円安、米国株価上昇、原油高、消費者物価指数上昇

経済が慌ただしくなっているようです。

円安で資産増加

下のグラフは最近1年間のドルの為替相場です。円安が進み1ドル114.54銭に上昇しました。1月には103円台だったので10円以上値下がりしました。海外の株式やETFに投資している人は資産評価額が増えているはずです。しかし、日本の通貨が衰えていることの裏返しですから、あまり素直には、喜べません。

1ドル118円まで進む?

原油価格の高騰を背景にアメリカの長期金利の上昇傾向が続くと見る投資家は多いようです。国際通貨投機筋は118円近くまでの円安オーバーシュートも想定しているという話もあります。

円、独歩安

日本は今回、円安によってどうなるのでしょうか。通貨安は輸出業者に恩恵をもたらしますが、円安は原材料価格の急上昇によって生じた痛みに輪を掛けます。米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れの縮小を計画し、それに伴って米国債利回りが上昇したことが一因ですが、円は最近、ユーロに対しても下落している。

木材、石油、石炭、天然ガスの価格上昇

このことは輸出企業の競争力を高めますが、輸入物価、とりわけドル建てで取引されるコモディティなどの価格急上昇に弾みを付けるというマイナス面があります。これまでの円安は既に物価に浸透していて、日銀が12日公表した9月の企業物価指数では、輸入物価の前年同月比上昇率が31%と記録的な水準に達しました。木材・木製品の輸入物価は同72%、石油・石炭・天然ガスの輸入物価は同78%、それぞれ上昇しました。

賃金低下

一方、円安は、中長期的には、企業努力が不十分になる結果、国際競争力が低下し、1人当たり賃金の国際的順位が後退するということにもなります。

野口悠紀雄

円安による低賃金の問題点を説いているのが 野口 悠紀雄一橋大学名誉教授 です。2021年10月3日の東洋経済オンラインを見てみましょう。


日本人は国際的に低い給料の本質をわかってない

アベノミクスにより世界5位から30位に転落した

日本の賃金は、OECDの中で最下位グループにある。アメリカの約半分で、韓国より低い。同様の傾向がビッグマック指数でも見られる。
ところが、アベノミクス以前、日本の賃金は世界第5位だった。その後、日本で技術革新が進まず、実質賃金が上がらなかった。そして円安になったために、現在のような事態になったのだ。円安で賃金の購買力を低下させ、それによって株価を引き上げたことが、アベノミクスの本質だ。

日本の賃金はアメリカの約半分で、韓国より低い

OECDが加盟諸国の年間平均賃金額のデータを公表している。日本は3万8515ドルだ。他方でアメリカは6万9391ドル。したがって、日本の賃金はアメリカの55.5%でしかない。ヨーロッパ諸国を見ると、ドイツが5万3745ドル、フランスが4万5581ドル、イギリスが4万7147ドルだ。韓国の賃金は4万1960ドルであり、日本の値はこれよりも低い。2020年において日本より賃金が低い国は、旧社会主義国と、ギリシャ、イタリア、スペイン、メキシコ、チリぐらいしかない。日本は、賃金水準で、いまやOECDの中で最下位グループに入っていることがわかる。

アベノミクスの本質:労働者を貧しくして株価上昇

日本の賃金が国際的に見て大幅に低い状況は、本来は不均状態とはいえない。なぜなら、もしマーケットが正常に機能していれば、日本製品の価格が安いのだから、日本の輸出が増え、円高になるはずだからだ。この調整過程は、現在の上記の不均衡がなくなるまで続くはずだ。しかし、円高になると、輸出の有利性は減殺される。本来は、円高を支えるために、企業が技術革新を行い、生産性を引き上げねばならない。それが大変なので、円安を求めたのである。手術をせずに、痛み止めの麻薬に頼ったようなものだ。このため、日本の実質賃金は上昇しなかったのだ。

物価が上がらないのが問題なのではなく、実質賃金が上がらなかったことが問題なのだ。賃金が上がらず、しかも円安になったために、日本の労働者は国際的に見て貧しくなった。日本の企業が目覚ましい技術革新もなしに利益を上げられ、株価が上がったのは、日本の労働者を貧しくしたからだ。

これこそが、アベノミクスの本質だ。


9月の消費者物価指数 1年6か月ぶりに上昇

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる9月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月を0.1%上回り、1年6か月ぶりに上昇に転じました。原油価格の上昇を背景にガソリンや灯油などが値上がりしたことが主な理由です。これらの理由が弱まる可能性は当面ありませんから、消費者物価指数はプラス圏内に居続けそうです。

今後とも円安は続くのでしょうか。円安が続くと、海外に金融資産を持たずに、給料が変化しない庶民にとっては厳しい状態になりそうです。

今までの円安とは異なる

このブログでは、財務省や日本銀行のOB達が退職金をもらうと、それをドルに換えて日本円を持たないようにする行動をとっていると繰り返し書いてきました。この行動は一部の個人投資家だけで、一般庶民にまで広がってはいません。しかし、

  1. <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド2013年に発売され、競合他社と経費行き下げ競争を繰り広げ、
  2. コロナウイルスによるリモートワークの浸透で、ネット証券口座開設者が増え、
  3. つみたてNISA、イデコなどで低コストインデックスファンドが一般庶民に浸透し、
  4. その上、今回の円安で、資産評価額が増加した結果、

海外の投資信託やETFに投資する個人投資家は増加していくでしょう。今回、一般庶民の金融資産が銀行から海外へ大きなうねりとなって移動するかどうかは分かりません。しかし、上記1~4の状態は過去には無かったことなので、財務省OBや日本銀行OBと同じ動きを取る庶民も少しずつ増えていくでしょう。それは、とりもなおさず、日本円に対する不信任です。