インフレーションの影響

トマトジュース値下げ?

いつも買っているトマトジュースが148円から138円に値下がりしました。しかし、内容量を見ると900gから730gに減っています。ステルス値上げです。

企業物価が過去最大の上昇

日銀が2021年12月10日に発表した11月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比プラス9.0%でした。上昇率は前月の8.3%から拡大し、さかのぼって比較できる1981年1月以降で最高の伸び率となりました。石油・石炭製品などの輸入品の物価が上昇し、国内企業物価指数の押し上げにつながっています。

インフレを喜ぶ人

財務省や日本銀行は、このインフレを喜んでいるでしょう。インフレが進めば、国債による債務残高が実質的に減少するからです。もしインフレでモノの値段が2倍になれば、名目上のGDPは膨らみ、GDP比債務残高も2分の1になります。債務残高が2分の1になれば、日本は他の先進国並みになるのですから、財務省は大喜びです。日本銀行も7年間金融緩和を継続してきた甲斐がありました。

損をする人

しかし、政府が得をすれば誰かが損をするわけで、それは現金や銀行預金を持っている個人でしょう。インフレも、アメリカ人は5%まで、日本人は3%程度まで喜んで許容するという専門家もいますが、3%でも10年複利なら34%ですから、資産の実質的減少はかなり激しくなります。ウォーレン・バフェットも2021年11月14日のMarkets Insiderの記事でインフレに関して警告する発言をしていますので、それを確認しましょう。以下は拙訳です。

ウォーレン・バフェットはインフレーションを『巨大な企業内サナダムシ』と呼びました。価格上昇に関する投資家への昔からの警告は以下の通り

  • バークシャー・ハサウェーの年次総会の間もコストは急上昇しているとウォーレン・バフェットは言います
  • 個人や企業にとってインフレーションは『巨大な企業内サナダムシ』だと言ってきました
  • 価格を上げることができ、規模拡大のための資産を持たない企業はインフレーションを容易に乗り越えることがよくある

ウォーレン・バフェットは、「現在はかなりのインフレ」であり住宅建設コストは「どんどん、どんどん」上がっていると、バークシャー・ハサウェーの今年度年次総会で語りました。この著名投資家は、過去において、投資家や企業に与えた株価上昇のひどい衝撃を警告しました。

バークシャーCEOのバフェットは、高いインフレは「資本税」であり、企業の投資意欲を減退させると1980年の株主への手紙の中で語った。資本に対する目標利益率である「ハードル・レート」は、投資家にとって実質リターンを生む必要があり、物価が上昇する時には上がると言いました。

「平均的な納税投資家は、現在、下りのエスカレーターを駆け上っていて、駆け上がることが無駄になるところまで、下りエスカレーターは加速している」と付け加えました。

インフレは投資に関するプラスのリターンをマイナスに変換させ得るので、所得税以上に害があると投資家は指摘します。もし物価が十分に上がれば、投資に対する名目上のリターンを得た人々も、購買力は投資以前よりも低くなるかもしれないと、バフェットは言います。

インフレーションは企業のお金も消耗するのですが、その理由はコストが上昇すると、現状の事業規模を維持するために、稼いだ現金を使わなければならないからです。悪いビジネスにとっては「特に皮肉な」仕打ちとして影響を受けると語ります。

「インフレーションは鏡を通して、不思議の国のアリスの世界の混乱した世界へと導びく」と言います。「悪い事業はできるだけ多くの5セント白銅貨を取っておかなければならない」と続け、たとえもし資金に対して大したリターンを支払えなくても、株主にわずかなお金を支払いたがります。その理由は、お金が必要な時に新たな資金をなんとかして集めたいからでしょう。

バフェットは、物価高がすべての企業に与える過酷な影響についても強調します。

「インフレーションは巨大な企業内サナダムシだ」と言います。「このサナダムシは、宿主生物の健康にかかわらず投資資金を毎日必要なだけ宿主生物に先駆けて消費する。債券、在庫、固定資産について、企業の利益にかかわらず、単位当たりでは前年以上の支出が必要となる」と言います。

「企業が裕福でなくなるほど、サナダムシが要求する栄養物の割合が大きくなる」とバフェットは続けます。資産が多くて、資本に対してわずかなリターンしかない企業は拡大、負債返済、配当支払い、買収に必要な「余りものがない」と言います。こうした状況で現金を使ってしまうと、売り上げ規模、長期競争力、財務力を犠牲にすることを意味するだろう、と言います。

「インフレーションのサナダムシは料理を食べつくす」と言います。

バークシャーの社長であるバフェットは、インフレーションを最も良く乗り切るような企業についても語っています。無形資産があり、有形資産をほとんど必要としない企業はうまくやっている、と言います。

実質的なマーケット・シェアや売り上げを犠牲にせずに、そして多額の追加投資をせずにドル・ベースの事業拡大に適合でき、価格を上げられれば、物価上昇に耐えることもできるでしょう。

バフェットは、バークシャーが保有するシーズ・キャンディーズや、最大の投資先の一つであるコカ・コーラを例に挙げます。両者とも強力なブランド力を持ち、事業規模をあまり減らさずに値上げでき、成長のために多額の資本を必要としない、と言います。