60代のポートフォリオ:リタイヤ・タイプ

労働継続とリタイヤ

60代には労働継続するパターンとリタイヤするパターンがあります。私も65歳までは非正規のパートタイマーとして働いて、今は労働していません。労働しなくなると、毎月の給与を受け取れませんから、日本人の中には毎月分配型のファンドを選ぶ人がいました。このファンドはコストがべらぼうに高いのに、それを知らないで購入した人も多かったようです。しかし2017年に金融庁が厳しく問題視した結果、タコ足配当型のファンドはかなり減りました。

厚生年金は偶数月、確定給付年金は奇数月の支払

厚生年金は偶数月の15日に支払われ、私の場合はそれ以外に勤めていた会社から確定給付年金を奇数月の中旬に受け取ります。確定給付年金は厚生年金の4分の1の額しかありませんから、偶数月の上旬は銀行預金の残高が気になります。なお、確定拠出年金はまだ需給を開始しておらず、年平均リターン7%程度で運用を続けています。

税、社会保険料合計で毎年百数十万円

支出の方は、税、社会保険料合計で毎年百数十万円を取られます。おそらく普通の年金生活者より多いのは、株式ETFの分配金が年金と同額程度にあるからだろうと思います。

不足分は1306の売却

現在、通常月は収入と支出が同程度で、住宅の修繕費など臨時支出のある時は、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))を売却して現金化していましたが、今後は、毎年1306を売却する必要がありそうです。

ETF、低コストインデックスファンド

私はこのように、必要に応じてETFを売却するのですが、人によっては、毎月支給されるのを好む人もいるようです。そこで気をつけなければいけないのがコストです。低コストインデックスファンドの場合には売却コストはゼロですし、ネット証券でETFを売却する場合には0.1%以下の手数料しかかかりません。

それでは、60代のキャッシュフロー重視タイプについて、マネックス証券のホームページをもとに考えてみましょう。


60代キャッシュフロー重視タイプの参考ポートフォリオ

キャッシュフロー重視のポートフォリオも考えてみましょう。筆者の経験によれば、リタイア世代は株式投資などの売却益はなるべく使わない一方、配当金などのインカムゲインは抵抗なく使うケースが多いようです。抵抗なく使うという観点に立てば、リタイア後は利回りの高い商品でポートフォリオを構築する必要があると思われるのです。

インカムゲインを重視するのであれば、債券やREIT(不動産投資信託)を中心としたポートフォリオを構築するべきでしょう。債券は、高いインカムゲインを期待するならハイ・イールド債券(高利回り社債)、新興国債券に連動するETFを組み入れたいところですが、60代であればポートフォリオのリスクを抑えて安定性に配慮すべきと思われます。先進国の債券に投資される「上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)毎月分配型(1677)」に資産全体の30%を配分します。国内債券は、日本銀行が金融政策を変更したものの、依然として低利回りに変わりないことから、ポートフォリオへの組み入れは控えたいと思います。国内債券の変わりとして、ETFではありませんが「インフラファンド」を資産全体の25%配分したいと思います。いくつかインフラファンドが上場していますが、平均利回りはかなり高い水準です。円建てで好利回りを安定的に期待できるとあって、キャッシュフローを重視するポートフォリオでは検討しても良い投資対象と考えられます。

またREITは、東証REIT指数に連動する銘柄よりも高いインカムゲインが期待できる「MAXIS高利回りJリート上場投信(1660)」へ30%配分します。安定性に配慮すれば株式の組み入れは控えるべきかも知れませんが、高配当銘柄だけを厳選したETFも複数上場しています。「上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(1399)」は、ボラティリティ(価格変動)を抑えつつ、厳選した高配当銘柄だけに投資されるETFです。このETFを資産全体の15%組み入れることで、ポートフォリオ全体の収益率アップを図れると期待しています。

上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI)(1677) 30%
インフラファンド 25%
MAXIS高利回りJリート上場投信(1660) 30%
上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(1399) 15%


⇒ 純資産総額の小さいものばかり

経費率は高いとは言えませんが、純資産総額が非常に小さいので不安です。

コード 銘柄 純資産総額(億円) 経費率 1年トータルリターン 3年トータルリターン 5年トータルリターン
1677 上場インデックスファンド海外債券(FTSE WGBI) 360 0.25% 2.87% 3.48% 3.66%
1660 MAXIS高利回りJリート上場投信 179 0.25% 32.22% 12.08%
1399 上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ 23 0.35% 23.17% 0.13% 7.20%

⇒ インフラファンド

インフラファンドとは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー発電設備などに投資を行うファンドのことです。投資法人が複数の投資家から集めた資金でインフラ施設を保有し、発電事業を行うオペレーターに貸し出すことで賃貸料を得るビジネスモデルとなっています。基本的な仕組みは、J-REIT(不動産投資信託)と同様です。

いくつか、時価総額とリターンを見てみましょう。トータルリターンが高いのは、1年前に新型コロナウイルスの蔓延で大幅に下落していたためで、2018年以降はほぼ横ばいのようです。それにしてもやはり時価総額が小さいので不安です。

コード 銘柄 時価総額(億円) 1年トータルリターン
9283 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 216 14.10%
9282 いちごグリーンインフラ投資法人 68 25.56%
9281 タカラレーベン・インフラ投資法人 269 10.32%