高校向け 金融経済教育 4

<昨日の続き>

学習指導要領の改訂で4月1日から高校で本格的な金融教育が始まりました。どのような内容なのかを金融庁の金融経済教育指導教材をもとに覗いてみましょう。なお、飽きないように断続的に掲載します。

黒字はパワーポイントのスライド、紺色は発表者用のメモです。


高校生のための金融リテラシー講座

4-6.主な金融商品の特徴①  預金・現金

・銀行等にお金を預けること
・給与の受け取り、公共料金の引き落としなどでも利用
・お金の引き出しが簡単(銀行やコンビニのATMなど)
・元本保証あり(元本1,000万円までとその利息)(元本保証とは、金融商品の購入・投資に充てた資金が減ることはないということ。)

⇒ 預金・貯金は、一般的に、収益性は低い(△)が、安全性・流動性は最も高い(◎)。

  • 資産の持ち方として、金融商品ごとの特徴を見てみましょう。
  • まずは、「預金・貯金」。多くの人が日常生活で利用している金融商品です。銀行に預けるものを「預金」、郵便局に預けるものを「貯金」といいます。
  • たとえば給与は、預金・貯金口座への振込で受け取るのが一般的です。預金口座から現金をおろしたり、また現金を口座に入れたり、頻繁に使用されます。 また、私たちは預金を「決済」に利用しています。例えば、電気・ガス・水道などの公共料金、電話代、クレジットカードでの買い物代金などの自動引き落としです。預金・貯金は、多くの人の日常生活に利用され、「決済」にも利用されることから、手厚く保護されています。
  • 預金の特徴は、一般に「安全性」が高く、元本が確保され、「流動性」も高い、すなわち、現金に換えやすい点です。一方、「収益性」は低くなります。  

4-7.主な金融商品の特徴②  債券

・国や会社にお金を貸すこと
・定期的に利子が支払われ、満期がくれば 額面金額を受け取ることができる
・国が発行するものを「国債」、会社が発行するものを「社債」という
・発行した会社等が倒産すると、返済されない可能性がある
(元本は保証されていない)

⇒ 債券の安全性は、国債は高く(◎)、社債は発行企業次第。一般的に、流動性は低く(△)、収益性は、預金より高く、株式より低い(〇) 。

  • 「債券」とは、国や会社がお金を借りるために発行するものをいいます。企業や国は、お金を借りる代わりに定期的に利子を支払い、満期がくれば借りたお金(元本)を返すことを約束します。
  • 債券のうち、企業が発行するものは「社債」、国が発行するものは「国債」と呼ばれます。
  • 発行した会社等が倒産すると、返済されない可能性があります。
  • 債券の「安全性」は、国債は国の信用力により高く、社債は発行した会社次第です。「収益性」は、一般に預金よりも高いですが、満期前に売る場合には元本割れになる可能性もあり得ます。

4-8.主な金融商品の特徴②   株式

・購入者(株主)は会社の一部を所有することになり、  会社はお金を返す必要はない
・会社が上げた利益に応じて配当などを受け取ることができる
・会社の業績や、国内・海外の景気などによって、株式の価値(株価)も変動する
(元本は保証されていない)

⇒ 株式は、安全性は低い(△)が、高い収益性(◎)が期待できる。
流動性は高い(〇)。

  • 「投資」の一つの例が、株式を購入することです。
  • 株式会社は、「株式」を発行して一般の人などからお金を集め、そのお金で事業を始めたり、事業を拡大します。
  • 株式を持っている人を株主といい、株主は法的には株式会社の所有者です。このため、株式を買うことは、その会社の「持ち分」を買っていることになります。株主はお金を貸している訳ではないので、会社にとっては返済義務のない「資本」になります。
  • 株式は、発行企業の業績、特に利益が伸びれば配当金の増加や株価の上昇が期待できます。一方、赤字が続けば株価は下落し、経営が破綻すれば株式の価値、すなわち株価はゼロになることもあり得ます。
  • このように、株式は、「安全性」は低いですが、高い「収益性」が期待できる金融商品なのです。

4-9.主な金融商品の特徴③  投資 信託

・多くの人から集めたお金を、1つにまとめて大きな資金にし、株式などに投資する仕組み
・ファンドともいう
・株価の変動などによって、価格が日々変動する (元本は保証されていない)
・少ない金額から購入できたり、分散投資もしやすい

⇒ 投資信託の収益性、安全性は、投資対象次第。流動性は高い(〇)。

  • 「投資信託」は、多くの人のお金を専門家がまとめて運用し、成果を分配するものです。投資信託は、 さまざまな内容のものがあります。たとえば運用対象が債券中心、株式中心、不動産中心、海外資産中心などです。多くの銘柄、数種類の金融商品などに「分散投資」する投資信託もあります。
  • このため、投資信託の収益性、安全性、流動性は、内容次第です。運用している対象をよく確認し、特徴を把握する必要があります。元本は保証されていません。 投資信託には、運用を専門家に任せることができる、豊富な商品群から選択できる、少ない金額から買うことができ、分散投資もしやすいなどの特徴があります。

4-10.主な金融商品の特徴まとめ

安全性 収益性 流動性
預金・貯金
株式
債券
投資信託

⇒ 3つとも◎の金融商品はありません。目的に応じて使い分けましょう。

  • 安全性・収益性・流動性の3つとも◎の金融商品はありません。
  • 流動性:預金・貯金は24時間引き出せるので◎、株式・投資信託は売却後4~5営業日かかりますので〇としています。債券は途中で売却することもできますが、満期保有が原則なので△としています。預金・貯金はATM利用手数料、株式・債券・投資信託は売買手数料等を確認しましょう。
  • 投資信託の安全性や収益性は投資対象次第ですので、幅を持たせています。
  • 生活費や使う予定がある資金は、預金・貯金に入れましょう。
  • 当面使う予定がなく増やすことを考える場合は、株式、債券、投資信託といった金融商品を購入することを検討しましょう。

<次回へ続く>