◎今日のグラフ:保険などの還元率
どの生命保険に入るべきか
生命保険については、サラリーマンなら勤務している会社の福利厚生で募集している掛け捨ての団体生命保険が、唯一勧められる保険だと言われています。生命保険会社の部長さんは、それしか入らないそうです。なぜ他の保険に入らないかと言えば、
- 事業費が高い(還元率が低い)
- 高額療養費制度があるので入る必要がない、
- 無駄な保険料を払うなら投資に向けた方が効率が良い、
からだと推測されます。
還元率
事業費というのは契約者が支払う保険料です。事業費は生命保険会社の人件費・広告宣伝費等に使われます。そして事業費以外が保険金として払い戻されます。保険料の何パーセントが保険金として支払われるかという割合を、ここでは還元率と表現します。保険は、「不幸の宝くじ」とも言われます。この、宝くじ、サッカーくじ、地方競馬、競輪、競艇の公営競技、そしてアメリカのS&P500のETF(SPY)の5年トータルリターンと還元率を比較したグラフを掲げます。
還元率 | |
宝くじ | 45.7 |
サッカー | 49.6 |
公営競技 | 58.5 |
アフラック | 75.5 |
日本生命 | 86.6 |
都道府県 民共済 |
88.2 |
SPY5年 リターン |
109.2 |
還元率の低いアフラック
宝くじの還元率は45.7%で最も低い数字です。公営競技の当せん金率は74.8%なのですが、そこから所得税と住民税を引かれて、手元に戻るのは58.5%まで下がります。生命保険の中では、アフラックの還元率が75.5%で最も低くなっています。
サラリーマンなら会社の団体生命保険
都道府県民共済の還元率は人件費が低いので88.2です。このグラフには出ていませんが、会社の福利厚生で募集している掛け捨ての団体生命保険は、人件費がかかっていませんから、更に還元率が高いと思われます。また、ネットで申し込める生命保険も、それに近い還元率だと思われます。それらに比べると、還元率が100%を超えているのは、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の5年トータルリターンです。
掛け捨ての団体生命保険以外はETFなどで運用
団体生命保険以外は、SPY等の株式ETFで運用して、思いがけない出費に対応するのがよさそうです。無駄な保険料を払って、生命保険会社社員の給料を増やすより、ETFやインデックスファンドで自分の資産を増やした方が得だと思います。結婚して子供が就職するまでは、万が一のために会社の団体生命保険に入り、その時期が過ぎたら生命保険は止めるというのが、最も合理的な保険活用法だと思います。
医療保険は健康保険の高額療養費制度で十分
日本には健康保険の高額療養費制度がありますから、医療保険については、入る必要がありません。サラリーマンは、健康保険の保険料を年間数十万円から100万円以上支払っています。給与天引きなので、支払っているという負担感の無い人もいるかもしれませんが、既に多額の保険料を強制的に支払わされています。従って、民間の医療保険に入る必要はないと思います。なお、売れ筋の医療保険の還元率は、保険数理の専門家によれば70%程度だそうです。
銀行の外貨建て保険などはブラックボックス
銀行の窓口で販売している、外貨建て保険などについては、コストも明示されておらず、ブラックボックス部分が大きすぎますから、やめた方が良いと思います。それに比べると、投資信託は、販売手数料と運用管理費用(信託報酬)が明示されているので良心的です。銀行窓口で販売されている外貨建て保険などは、顧客にコストを分かりにくくしていて、良心的ではありません。
結論
最終的に、結論を言いますと、生命保険については、子供が大きくなるまでは、会社の福利厚生としての掛け捨て団体生命保険に入り、それ以外の保険には近づかない方が良いと思います。