家系の保有する1000兆円の海外逃避

膨大する国債残高の将来

このブログの重要なテーマの一つが、膨大する国債残高は将来どうなるのか、ということです。今のところ、家計の保有する現金・預金の多くは銀行に預けられているのでハイパー・インフレは起きていませんが、日本でインフレが進み、海外に逃避させれば、円売り・ドル買いの結果、円が安くなって、いっそうインフレが進みます。首都直下型大地震や東南海地震が起きて、住宅、商業ビルディングの建設やインフラ復旧需要が起きれば、銀行預金は引き出され、資材の物価が上昇してインフレになり、やはり資産の海外逃避が起こるでしょう。

資産の海外逃避

中国、香港などの富裕層は資産の海外逃避を勧めています。日本でも富裕層が海外に資産を移転していて、国税庁はそれを把握しようとしています。日本の円を信頼できなくなった日本銀行OBや財務省OB達は、退職金の円を売ってドルを購入しています。今日は、そのような事情を勉強します。

プレジデントオンラインの2020年10月10日の記事です。


資産の海外逃避を急ぐ中国の超富裕層とそれを食い止めたい中国政府の最終決戦

デジタル元の成否を欧州中銀が注視

中国ではデジタル人民元の実用化実験が進行中
紙幣ではなくデジタルな形で保有できる通貨をデジタル通貨と呼ぶが、電子マネーや仮想通貨などがこれに含まれる。さらに近年は、中央銀行が発行するCBDC(Central Bank Digital Currency)と呼ばれるデジタル通貨の開発競争が激しさを増しているが、その代表格が中国のデジタル人民元だ。

中国ではすでに実用化に向けた実験が進んでおり、深圳、蘇州、雄安の3都市でテスト運用のための口座(デジタルウォレット)が企業と法人向けに開設された模様である。その他にもカンボジア(バコン)やバハマ(サンドダラー)、東カリブ(デジタル東カリブドル)などが、実証実験の段階に入っている。

日銀や米連銀(FRB)、そして欧州中銀(ECB)といった主要中銀もデジタル通貨の調査研究に着手する方針を相次いで示している。そのうちECBは10月2日付のリポート(Report on a digital euro)で、2021年半ばまでに欧州連合(EU)版CBDC(デジタルユーロ)の発行に関する調査検討を本格化させるか結論を下すと表明した。

富裕層を中心に資産を海外逃避させる動きがやまない

とはいえ、リポートでのECBの言い回しは「慎重」である。理由は簡単で、中国にはデジタル人民元の発行を急ぐ理由があるわけだが、ECBにはそれがないからに尽きる。ECBのスタンスは日銀やFRBにも通じるところがあるが、ここでは中国と欧州の比較から、開発が進むCBDCに関して簡単な整理を行ってみたい。

中国がデジタル人民元の発行を急ぐ目下の理由は、資本流出対策にある。この40年ほどで中国の経済は著しく発展、一人当たり所得も1万ドルを優に超え、世界第2位の経済大国にのし上がった。経済的な実績が十二分に果たされたこととは裏腹に、中国の人々の自国通貨、人民元に対する信頼は非常に弱いことで知られる。

中国ではいわゆる富裕層を中心に、香港をはじめとして世界のさまざまな都市に自分の資産を逃避させる動きがやまないが、それには違法性を伴うことも多い。それに海外で資産を購入するためには、人民元を売って外貨(主にドル)を買う必要があり、それが強い通貨安圧力になる。こうした圧力に対して、中国人民銀は為替介入を通じて対抗してきた。

アフリカでのデジタル人民元の流通は実現可能性が高い

人民元をデジタル化できれば、当局は決済を厳格にモニタリングすることができる。違法性を伴う取引に関して懲罰的な措置を迅速にとることも可能だ。取引が当局に把握されていることが分かれば、違法性を伴う海外への資産逃避も不可能となる。つまるところ、資本流出が減ることが期待できるである。

資本流出が減れば通貨の安定につながり、悲願である国際通貨への道も開けてくる。それにデジタル人民元の発行で、自らの影響力が強い地域、例えばアフリカでの人民元決済を拡大させることができるかもしれない。スマホ決済の普及率が高く、親中的な国も多いアフリカでのデジタル人民元の流通は実現可能性が高い話だ。

他方でECBの場合、資本逃避を警戒する必要がまずない。それに財政が統合されていないという看過できない性質を持つものの、ユーロがドルに次ぐ第二の国際通貨としての地位を築いている。2010年代前半のユーロ危機の際、確かに国際通貨としての信頼感は揺らいだが、一方で世界の人々はユーロという通貨を今に至るまで使い続けている。


次にブルーム・バーグの2020年6月15日の記事で香港富裕層の動きを勉強しましょう。


最悪のシナリオに備える香港富裕層、資産の国外逃避じわり

アジアの金融ハブである香港が少なくとも1997年以降で最悪の経済的および政治的危機に直面する中、同地の富裕層は資産を外国に分散させるなどリスクヘッジの動きを強めつつある。

あるビジネスマンは1000万ドル(約11億円)をシンガポールに移し、さらに資金を移動させようとしている。香港の不動産価格が高過ぎるとしてロンドンの不動産に目を向ける動きもある。富裕層は海外の銀行口座を開設し、第2のパスポートを申請している。

まだ大量資金流出には至っていないものの、多くの富裕層投資家は香港へのエクスポージャーを減らしているか、すぐに資産を引き出せるようにしている。これは金融ハブとしての地位を守ろうとしている林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官にとっては試練に他ならない。

プライベートバンカーらは、先月に中国が国家安全法を香港に適用する方針を示して以降、顧客が緊急時の対策を加速させていると述べた。

ポート・シェルター・インベストメント・マネジメントのリチャード・ハリス最高経営責任者(CEO)は「われわれが目にしているのは要するに、ゆっくりとした列車事故のようなものだ」と指摘。「まだ資金を外に移していない人は『そろそろ自分も移した方がよさそうだ』と考えたくなるだろう。その流れは続く公算が大きい」と述べた。

確かに今のところ、幅広い資本逃避を示す証拠はほとんどない。香港の銀行預金は4月に過去最大に膨らんだほか、香港ドルは対米ドルの許容変動幅の上限近くでの推移が続いており、香港への資本流入が続いていることを示す。

しかし、香港の起業家や高額所得者の多くが個人的に示す見解は悲観的だ。

シンガポールに1000万ドルを移したという男性ビジネスマンは、香港に持つ不動産の売却も進めており、国外移住の具体的計画はないものの、複数の選択肢を検討している。自身と家族は米国、カナダ、オーストラリア、フランスのパスポートを持っているという。

ゴールドマックス・イミグレーション・コンサルティングで移住プログラムのディレクターを務めるマーガレット・チョー氏は、香港国家安全法のニュースが伝えられて以降、同社への問い合わせが約5倍に増えたと明かす。今のところ、富裕層顧客の多くはすぐに香港を離れるより、「脱出ルート」を準備する方に関心を持っているという。

「彼らはこれをバックアップ計画として考えている」と同氏は述べた。


次にDIAMOND ONLINE 2021年7月22日の記事で日本の国税庁の動きを勉強しましょう。


富裕層の海外資産掌握を狙う「国税庁DX」の落とし穴、国税OBが指摘

国税が富裕層を狙い撃ち

海外資産に対する包囲網

かつて、昭和から平成の初めにかけて、富裕層は国税当局にとって「お客さま」だった。富裕層は高額納税者であり、かつ、社会に対する影響力も看過できない存在だったからだ。

それが今や、海外への資産移転など租税回避の問題が明るみに出たことなどをきっかけに、課税当局の狙い撃ちの対象となり、富裕層包囲網が確実に築かれている。

現在、富裕層の海外への資産移転など過度な節税・租税回避をターゲットに、国税庁は「富裕層PT(プロジェクトチーム)」を設置、全国の主要な出先機関に展開している。それを勢いづけたのが、大阪国税局が実施した兵庫県芦屋市の富裕層に対する重点調査だ。実に、総額43億円の申告漏れを指摘し、大きな実績を上げている。

さらに、富裕層と親和性のある海外資産に対して、課税庁が捕捉する大きな「武器」を手に入れている。それが「共通報告基準(CRS)情報」だ。

2016年に、経済協力開発機構(OECD)においてCRSが策定された。参加国の間で、互いの国内における非居住者に係る金融機関の口座等の情報を、活用先の国と自動的に交換する体制が整備されたのだ。

わが国がCRSに参加し、情報交換の初年度となった18年度には55万件の国外金融口座情報を受領したが、19年度にはすでに200万件を超える情報を受け取っている。

何より、CRS情報は、従来の「国外送金等調書」や法定資料の交換によるものとは異なり、金融機関口座の残高や、取引内容に係る直接的な情報が反映されている。そのため、税務調査における破壊力は絶大である。

早速、国税当局が税務調査にCRS情報を活用し、海外資産に関する事案や富裕層に対する調査企画および調査事案を組成し、着々と実績を上げている。しかしながら、CRSによって、海外資産を利用した課税逃れに全てふたがされたというわけではない。依然として、CRSから免れる手法は残っているのだ。


以上が、中国、香港、日本の状況でした。

米ドル>ユーロ>>日本

海外逃避をしている国の通貨は信用のない通貨だと言われています。日本円は、米ドル、ユーロの次に信頼されている通貨ですが、最も実情をよく知っている日本銀行OBや財務省OBが円を売ってドルを買っているのが実情ですから、日本円を信頼しているのは日本の庶民だけかもしれません。その日本の庶民が日本銀行OBや財務省OBと同じ行動を取れば、円は暴落してハイパーインフレになるかもしれません。