老後資金2000万円報告書4

◎今日のテーマ:老後資金2000万円報告書4

◎ 長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要

長期・積立・分散投資による資産形成

「夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。」

◎ 長期・積立・分散投資の有効性

保有期間20年

「長期・積立・分散投資による効果は、積立が長期であればあるほど、投資先を分散すればするほど、収益がバラつきにくくなる特徴がある。1985 年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券に積立・分散投資したと仮定し、各年の買い付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとにして運用結果を算出すると、保有期間が5年ではマイナスリターンも発生するが、保有期間が20 年になるとプラスリターンに収斂し、さらにそのバラつきも小さくな。」

日本だけでなくアメリカにも投資

さらに期間を 40 年という超長期で見ても、日経平均だけに積立投資するよりも、米国 NY ダウと組み合わせた方がトータルリターンはさらに大きくなり、そのバラつきも小さくなる。80 年代頃は日本国内でも高金利を享受できたが、同じく 40 年間、毎年定期積金した場合のトータルリターンは 13.9%ほどにとどまる。これらの例は、過去の実績に基づくものであり、将来においても同様の結果になるとは限らず、想定外の損失が発生するリスクも存在することには留意が必要であるが、長期・積立・分散投資がリスクをコントロールし、一定のリターンをもたらしやすい点で、多くの人にとって好ましい資産形成のやり方であると考えられる。

年2%の利回り

「仮に、月に 5,000 円、年6万円の少額拠出であっても、30 年拠出し続ければ(総拠出額 180 万円)、全期間において年2%の利回りを想定すると、246 万円となる。ここで確認しておく点は、上のシミュレーションで確認したように市況は短期的に変動しうるが、長期的に見ればリスク・リターンのバラつきは収束することである。また、年2%の利回りを想定したが、これが仮に1%だと 209 万円まで減少する。利回りの減少に影響を与える要因として、市況以外には信託報酬等の恒常的な手数料があげられる。この手数料の高低が長期投資においてはその果実に大きく影響を与えることはよく認識しておく必要がある。」