳の人は平均で男性84.55歳、女性89.38歳まで生きる計算になります。

2017年の平均寿命は、男性/女性の寿命は80.98/87.14歳ですから、65歳まで生きた人は、平均寿命より2~3年長く生きることになります。さらに、平均値よりも中央値の方が3年程度長くなりますから、半分の人たちは、男性87歳、女性92歳まで生きると考えた方が良いでしょう。

更に、女性は80代後半で約半数が認知症になりますから、これも要注意です。なお、男子は80代後半で約3分の1が認知症になります。

認知症は、「誰もがなりうる病気」です | 認知症のいろは | 相談e-65.net