私の運用実績2022年6月

運用益は12年前を100とする指数で235です。今年4月のピークに比べて2000万円くらい減少しています。今年12月までは、上昇には転じないでしょう。2018年から2020年までも、あまり上下動はありませんでしたが、同じようなことになるのかもしれません。

この資産評価額に大きく影響しているのが、外国為替とアメリカの株式相場です。

為替相場に関し、私が注目している人達の考えを確認しましょう。


次の円高は1年以上先、3つの要素は円安示唆 140円台も=植野大作氏 ロイター2022年6月29日

ドル高・円安が勢いを増している。6月22日の東京市場では一時136円71銭と1998年10月以来、約23年8カ月ぶりの高値圏まで買い進まれた。

3月に記録した直近安値の114円65銭から、約3カ月で22円06銭もの高騰だ。この間、ドル/円の週足陽線の出現確率は、7割6分5厘にも達している。近年に類例をみない速度と値幅でドル高・円安が進んでいる。

この先もしばらくの間、ドル/円は歴史的な高値圏での上値試しを続けるだろう。為替予想の三大要素は「テクニカル」、「ファンダメンタルズ」、「需給」だが、現在はそのいずれもがドル高・円安局面継続を示唆しているからだ。

<強化された52週移動平均線の右肩上がり>

まず、テクニカル面では、3カ月間で22円06銭ものドル高・円安貯金を荒稼ぎしてしまったことで、筆者がドル/円相場の「骨太のトレンド」を判定する際に最も重視している52週移動平均線の右肩上がりの傾向が一段と強化された。

「過去1年間で稼いだドル高・円安貯金を全て吐き出すまで、右肩下がりに転じない」という52週線の性質を考慮すると、仮に今後何らかの「円高ショック」に見舞われて巡航高度が130円前後まで下がっても、来年の春過ぎまでは52週線の右肩上がりの傾斜はビクともしないで下値サポートの底上げが続く。

昨年1月安値の102円59銭を大底にして現在のドル高・円安トレンドが始まってから、まだ17カ月しか経っていない。過去5回のドル高・円安局面の平均寿命は31.2カ月であり、まだ、あと1年近くは右肩上がりの傾向を維持する可能性がありそうだ。

ファンダメンタルズ面からみても、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国は通常の利上げ幅0.25%の「3倍速」に相当する0.75%刻みの利上げを断行した。同時に公表されたFOMC参加者による政策金利の未来予想図では、2023年末の中央値予想が3.75%まで大幅に上方修正されていた

現在、米国の消費者物価(CPI)上昇率は、5月分の総合指数で前年比8.6%、エネルギーと食品を除いたコア指数でも同6.0%と今世紀最高レベルに跳ね上がっている。「高過ぎるインフレの抑え込み」に本腰を入れ始めた米連邦準備理事会(FRB)は、この夏以降も「2倍速」や「3倍速」で利上げしてきそうな気配が濃厚だ。

<利上げが難しい日銀>

一方、日銀の黒田東彦総裁は、現在日本で起きている2%超の物価上昇は、資源高によるコストプッシュ型のインフレであり、政府と日銀が目指している安定的な賃上げを伴う2%の目標達成ではないことを理由に挙げて、短期金利をマイナス0.1%に固定、長期金利を0.25%以下に抑える現在の低金利政策を続ける続ける姿勢を崩していない。

実際、日銀が円安阻止の利上げに動こうとしても、米国並みの超速利上げについていけるほどの基礎体力が現在の日本経済に備わっているとは思えない。日銀が長短金利の操作目標を上げると住宅ローンの金利が上がったり、中小企業の資金繰りが苦しくなったりして、コロナからの病み上がりの経済に悪影響が及ぶリスクがある。

政府・与党が選挙前になると経済対策をバンバン打てるのも、日銀が国債の金利を歴史的な低水準に抑えているからだ。先進国では異例の名目国内総生産(GDP)の2.5倍超にまで積み上がっている日本政府の借金の大きさを加味すると、日銀が米国並みの大幅利上げに踏み切ったら、財政の持続可能性に対する疑念が台頭する可能性もある。

そのような状況下で今後、FRBが本当に3%台後半まで利上げすると、米ドルは日本人からみて異次元の高金利通貨としての存在感を高めそうだ。現在、米国以外の主要国も軒並みインフレ抑止の利上げに動いており、特に欧州の国や地域ではユーロ圏、スイス、デンマークのマイナス金利3兄弟が今年の秋にはプラス金利の国に戻る可能性が高い。

その場合、世界でただ独り、マイナス金利政策を続ける日本の姿が為替市場で際立ちそうだ。これまで同様、ドル/円だけでなくクロス円も巻き込んだ円売りの相手探しの循環物色が、今後もグルグル回り続けるのではなかろうか。

<需給で見た円売りの強さ>

為替需給の面からみても、現在のように長期トレンドが明確な上向き傾向を維持している局面では、順張りの傾向が強い海外短期筋は、引き続きドル買い・円売りのポジションをキープしながら押し目を拾ってきそうだ。米国の利上げによって「ドル/円」通貨ペアの買いスワップの魅力が増して売りスワップの負担が上がると、日本のFXトレード愛好者のポジション比率も、昔のように安定的なドルロングの状態に戻る可能性がある。

また、FRBが自らの見通し通りに政策金利を3.75%前後まで引き上げたなら、ドル・キャッシュの短期ファンディング・コストも急騰、為替スワップ市場におけるドル/円の為替ヘッジコストは4%近くまで上がる可能性がある。

円債投資の代替としてのヘッジ付き米国債投資は事実上、ワークしなくなるだろう。米国の長期金利が一段と上がって価格が下がれば、過剰ヘッジの解消に伴うドル買い圧力も高まりそうであり、ドル/円に押し目ができれば為替オープンの外債投資も検討されることになるのではないか。

加えて、最近はウクライナ戦時下で一段と進む資源価格高騰のあおりを受けて、日本の貿易収支の赤字が膨らんでいる。今月発表された5月の貿易統計では季節調整済みの赤字額が消費増税前の駆け込み輸入で2.1兆円に拡大した2014年3月に次ぐ1.9兆円を計上していたことが明らかになった。

日本が海外からの輸入に頼る食料、燃料、金属などの必需物資は世界の基軸通貨・ドルで取引される割合が高い。このため、どんなにドル高・円安が進んでも、国内の輸入企業は「マーケットの言い値」でドルを買い続ける以外の選択肢を持たない。過去最大規模に膨れ上がっている「実需のドル不足」がドル/円の下を固めて上値を軽くする働きを一段と強めている。

<135円は通過点か>

為替需給の三大要素を構成する「投機」、「投資」、「実需」の各分野では、いずれもまだしばらくの間はドル高・円安圧力優位の状況が続きそうだ。本稿で示した筆者の見立てが正鵠を射ていて、まだ、これから1年間くらいはドル高・円安局面の日柄が残っているとの判断が誤っていなければ、1ドル=135円は通過点になる可能性が高い。

「今後、米国経済が腰折れしてFRBの利上げ計画がキャンセルされる」、「悪い円安論に気圧された日銀が黒田総裁の任期満了を待たずに利上げ局面に移行する」などのリスク・シナリオがさく裂しない限り、今のドル高・円安局面におけるザラ場のトップ・レベルでは140円超の空中戦を見る可能性もあるだろう。

もちろん、過去のドル/円相場は循環を繰り返しているので、現在のドル高・円安局面も将来どこかで終わりを迎えるだろう。ただ、今のところ、「テクニカル」も「ファンダメ」も「需給」もドル高・円安推しの局面が続いている。

日銀が今の政策を続ける限り、米国で利上げのピークが見えてくる頃まで、ドル/円の上値試しは続きそうだ。次の円高サイクルが来るのは、1年以上先とみておきたい。


1ドル140円視野、それでも通貨危機との見方に違和感=尾河眞樹氏 ロイター2022年6月28日

日銀の黒田東彦総裁は、6月17日に行われた金融政策決定会合後の記者会見で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の下での長期金利の許容変動幅拡大は「考えていない」と明確に否定した。折しも、15日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)が非常にタカ派的内容であったことも相まって、翌週急激にドル高・円安が進行、136円台後半の高値を付けるに至った。

安全通貨の立場不変>

主要国通貨のほとんどが対円で上昇するなど、為替市場は再び円全面安の様相を呈している。1ドル=140円台が現実味を帯びてきたこともあってか、最近はいよいよ「日本売りだ」「通貨危機だ」と、あたかも日本のあらゆる資産がタタキ売られるかのような、不安を煽る論調が散見されるようになった。

しかし、足元の円安は日本の信認低下に伴う資本流出とは程遠い。ドル円でみると分かり難いのだが、円の名目実効為替レートと米株価を重ねてみると、基調としては円安トレンドが続いているものの、米株価が下落する際には円の実効レートが上昇するといった具合に、市場がリスクオフに傾くと円買いが進む構図は以前から何ら変わっていない。このことは日本円が、グローバルにみれば依然として安全資産の位置づけにあることを示している。

<背景に金融政策格差>

ではなぜ円安トレンドかといえば、これは圧倒的に日本と海外の金融政策の格差によるところが大きい。直近では16日にスイス中銀が50Bpsの利上げに踏み切った。欧州中銀(ECB)も6月の理事会で、7月に利上げする方針を示しているため、日本、米国、ユーロ圏、英国、スイス、カナダの主要6中銀のうち、利上げしないのは日本のみとなる。各国がこぞって金融引き締め局面に入ったなかで、日本だけが取り残されている状況が際立っているのだ。前述した黒田日銀総裁の発言も手伝って、投資家は何の不安もなくキャリートレード(金利差を狙った投資)のための円売りが継続できる。実際、日本の実質金利は4月以降ジワジワと低下しており、各国と日本の実質金利差は拡大傾向にある。

<鍵となる実質金利>

実質金利は、名目金利(10年債利回り)から期待インフレ率を差し引いた実質ベースの10年物金利だが、米国の場合、米連邦準備理事会(FRB)の利上げによって、インフレが将来沈静化するとの見方から、期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)は4月のピークだった4.0%台から足元2.5%台まで低下した。反対に、利上げにより米10年債利回りは一時3.5%まで上昇したため、米実質金利は上昇。一方で、日本は指値オペにより10年債利回りの上限を0.25%でキャップしているため、資源高などで期待インフレ率がジワリ上昇するなか、日本の実質金利は緩やかながらマイナス幅を拡大しつつある。これが日米の実質金利差拡大につながり、ドル円の上昇を促しているのだ。ドル円相場と日米実質金利差の相関性は非常に高く、特に、日本の場合は10年債の利回りを固定しているだけに、このまま放置すれば期待インフレ率が上昇するに連れ、日本の実質金利がさらに低下し、これとともに円相場が一段と下落する公算は大きい。

<日銀のジレンマ>

したがって、もしもこの円安トレンドを金融政策で止めようとするのなら、たとえばYCCのターゲットを10年債から5年債に変更する、あるいは、10年債利回りの変動幅を拡大することなどが考えられよう。10年債利回りの上昇をある程度容認すれば、実質金利の下落に歯止めがかかるため、円安にもブレーキをかけることができそうだ。

ではなぜそうしないのかといえば、金融政策は為替のための手段ではない(ことになっている)ことに加え、そもそも日本の実質金利の低下は、景気刺激効果につながるからだ。「物価上昇率>名目金利」となれば、預金の利息よりも物価の上昇が大きくなるため、教科書的には貯蓄よりも消費や投資が選好されることになる。問題は日本の場合、現在のインフレが資源高によるコストプッシュであることに加え、賃金が上昇しないことで体感インフレが加速しており、消費者マインドの悪化につながっていることだ。

このため、インフレによって家計のサイフの紐は益々固くなるという、いわゆる「悪いインフレ」が進行しつつある。景気の足取りがおぼつかないなかで、仮に、現状マイナス0.7%付近の日本の実質金利がプラスに転じれば、金融環境が引き締まり、かえって景気の足かせとなるリスクもある。

消費者マインドの改善には資源価格が下落するか、賃金が上昇することが必要だが、いずれも金融政策でどうにかできるものではない。景気度外視で円安是正に踏み切るなら、上述した手法やマイナス金利政策の修正など、取り得る手段がないわけではないが、日銀としてはその効果よりもリスクの方が高いとみているのではないか。加えて、日銀は急速な円安は望ましくないものの、円安そのものは日本経済全体にとってはネットでプラスとの考えを維持しており、現状では円安是正に動くこと自体考えにくい。

<将来に備えた議論を>

6月のFOMCで更新されたドットチャートでは、23年末の政策金利見通しの中央値が3.75%だったが、一方でFF金利先物は23年末で3.25%付近と、むしろ22年末の見通し(3.375%)より低くなっている。FRBの急速な金融引き締めによって、景気減速が早まるとの見方から、来年後半は早くも「利下げ」が市場で織り込まれているからだ。実際、米国経済が急速に減速する、あるいは景気後退に陥るなどすれば、ドルは大幅に下落する公算が大きい。それを思えば、足元の円安を過剰に不安視するよりも、円安のうちに出来ることを考えるほうが得策ではないだろうか。

岸田首相は5月、英ロンドンのシティで行ったスピーチで、「Invest In Kishida」と述べた。円安の今こそ、腰の据わった日本への長期投資のマネーを呼び込むべく、規制緩和や東京市場の活性化、政府のDX推進など、構造改革や成長戦略を推進する必要があるのではないか。実際、コロナ禍初期には、日本の危機管理に対する懸念が露呈した一方で、日本人の公衆衛生意識の高さや、ひとたびワクチンの供給が始まると一気に普及するという協調性、パンデミック初期に海外で起きたような略奪や暴動が日本では起きなかったことなど、海外から改めて見直されている面も大きい。

ひとたび門戸を開けば、円安の今がチャンスとばかりに、海外投資家が株式や不動産なども含めて、日本の資産を買いにくる可能性はありそうだ。その際に、例えば日本の水資源や質の高い農産物、安全性の高い食料品などが、気づいたら全て海外資本だったというようなことのないように、安全保障面から日本の何を守るのかという戦略も、同時に必要になってくるだろう。

他方、円安・資源高が続いた場合に、エネルギーを安定的に調達するためにはどうするのか、エネルギー安全保障の問題も具体的な戦略が見えないままだ。日銀についても、今後仮にマイナス金利を終了する場合にどういった手順を踏むのか、また、購入した資産をどう減らすのかなど、出口に向けた具体的なステップについて、円高の時にはできなかった議論を今こそ開始し、将来に備える必要があるのではないか。