どの資産が安全か?

2021年は、あまりに米国株価が上昇したので、今年は下がるのではないかと心配をしている人も多いかも知れません。

昨年の春なら間違いなくS&P500のETF

2020年2月にはVOOが300ドルを超えていましたが、翌3月には200ドル近くまで急落し、現在は430ドルまで上昇しました。私は2020年の2月に、「資産運用をするならなにがよいか?」と聞かれたので、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を勧めました。その時に200ドル近くで買っていれば、たった2年で2倍になったことになります。

バブルは人によって違う

それでは、現在はバブルなのでしょうか?バブルと言っても、人によって受け止め方が異なります。1989年の日経平均は約38,000円で、その1年後には24,000円、2009年には7,100円まで下がったのですから、バブルの要素はあったでしょう。2割、3割下落したからバブルがはじけたと思う人もいれば、これは単なる調整であって、5割以上下落しなければ、バブルでないと思う人もいるかもしれません。単なる調整であれば、2~3年で回復しますが、5割下落すると5~10年の期間が必要かもしれません。私としては、2~3年の間下落しても全く気になりませんし、5年でも構いません。おそらく、20代、30代の積み立てをコツコツしている人にとっては、10年くらいは気にする必要がないでしょう。逆にその低迷期間は、ファンドを安く買えるのですから、良い仕込みの時期と言えるでしょう。

問題はいつ買うかでなく、何を買うか

問題は、バブルや株式市場の動向ではなく、どの種の商品に投資するかです。株式、債券、リート、ゴールド等があり、株式や債券などは国内と海外では、将来の資産の大きさに大きく影響します。

アメリカ10倍、日本2倍

同じ株式でも、日本とアメリカでは大違いです。1993年にアメリカ株(SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF))に投資していれば10倍以上になりましたが、日本株に投資したら2倍にもなりません。

どの資産が良いのかを、いろいろな記事、データをもとに考えてみましょう。

豊島逸夫の手帖


2021年12月30日

日本人投資家マネー、外貨建て資産に流出加速

2021年は、日本人投資家が稼ぐ力や生産性に欠ける日本株に見切りをつけ、外貨建て資産へ大量流出した年でもある。
その行き先は、まず米国株。やはり米国企業には相対的にダイナミズムが感じられるのであろう。日本の証券会社も競って米国株投信販売にシフトしている。
その流れの延長に原資産がドル建てである金も位置付けられる。
奇しくも大納会の本日は円相場が115円の大台前後で推移している。為替の面からも海外資産に追い風が吹いている。NY金も1800前後で越年しそう。
2022年も円安傾向は持続するであろう。ご存じのとおり筋金入り円安派の筆者の考えは変わらない。
利上げに動く米国と利上げには遠い日本の状況を考えれば、当然の帰結と言える。
円=低リスク通貨という概念も徐々に薄れつつある。
そもそも本欄で繰り返し指摘したことだが、NY市場では安全通貨と言えば米ドルが当たり前という風潮だ。

そしてドルと金の関係もドル高=NY金安という市況の法則が、当てはまらないケースが増えている。2022年もドル高・円安・NY金高で、円建て金価格がダブルで上昇する局面が珍しくない市場環境になりそうだ。

一方、仮想通貨の存在も今や無視できない。
年末に来てビットコインは5万ドルを割り込み、罫線上では「下げ相場」入りしている。しかしビットコインの相場はボラティリティーが激しい。
短期的な売買益を狙う投資家マネーの流入は続くであろう。
ドルと金の関係がデカプリング(分離)の傾向にあるが、ビットコインと金の間で行ったり来たりするマネーは世界的に増えてゆくであろう。



2021年12月29日

金を買いたがる日銀・財務省OB

筆者の知り合いの日銀・財務省出身者たちが、ひとたび退官して一個人投資家になるや、やたらに金を買いたがる傾向は相変わらず続いている。加速していると言っても過言ではない。量的緩和の現場に長くいると、一万円札がただのペーパーとしか見えなくなるものだ。まさに通貨価値の希薄化を現場で痛感してきた人たちが、虎の子の退職金で金を買いたがり、筆者のところへ相談に来る。40年間、円という通貨の番人をやってきた人たちの行動ゆえ、筆者は背筋がヒンヤリする。更に財務省OBたちは自ら日本国の財務諸表を作成してきたが、日本の公的赤字はもはや危機的ゾーンを超えたという。2021年には現役財務省トップが文藝春秋に寄稿して話題となった。そういう背景があり、やはり虎の子の退職金で金を買いたがる傾向が見られるのだ。「円やドルはいくらでも刷れる。何か刷れない資産はないものか、模索して金に辿り着いた」。日本経済の裏表を知る立場にいた人たちだけに説得力がある。実はFRB議長にも似たような事例がある。FRB議長18年間という最長在任記録を持つグリーンスパン氏。退官後の講演料は一席10万ドルと言われた。その彼があるヘッジファンド主催の国際会議で講演後、事務局から講演料支払いについて米ドル・ユーロ・ポンド・人民元・円、どの通貨で振り込めばよいか尋ねたところ、ボソリと「ゴールド」と言ったとのエピソードがある。半分ジョークにせよ、その発想は日米共通と思われる。


この記事によると、

日本円 < アメリカドル < 金

となりますが、日本円の再開は確定していますが、金の方がアメリカドルより良いのでしょうか。この「豊島逸夫の手帖」というブログは、三菱マテリアル株式会社のホームページに掲載されているので、ポジティブトークであるかどうかも考えなければいけません。

やはりアメリカドルか?

ジェレミー・シーゲル(Jeremy J. Siegel)ペンシルベニア大学大学院(ウォートン・スクール)教授(金融論)の各資産のグラフです。金は200年前に比べてあまり上がっていませんが、アメリカ株式は10年程度の凸凹はありますが、長期的には100万ドルに増えています。これを見ると、基本はアメリカ株式に投資したくなります。