プライム市場とTOPIX型ETF

東証一部の変更とETFへの影響

現在私が保有している国内株式ETFは1306(TOPIX連動型上場投資信託)ですが、TOPIXは東証市場第一部に上場する内国普通株式全銘柄を対象としています。この東証一部が来年変わるので、TOPIX型ETFにどのような影響があるのでしょうか。

JIJI.COMの記事で勉強しましょう。

企業の対応加速 新市場「プライム」基準厳格化―来年4月に東証再編

東証1部はプライムへ

東証は来年4月、「1部」など4市場を「プライム」など3市場に再編する。市場ごとの上場基準を厳格にすることで特徴を明確にし、国内外から投資マネーを呼び込むのが狙いで、2013年の東証と大阪証券取引所(現大阪取引所)の合併以来の大改革となる。最上位市場プライムを目指す企業は株主構成を見直すなど対応を加速させている。

スタンダード、グロース

東証は、1部、中堅企業向けの「2部」、新興企業が入る「ジャスダック」と「マザーズ」で上場市場を構成している。再編後はプライム、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業の「グロース」の3市場体制となる。

「流通株」の時価総額で100億円以上

従来の1部は時価総額250億円以上などが上場基準だった。プライムでは、親会社の保有分などを除き実際に売買できる「流通株」に限った時価総額で100億円以上が条件となる。全株式に占める流通株の比率も35%以上を維持しなければならず、企業統治指針に沿って経営陣の多様化も求められる。企業には価値向上へ不断の取り組みが不可欠となる。

今月末の状況で申請

東証は今年6月末時点の状況に基づき、各企業に再編後の基準に適合する市場を通達。企業は年末までに上場先市場を選んで申請する。現在の1部上場企業は基準に未達でも希望すれば当面プライムに残留できるが、条件を満たす具体策を示さなければならない。

700社が基準未達

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算では、約2200社ある1部企業のうち、約700社がプライムの基準を満たしていない。退場に追い込まれれば、株価や資金調達、採用活動などに悪影響が及びかねず、「当落線上」の企業から対応する動きが出ている。

保有株売却と自社保有株消却

自動車内装を手掛けるトヨタ紡織は、流通株比率を高めるため、大株主のトヨタ自動車に保有株売却を要請して受け入れられた。文具メーカーのキングジムも、発行済み株式の約3%に当たる自社保有株を消却した。

次に、エコノミストOnlineで、問題点などを細かく見てみましょう。

東証は昨年12月に、現在四つある市場を三つに再編する改革案の概要を発表した。具体的には、現状の「東証1部」「東証2部」「ジャスダック」「マザーズ」を、グローバル企業向けの「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」に再編する(図は日経)。

東証「プライム」など3市場に再編 企業の質向上狙う : 日本経済新聞

外国人投資家の投資を目論む

プライムは、海外の機関投資家などが投資対象とするような大企業を想定している。プライムに選ばれるためには、時価総額による基準と、新たな企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の適用が必要になる。企業統治指針は、金融庁と東証が今春に改定を予定している。欧米企業と遜色のない基準とすることで、外国人投資家が投資しやすくなる市場を目指す。

現在のTOPIXの名称は引き継ぐ

また、現在のTOPIXの名称は引き継ぐが、指数採用銘柄は流通株式時価総額100億円以上の企業に限定される。しかも、流通株式時価総額の定義が厳しくなる。

持ち合い株式は固定株(非流通株)

現在の流通株は、大株主上位10位以内に該当しない「持ち合い株式(政策保有株)」は浮動株(流通株)とみなされていたが、新たな流通株の定義では大株主の11位以下であっても、持ち合い株式は固定株(非流通株)としてカウントされる。

今月、第1回目の判定

TOPIX算出ルールの見直しの概要は以下の通り。まず21年7月に、同6月末時点で流通株式時価総額が100億円以上あるかどうかを判断する第1回目の判定を行う。次に22年10月に、第1回判定で流通株式時価総額100億円未満の銘柄について翌期の改善状況を確認する第2回判定を実施する。この時に流通株式時価総額が100億円未満だった場合、「段階的ウエート低減銘柄」として指定。22年10月以降、10段階に分けてTOPIX組み入れ比率の低減を開始する。

その次は23年10月

さらに23年10月に、段階的ウエート低減銘柄について、(1)第2回判定の翌期の流通株式時価総額が100億円以上か、および(2)年間売買代金回転率0・2回転以上か、について確認する再評価を行う。(1)と(2)の両方を満たす銘柄は組み入れ比率を低減前に回復し、(1)のみ満たす銘柄は組み入れ比率低減を停止。(1)を満たさない銘柄は低減を継続する。流通株式時価総額が100億円に満たない企業は、25年にはTOPIXから完全に除外されることになる。

1部の割高を解消

これまでは、東証1部上場企業であれば、必ずTOPIXに採用されていた。TOPIXをベンチマーク(投資基準)とする海外機関投資家が多く、自動的に買い付けられることで、株価が適正価格よりも割高になっているケースも目立つ。

600社は「スタンダード」に“格下げ”

「プライム基準」に満たない現東証1部上場の約600社は、新たな基準を満たせなければ「スタンダード」に“格下げ”になる。格下げは、事実上TOPIXからの除外も意味し、株価の下方圧力が強まる。TOPIXの値動きに連動するように設計された投資信託や、TOPIX先物との裁定取引のための買いポジションからも外れることになるからだ。

100億円以上なら影響はほとんどない

市場では、かつて市場再編がTOPIXの連続性をゆがめるとの見方があったが、現在では「100億円以上という流通株式時価総額基準なら影響はほとんどない」(大手証券)との声が一般的になっている。

以上がエコノミストOnlineの記事でした。最後の「100億円以上という流通株式時価総額基準なら影響はほとんどない」を信じれば良いのでしょうか。しかし、600社、700社がスタンダードに降格すると、結構影響があるような気もしますが、どうなのでしょうか。

力のない個人投資家としては、事態の行く末を注視するしかありません。

そういえば、私の知り合いの部長さんが所属していたマンションデベロッパーは東証1部でしたが、株価が低迷して、時価総額が50億円くらいしかありませんでした。そういう会社はプライムには行けないのでしょう。ただし、その会社はずいぶん前に他社に吸収されて、現在は存在していません。