弱気市場で参考にすべきウォーレンバフェットの言葉

長期投資の個人投資家、短期投資のプロ投資家

FOMCが利上げを続ける結果、米国株式市場は今後さらに下落するかもしれません。しかし、アメリカ人の多くは、あまり気にしていないようです。アメリカは、経済成長を続け、人口も増え続けていますから、もし、株価が下落しても、近いうちに上昇するだろうと思っているようです。ただし、四半期ごとに業績を問われ、最悪の場合、クビになるかも知れないと思っているプロの投資家は、そんな悠長なことを言っていられません。

数十年待てる若い人

一方で、若い個人投資家は、アメリカ株を中心に毎月コツコツとETFなどを買い続けて行けば、10年後、20年後には財産を築けます。日本においても、20代、30代の個人投資家は、イデコ、企業確定拠出年金、つみたてNISA、課税される投信積立で、コツコツと低コストインデックスファンドを買えば良いのです。

あまり待てないシニア層

しかし、年金を間もなく取り崩して生活しなければならない人、あるいは既に年金を取り崩し始めた人は、どう行動すればよいのでしょうか。

資産が1千億円あれば・・・

ウォーレンバフェットは、自分の相続財産の9割をVOO、残り1割を短期政府証券で運用することを勧めていますが、バフェットのように相続財産が1000億円あれば、その毎年のリターンが80億円、分配金だけで10億円以上ありますから、資産を取り崩す必要はありません。バフェットのアドバイスをどう生かせばよいでしょうか。USA Todayの2022年6月23日の記事で勉強しましょう。以下は拙訳です。

ウォーレン・バフェットのアドバイスが、弱気市場であなたの退職後のポートフォリオを救うかもしれない

ウォーレン・バフェットからのアドバイスに従うのは決して悪いことではありません。オマハの賢人と呼ばれるこの億万長者の投資家は、耳を傾けようとする人々に対して、豊富な知識とアドバイスを提供しています。年次総会や株主への手紙は、市場の状況に応じてどのように投資に取り組むのがベストなのか、重要な洞察を与えてくれます。

そんな彼のアドバイスの中で、今日、投資家にとって非常に価値のあるもの、つまり、大きな損失を出さずに済むものがあります。それは、投資で大損したとき、「穴を見つけたら、掘るのをやめることが一番大事だ」ということです。

この言葉にはどんな意味があるか

株で損失を出した投資家は、自分が穴の中にいると考えるかもしれません。損失が大きければ大きいほど、穴も深くなります。そして、より積極的な投資をしたり、平均取得価格を下げようとしたりして、今いる場所から自分を掘り出そうそうという気持ちになるかも知れません。

例えば、あなたが昨年、COVID-19ワクチンメーカーのモデルナ(ナスダック: MRNA)の株を497ドルの高値付近で買ったとします。 もし今、同じ株数を128ドル程度で買うとしたら、あなたの平均は312.50ドルに下がります。また、現在の価格で2倍の株式を購入すると、平均は251ドルになります。

このように、平均コストを下げるために、株を追加購入するインセンティブが働くことがあります。これは、計算式の「掘り下げ」の部分でしょう。しかし、そうすることで、今度は、自由落下している投資に、かなり多くの資金を投入することになります。一般に、バフェットは値下がりした優良株を買うことに反対はしないが、問題はそれが(モデルナのように)リスクのある買い物の場合だ。そのような状況では、その株が回復する見込みがない場合、事実上、自分でより深い穴を掘ることになりかねません。

平均取得価格を下げることは必ずしも最良の戦略とは限らない

モデルナの場合、このヘルスケア企業は前途多難な状況に直面しています。世界経済が回復し、正常な状態に戻ろうとする中、今年以降のCOVID-19の収益は依然として不透明です。ブースター注射や、オミクロンをターゲットとしたCOVID-19ワクチン(承認が得られれば)の需要もあるでしょうが、モデナの収益は今後数年で減少する可能性が高いのです。食品医薬品局(FDA)は、生後6カ月から5歳までの子どもを対象とした同社のワクチンの緊急使用承認(EUA)を与えましたが、できるだけ早く子どもにワクチンを接種すると回答した親は5人に1人以下です。

ノババックス(NASDAQ: NVAX)もまた、大きく下落した株の一例です。年初来で72%も暴落しており、これに比べるとModernaの50%減は大きな下落には見えません(一方、S&P 500は23%減です)。

さらに、ノヴァバックスの場合、米国市場向けに承認されたCOVID-19ワクチンさえありません。FDAの諮問委員会からの勧告にもかかわらず、FDA自身はまだノババックスのワクチンに対する米国緊急事態使用許可を認めていないのです。

このような状況下で平均取得価格を下げることは、危険であることがわかります。両社の株価は激しく下落していますが、それにはもっともな理由があるのです。これらの企業の将来は不透明です。株価が下がっているという理由だけで平均取得株価を下げるのは良い考えとは言えず、投資家にとって大きな損失となる可能性があります。

慎重であることは勇気があることでもある

業績が良くない銘柄は、売却して他の銘柄に目を向けるのが得策かもしれません。モデルナと ノババックス は、前途多難な企業の例であり、他にも枚挙にいとまがありません。これらの銘柄に倍掛け投資し、さらに資金をリスクにさらすよりも、より明るく確かな未来のある成長株を購入する方がよいかもしれません。