東京証券取引所のETFの最近の状況

東証で買ったのは1306のみ

私のポートフォリオの中で東京証券取引所で購入した商品は1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))だけで、現在約6000万円ほどの評価額です。私は個別株式を持たず、あまり売り買いせずに10年間そのままにしているので、東証にとってあまり良い客ではないでしょう。最近の東証のETFの状況を確認したいと思います。

2021年11月16日、東京証券取引所は2021年版のETF受益者情報調査結果を公表しました。これによると、ETF(上場投資信託)・ETN(上場投資証券)の受益者(投資家) が初めて100万人を突破したそうです 。

ETFとETNの違いは何でしょうか?

ETF(上場投資信託)とETN(指数連動証券)は、裏付け資産および信用リスクの有無が異なります。ETNは発行体が倒産した時に資産が危ういので、近づかない方が良さそうです。

ETF(上場投資信託) ETN(指数連動証券)
リターンの源泉 現物証券 指数連動証券
特定の指数に連動するようにユニット化 リンク債のため、裏づけとなる資産を持たない
メリット 運用会社からの倒産隔離がなされている。 連動する指数とETN価格の乖離が起きない。
(裏づけ資産=分別保管) 幅広い指標を対象とできる。
デメリット 連動する指数とETF価格が乖離する可能性がある。 発行体からの倒産隔離がなされていない。
(債券=発行体の信用リスク)

現在、東証に上場されているETFはたくさんありますが、そのうち、純資産総額の大きい上位10銘柄を確認します。表が長くなるので、純資産総額等の数字データは、下の方に表示します。

順位 コード 銘柄名 種類 指数名 管理会社
1 1557 SPDR S&P500 ETF 外国株ETF S&P500®指数 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・トラスト・カンパニー
2 1306 NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 国内株ETF TOPIX 野村アセットマネジメント
3 1321 NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 国内株ETF 日経平均株価 野村アセットマネジメント
4 1308 上場インデックスファンドTOPIX 国内株ETF TOPIX 日興アセットマネジメント
5 1305 ダイワ上場投信-トピックス 国内株ETF TOPIX 大和アセットマネジメント
6 1326 SPDRゴールド・シェア 商品ETF 金地金価格(LBMA金価格) ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー
7 1330 上場インデックスファンド225 国内株ETF 日経平均株価 日興アセットマネジメント
8 1320 ダイワ上場投信-日経225 国内株ETF 日経平均株価 大和アセットマネジメント
9 1348 MAXIS トピックス上場投信 国内株ETF TOPIX 三菱UFJ国際投信
10 1346 MAXIS 日経225上場投信 国内株ETF 日経平均株価 三菱UFJ国際投信

信託報酬

信託報酬はすべて0.5%以下ですから、上位銘柄は比較的低コストで保有できます。その中でも私の保有する1306は、実質0.06%ですから、かなり安くなっています。

順位 コード 最低買付金額(円) 純資産総額(億円) 信託報酬 信託報酬の税 分配金利回り 乖離率 マーケットメイク
1 1557 53,600 471,416.4 0.0945% あり
2 1306 20,565 158,652.5 0.0968% (税込) 1.77% -0.05% あり
3 1321 29,545 78,499.8 0.1980% (税込) 1.23% 0.00% あり
4 1308 203,450 74,319.1 0.0968% (税込) 1.79% -0.02% あり
5 1305 20,800 73,773.8 0.1210% (税込) 1.80% -0.04% あり
6 1326 18,920 65,508.4 0.4000% あり
7 1330 295,850 37,308.9 0.2475% (税込) 1.21% 0% あり
8 1320 29,490 36,547.6 0.1760% (税込) 1.24% 0% あり
9 1348 20,630 23,670.3 0.0858% (税込) 2% 0.23% あり
10 1346 29,730 18,608.2 0.1870% (税込) 1.24% 0.15% あり

1557は取引金額に要注意

1位の 1557 SPDR S&P500 ETFの純資産総額が47兆円と大きいのは、ニューヨーク市場がほとんどを占めているからで、東京での1日当たりの売買代金は2億円程度で、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))の10分の1程度しかありません。したがって、数千万円以上の大きな取引をするならニューヨーク市場で売買した方が良いかも知れません。

取引量が少ないことに関して東証は改善を図っています。

マーケットメイカー

マーケットメイカーと呼ばれる「投資家の取引相手となる」専門業者、それもアメリカでも多くの銘柄で投資家の取引相手となっている業者を誘致し、彼らが買い注文と売り注文を出し続けることで、多くの銘柄で、投資家はいつでも売買ができるように努力しています。

コストの観点では「東証上場の米国ETF」、「米国市場に上場する米国ETF」のどちらに優位性があるのでしょうか。

日米コスト比較

ETFに投資をした際にかかるトータルコストは、スプレッドコスト+信託報酬等の保有コスト+売買手数料(+為替手数料:海外上場ETFのみ)の合計となります。スプレッドとは売値と買値の差です。為替手数料とは、円をドルなど外国の通貨に交換する時に金融機関に支払う手数料であり、海外市場に上場するETFを売買する際に必要となります。

1年間保有する場合のトータルコスト

一例として、S&P500に連動するETFを50万円分買い付け、1年間保有する場合のトータルコストをそれぞれ試算・比較した東証マネ部の作成した図があります。

東証上場の米国ETFの場合、スプレッドコスト(0.104%)・信託報酬(0.12%)・売買手数料(0.059%)の合計0.283%となり、50万円を買い付けた場合、1年で1,415円のコストがかかります。

一方、海外上場の米国ETF(VOO)の場合、スプレッドコスト(0.004%)・信託報酬(0.03%)・売買手数料(0.483%)・為替手数料(0.152%)の合計0.669%となり、同じく3,345円のコストを要する結果となりました。

長期保有ならアメリカでの売買が有利

この図だけを見ると、東証で買った方が低コストとなりますが、私のように10年、20年という長期間保有する バイ・アンド・ホールド Buy and Holdの投資家にとっては、グレーの売買手数料と黄色の為替手数料が10分の1,20分の1になるので、ニューヨークで買った方がはるかに低コストです。