ETFとインデックスファンド、どちらを選ぶべきか?

シニアはETF、若者はインデックスファンド

私と連れ合いは株式ETFに投資し、子供たちは低コストのインデックスファンドに投資しています。両者に違いはあるのでしょうか。どちらに投資すべきでしょうか。

低コストインデックスファンド登場は最近のこと

今から10年以上前は、低コストのインデックスファンドがありませんでしたので、株式ETFに投資することが有利でしたが、現在は低コストインデックスファンドの品揃えが充実してきましたので、決定的な違いは無くなりました。

インデックスファンドの低コスト化

10年以上前は、投資信託、ファンドと言えば、販売手数料や信託報酬(管理費用)の高いものばかりで、日本、アメリカの株式については、ETFが圧倒的に有利でした。しかし、2013年に<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが発売され、三菱UFJ国際がeMAXIS Slimを投入して競争状態に入ると、ETFがあまり有利で無くなってきました。

ETFの低コスト化

1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))やバンガード社のVOO等も信託報酬引き下げを実施したので、個人投資家にとっては恵まれた環境になりましたが、両社の差は縮まってきました。ただし、低コストインデックスファンドを扱っているのは、ほとんどがネット証券ですから、野村證券や大和証券のような対面証券では、低コストインデックスファンドを購入することができません。したがって、ネット証券を利用したくない、あるいは、どうしても対面証券で投資したい場合には、ETFを利用することになります。

野村のインデックスファンドは中コスト

野村證券には、例えば、「野村インデックスファンド・TOPIX(愛称:Funds-i TOPIX」)のようなインデックスファンドもありますが、購入時手数料1.1%、信託報酬0.44%がかかりますので、低コストではありません。購入時手数料2~3%、信託報酬1~2%のアクティブ・ファンドのように高コストではありませんが、中コストというレベルです。

若者は低コストを狙うべき

若い人たちは今後、20年、30年と投資を続けていくことになるわけですから、できるだけ低コストの商品を選ぶべきです。そうすると、アクティブファンドや中コストのインデックスファンドは対象外になります。

まとまった金額を投資するなら差がない

社会人になって10年、20年以上の時間が経つと、銀行預金などの貯蓄がたまった人もいます。そのような人が投資をしたいのであれば、ネット証券の低コストインデックスファンドと対面証券のETFとの差はあまり生じません。というのは低コストインデックスファンドの信託報酬が0.1%台で、内外株式ETFの信託報酬が0.1%未満ですから、購入時の手数料と、それに加えて外国株式の場合には為替手数料を払っても、保有期間が10年以上あれば1年当たりに均すと、あまり違いがなくなるからです。ただし、購入時手数料、為替手数料とも、対面証券よりネット証券の方が安いですから、あえて対面証券を選ぶ必要はありません。

このような、コストの問題以外に、インデックスファンドとETFには、いくつかの違いがあります。

分配金の課税

インデックスファンドの場合、毎年支払われる分配金を受け取らずに、そのまま同じ銘柄に再投資することができますが、株式ETFの場合、毎年強制的に分配金が支払われます。支払われた分配金は課税され、分離課税の場合約20%が徴収されてしまいます。もし課税されなければ、その部分も翌年の分配金の元金になるわけですから、課税されずに再投資された方が有利です。分配金を2%とするとその20%は0.4%ですから、リターンを8%とすると、翌年は0.032%、10年間では0.32%損をすることになります。それほど大きな金額ではありませんが、損です。

確定申告の手間

分離課税の20%は、おおむね年収が900万円以下であれば総合課税にした方が税金が少なくなり、外国ETFの場合には10%分が二重課税されていますので、確定申告で還付手続きを取る必要があります。このような手続きは、往復の移動時間を含めても半日で済みますが、仕事などに忙しい若い人たちにとっては負担かもしれません。インデックスファンドであれば、そもそも分配金を受け取らないことができるので、確定申告の必要がありません。したがって、私は子供たちにETFを勧めず、次の低コストインデックスファンドアドバイスしています。

  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
  • 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

少額の積立投資信託が可能

つみたてNISAなど、毎月投資信託を積み立てる場合、低コストインデックスファンドなら、数千円、数万円の少額で積立可能ですが、ETFの場合には、そのような少額の購入はできないでしょう。したがって、毎月給料から自動的に積み立てる若い人の場合には、低コストインデックスファンドを選ぶことになります。

以上のようなメリットがあるため、現在低コストインデックスファンドは急成長していますが、私は、ETFを低コストインデックスファンドに変換するつもりはありません。

資産の分散化

その理由の一つは、資産はできるだけ分散しておきたい、ということです。低コストインデックスファンドの純資産総額は数千万円のものが多く、ETFに比較すると、10分の1、あるいは、100分の1の規模しかありません。あまり小さな市場の銘柄に集中投資するよりは、大きな市場に分散投資した方が良いだろうと考えています。

相続

二つ目は、将来、私が死亡した後に、子供達の持つ銘柄とは違う銘柄を相続させることによって資産の分散を図ることができます。

日本政府を信用しない

三つ目の理由は、将来日本政府・日本銀行が困った時には、日本国籍のインデックスファンドより、米国籍のETFの方が安全だと考えるからです。日本政府は、明治時代と第二次大戦後の2回、ハイパーインフレを起こして国民の財産を実質的に没収した経験があります。あまり日本政府を信用しすぎるのは考え物です。本来なら、金融資産の一部は外国の証券会社に直接預ける方が安全だし、米国籍も持ってアメリカ人としてアメリカに金融資産を持つ方がさらに安全ですが、そこまではできませんので、せめて米国籍のETFだけは持ちたいと思います。