高校向け 金融経済教育 2

<前回の続き>

学習指導要領の改訂で4月1日から高校で本格的な金融教育が始まりました。どのような内容なのかを金融庁の金融経済教育指導教材をもとに覗いてみましょう。なお、飽きないように断続的に掲載します。

黒字はパワーポイントのスライド、紺色は発表者用のメモです。


高校生のための金融リテラシー講座

2「使う」

【狙い】お金を考えてから使うクセをつける。収支をプラスにするコツを学ぶ。
第2章は、「使う」についてお話します。

クイズ:毎月残った金額を貯蓄していくと、貯蓄を増やしやすい。
〇か×か?

答えはXです。

2-1.ニーズとウォンツ

(1)「必要なもの」と「欲しいもの」を区別し、お金の使い方を考える時は、「それは必要なもの(ニーズ/needs)なのか、欲しいもの(ウォンツ/wants)なのか」、自問してみましょう。

(2)「必要なものを優先する」(欲しいものは余裕があるときに買う)ことを考えてみましょう。

  • 誰にも、お金は無限にあるものではありません。そこで、みなさんと賢いお金の使い方を考えてみたいと思います。
  • まずは「必要なもの」と「欲しいもの」を区別してみましょう、つまり、お金の使い方を考える時は、「それは必要なもの(ニーズ/needs)なのか、それとも、欲しいもの(ウォンツ/wants)なのか」、自問してみましょう。
  • そして、「必要なものを優先する」、言い換えれば「欲しいものは余裕があるときに買う」ということを考えてみたらどうでしょうか?
  • 「ニーズ」と「ウォンツ」は境界があいまいです。生活に不可欠な普段着としての服を買うのは「ニーズ」ですが、気に入った高価な服を買うのは「ウォンツ」と言えるでしょう。でも、兄弟の結婚式に着ていくんだとしたら、高価な服も「ニーズ」かもしれません。
  • 収入、ライフプラン、価値観に照らしながら、「ニーズ的なもの」と「ウォンツ的なもの」を区別していきましょう。

2-2.家計管理のポイント

✖ 収入 ー 支出 = 貯蓄

〇 収入 ― 貯蓄 = 支出

  • 家計管理の基本は、収入から支出を差し引いた収支を黒字にすること、そしてその黒字分を貯蓄することです。
  • この貯蓄の習慣を身に付ければ、お金を貯めていくことができるようになるでしょう。
  • しかし、「お金が残ったら貯蓄しよう」と思っていても、お金があるとどうしても使ってしまって、貯める分が残らないということもあります。
  • そこで、貯蓄に対する発想を転換してみましょう。つまり、給料が入ったら、先に一定の金額を貯蓄に回し、残りのお金の範囲内で家計をやりくりします。
  • 例えば、金融機関の自動積立などを利用し、先に貯蓄することで、自然とお金がたまっていくようになります。

2-3.キャッシュとキャッシュレス

(1)キャッシュ:物理的な現金(紙幣・硬貨)

(2)キャッシュレス:現金の授受をせず、支払や受取をデジタル化された価値の移転で行うこと

2-4.キャッシュレス決済のメリット・注意点

キャッシュレス決済には、どのようなメリット・注意点があるでしょうか?

メリット

  • 現金をたくさん持ち歩かなくてよい
  • ATMに立ち寄る回数が減る
  • お金のやり取りが簡単
  • 何にいくら使ったか、アプリで確認できる    など

注意点

  • 使った実感が湧きにくいので、使いすぎてしまいやすい
  • 店舗によって利用できないこともある
  • 停電時などに使えない
  • 不正送金など犯罪への不安          など

 

  • では、キャッシュレス決済には、どのようなメリットや利用するときの注意点があるのでしょうか。
  • キャッシュレス決済のメリットとしては、例えば、現金をたくさん持ち歩かなくてよい、ATMに立ち寄る回数が減る、お金のやり取りが簡単、何にいくら使ったかアプリで確認できる、ことなどがあげられます。
  • 一方、注意点としては、お金が見えにくいので、使いすぎてしまいやすい、店舗によって利用できないこともある、停電時などに使えない、不正送金など犯罪への不安 などが挙げられます。
  • キャッシュレス決済のメリットと注意点を理解し、自分にあった使い方を考えましょう。

まとめ(2章のポイント)

(1) 「必要なもの(ニーズ)」と「欲しいもの(ウォンツ)」に分けて、お金を賢く使いましょう。
(2) 家計管理では、収支を黒字にすることが基本です。先に収入から一定額を貯蓄に回し、支出をやりくりするとお金が貯まりやすくなります。
(3) キャッシュレス決済のメリット・注意点を知り、自分に合った使い方を考えましょう。

3. 「備える」 ~社会保険と民間保険

3-3.社会保険と民間保険

(1)日本には、社会基盤として社会保険制度*があります。

(2)ご自身のライフプランにあわせて、社会保険と資産形成や民間保険(生命保険、損害保険)の利用を組み合わせるとよいでしょう。

  • 保険には、公的な保険である「社会保険」と「民間保険」があります。
  • 社会保険として、年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労災保険などがあります。これらは政府によって加入が義務づけられるなどの措置がとられていて、保険料や税金によって運営されています。 このため、まず社会保険制度を利用します。
  • もう一つが民間保険ですが、これには、「生命保険」のような、「人」に対する保険と、「損害保険」のような「モノ」に対してかける保険の2つがあります。
  • 民間保険の利用を検討する際には、社会保険制度の内容を踏まえる必要があります。
  • まずは社会保険によってカバーされる内容、範囲、金額を理解したうえで、自分のライフプランに応じて、資産形成を行ったり、民間保険を利用するかどうかを検討しましょう。

まとめ(3章のポイント)

(1) 様々なリスクに備え、みんなで少しずつお金を出し合って、必要なお金が支払われる仕組みが「保険」です。
(2) 日本には社会基盤としての社会保険制度があります。
(3) 民間保険には、生命保険(人に対する保険)と損害保険(モノに対する保険)があります。
(4) ライフプランに合わせて、社会保険資産形成民間保険の利用を組み合わせましょう。

<次回に続く>