アーリー・リタイアメントに備えて

サラリーマンを廃業

60歳定年になったとたん、全ての背広を一着残らずごみ箱に捨てたサラリーマンがいます。本当にサラリーマン生活が嫌だったのでしょう。

将来なりたい職業はサラリーマン

私は小学生の時に、先生から何名なりたいと聞かれて、「サラリーマン」と答えました。先生が「サラリーマンと言っても色々あるけど、どんなサラリーマンかな?」と聞かれ、「会社員」と答えました。私の父親は、昭和30年頃に事業を立ち上げて失敗し、多額の借金が残った後に会社員になり、安定した生活を送れるようになりました。このため、会社員は悪くないと思っていたのかもしれません。第一生命の「大人になったらなりたいもの」の2022年ランキングの第1位は、小学生女子のパティシエを除いて、小・中・高の男女とも会社員でした。

早期退職、副業という選択肢

私自身も、日々の業務に追われるサラリーマン人生を送ってきて、アーリー・リタイアメントについては、あまり真剣に考えたことがありませんでした。しかし、これからの時代は、終身雇用が無くなり、早期退職、副業など、様々な選択肢について考えなければいけない時代になりつつあるようです。

大退職時代

欧米では離職する人が急増しており、”the Great Resignation”(大退職時代)として話題になっています。アメリカの離職率(離職者数/雇用者数)は2021年8月に3.3%に達し過去最高の水準となりました(資料1)。

こうした動きは日本でも生じているのでしょうか。そもそも日本は経済回復が道半ばであり、転職者数(前職があり、過去1年間に離職を経験した人数)は低迷しています。2019年(四半期データの平均)の転職者数が351万人であったのに対し、2020年は319万人、2021年前半は279.5万人と減少傾向でコロナ前を大きく下回っています(資料2左図)。しかしその一方で、このところ動きに変化がみられるのは転職を「希望する」人の数です。転職等希望者数は2019年に800万人、2020年819万人、2021年前半は841万人です。2020年、21年前半と、増加ペースは早まっています(資料2右図)。

アーリー・リタイアについて2022年6月7日のUSA TODAYの記事をもとに考えてみます。以下は拙訳です。

アーリー・リタイアのようなプランについて考えなけばならない理由。そのつもりが無くても・・・。

50代であれ、60代前半のある時期であれ、アーリー・リタイアの目標を持っている人をたくさん知っています。私自身はアーリー・リタイアの考えに関心はありません。(厳密にいうと、好きなようにできるのであれば、全くリタイアするつもりはありませんが、それはまた別の話です。)

早期リタイアすると、リタイアを遅らせることによって軽減されたかもしれない、数多くの問題に直面します。例えば健康保険を考えます。もし、65歳未満でリタイアすると、メディケアの補償の手立てをしなければなりません。これは多大な出費になりえます。

その次に考えるべきは貯蓄です。適切な額の老後資金を何とか貯めなければならないかもしれません。もしそのお金を20~25年間でなく、30~35年間持ちこたえさせる必要があると、同等の購買力を得ることはできません。

この理由から、アーリー・リタイアは良くないと考えてしまうのです・・・少なくとも私にとっては。それでもこのこの考えに同意するたくさんの人を知っています。ところが、ある大きな理由のために60代以降まで働くことが目標であった場合にも、アーリー・リタイアのためのプランを望んでいるかもしれません。

人生は必ずしも計画通りにはいかない

あなたは、60代後半あるいは70代になっても働き続けようと心に決めているかもしれません。しかし、健康問題が障害となって働けなくなれば、早期リタイアしなければならなくなってしまうかもしれません。

それこそがまさに、クレバー不動産が最近調査した早期リタイアした人々の53%に起きたことで、健康問題のためにスケジュールの前に仕事を辞めなければならなかったのです。若いころに健康を大事にすることによってそんなことにならないように手を打っていても、現実にはしっかりした習慣によって健康状態の良い人でさえ、悪い方向に向かう人がいます。

良い食事と健康的な体重を常に維持してきた、私の家族の一人を考えましょう。彼女は、60代で健康問題が生じると考える理由は、40代、50代の時には全くありませんでした。しかし過去2年間以上、関節に数多くの問題が発生し、疲労が進んで、週40時間の労働時間を20時間に縮減しなければならなくなりました。まだ62歳なのです。

社会保障給付金を早く申請しなくても済むように、できるだけパートタイムの仕事を続けることが彼女の目標です。そしてありがたいことに、あてにできるだけの貯蓄はしてあります。しかし、元々の計画は60代後半でリタイアすることで、現時点では、5年以上前にリタイアを早めざるを得ないと考えているところです。

重要なことは、早期リタイアせざるを得なくなった場合に金銭面でやりくりができるよう、仕事をしている間に着実に貯蓄することです。この方針に基づいて、401(k)やIRAの掛金増額を50代まで待たないようにするのです。それどころか、想定よりも働く年数が短くなるといけないので、人生の早い段階で貯蓄率を上げるのです。

健康問題は突然やってきたり、こっそりと忍び込んでくるかもしれません。しかし、適切に計画と貯蓄をしていれば、もし早期リタイアせざるを得なくなってもお金のことでやりくりする心配はしなくて済むでしょう。