私のポートフォリオ2020年5月

インフレ対策の株式、不動産

私(江戸庄蔵)の資産は、このポートフォリオと自宅の不動産で、それ以外は、普段の生活に必要な預金が100万円と財布に入っている数万円だけです。昨年末からインフレが猛スピードで進行していますが、インフレが進む時期には、株式、不動産が強さを発揮すると言われています。連れ合いにも10数年前に繰り返し説得して、株式ETF投資を始めさせました。現在はその方針が功を奏しているようです。ただし、人生と投資は常に中間評価ですから、10年後、20年後にどうなっているかは分かりません。

デフレ時代の終わりか?

日本のデフレは20年以上前から続いてきましたが、それの主要な原因の一つが中国の世界工場化でした。私は30年ほど前に何回も訪中して中国のメーカーと交渉をしていました。その頃の中国は、工場から、緑色をした化学薬品が大量に含んだ工場廃液を、海にそのまま垂れ流していました。紙の印刷物は、赤、青、黄のインクが1ミリほどずれていて、少し見ていると不快になるほど劣悪な技術水準でした。工場の工事担当者は3人いると、そのうちの2人は遊んでいて、一応働いているのは1人だけという有様です。しかし中央政府の号令の下に、日本など世界の技術を必死に取り入れようとしていました。その結果、中国世界に製品を輸出できるようになり、経済成長してきた半面、日本をはじめとして世界の先進国がデフレになりました。

中国のコスト競争力優位の終焉

最近になって、安さを武器とした中国の成長に陰りが見え始め、デフレの時代が終わり、インフレの時代になるかも知れません。中国の代わりに、インドや東南アジアが世界の工場となるには、かなりの時間がかかりそうです。

家族全員が株式のETFとインデックスファンドで投資

私、連れ合い、娘、息子は、全員内外の株式ETFか、低コストインデックスファンドに投資をしています。ほとんど現金は持っていません。違いは、私と連れ合いはETFが中心であり、子供たちは低コストインデックスファンドあることです。また、国内株式の割合が、連れ合いは4割、私は2割、子供たちは0割です。

投資評価額は1割減少

今年に入ってから、内外の株式が大幅に下落しました。外国は2割、日本は1割の下落でした。しかし、外国株式の評価額は円安になると上昇しますから、外国株式が2割下落しても、円安が1割でしたから、差し引き評価損は1割で済みました。

日本の膨大な国債残高

私が投資を本格的に始めた理由の一つが、日本の膨大な国債残高だったのですが、その狙いが当てはまってきているようです。1千兆円も借金をしている国の通貨を持ち続ける気にはとてもなれません。米欧で金融の引き締めが起こった今、1ドル100円以下の円高には、もうならない可能性が高いと思います。もし日本が金融引き締めを始めたら、それは金利が上昇するということですから、その結果、国債利払い費が増え、さらに国の借金が増えることになります。しかも、2年前の新型コロナウイルス対応の費用が膨らんだ上に、ロシアのウクライナ侵攻を受けて防衛費を2%にするというのですから、とんでもないことになる状況が刻一刻と近づいています。

プライマリーバランス方針の後退

政府が近々まとめるいわゆる「骨太の方針」の原案で、国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標について「検証」するとまとめる方針です。政府は、2025年度に新たな借金に頼らずに政策経費をまかなう基礎的財政収支=プライマリーバランスの黒字化を目指していたのですから、「堅持」を表明した前回の骨太の方針などからは事実上、後退した表現になります。

このような深刻な状況にもかかわらず、日本人の多くは、この状況への対策を講じていないようです。しかし、私とその家族は一応対応しています。他にも行動している人達はいるのでしょうか。豊島逸夫の2022年5月27日のコラムを見てみましょう。


「金」を買いたがる日銀OBたち 2022年5月27日

これは実話である。
筆者は「団塊の世代」ゆえ、後輩たちから「資産運用」について個人的アドバイスを請われるケースが多い。

その中で「金投資」に強い関心を示すのが、知り合いの日銀OBたちのグループだ。既に金購入を決めているので、質問は具体的で「いつ、どこで買えばよいか」

筆者が「なぜ金に興味を持つのか」を問うと、「量的緩和政策に直接関与してきた。円はいくらでも刷れることを職場で実感してきたので、何か刷れない資産を模索して通貨の原点である金に回帰した。」と語る。「虎の子の退職金を円では持ちたくない」とまで言い切る。通貨の番人を40年務めあげた人物のコメントゆえ、筆者の背筋がヒンヤリする。

財務省OBの知り合いも退官後に金を買いたがる傾向がある

キャリア組として中核にいた人物が「日本はいつかジンバブエになる。」と真顔で語る。トンデモ本に感化されたわけでもない。平然と「自分は日本国のバランスシートを作成してきた。退職金を円で保有するリスクを痛感している。」と語る。

いずれも親しい仲ゆえ、本音が飛び出す。「豊島さん、これからは金の時代ですよ」と彼らから言われると「アンタに言われたくないよ」と返してしまう。有事の金や金価格高値更新のニュースもこのおじさんたちのハートを鷲掴みにしたようだ。筆者は資産運用で主役は株、金は脇役有事の金のドカ買いは悪魔の選択と冷ややかに諭す
何とも考えさせられる現象である。

これとは異次元だが、似たようなエピソードが米国にもある。

グリーンスパン元FRB議長が退官後、講演料が当時で10万ドル近くに跳ね上がった。あるヘッジファンドの国際会議で講演した時、事務局が「先生、講演料ですが、どの通貨で送金しましょうか。ドル、ユーロ、円、どの通貨でも結構ですが」と持ちかけると、一言「ゴールド」と言ったという。某著名キャスターが番組で紹介した話である。

金の世界では「量的緩和による通貨価値の希薄化」が「金が買われる理由」のひとつとされるが、その実態を筆者は体験してきたわけだ。
今や米国では量的引き締めの時代に入ったが、日本では量的緩和が継続されている。今後中央銀行の資産圧縮が進めば、このような事例はなくなるのか。なくならなければ量的引き締めの実効性が覚束ないことになる。筆者にとっては金融政策の有効性を判断するひとつのよすが(縁)になりそうだ。