50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 2022年要約版2

<昨日の続き>

具体的ETF

今まで、日本株式:外国株式の比率を、50%50%とするパターンと、25%75%とにするパターンを例示しましたが、この二つのパターンに具体的ETFを当てはめてみましょう。

ポートフォリオ A

一つ目がポートフォリオAで、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))50%、VOO(バンガード社のS&P500)50%です。VOOは野村証券では買えますが、大和証券では買えないので、SPYが代替案になるでしょう。

日本株式ETFは1306

日本株式ETFの有力候補としては、TOPIX型と日経平均型がありますが、

  • TOPIXの方が市場の実態をよく表していること
  • 日経平均の信託報酬が高いこと

からTOPIX型を選択しました。その中でも1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

少額ならVOOの代わりに1557もある

ここで、購入銘柄を少し工夫してみます。1306は東京証券取引所に上場しているETFなので、一般の個別株式と同様に、売り買いができます。一方、VOOは、アメリカのニューヨークにあるNYSE Arcaに上場されているので、夜間取引になります。具体的には、あらかじめ証券会社に購入を申し込んで、翌日以降に購入することになります。つまり、時間差が少しあって、ひと手間かける必要があります。そこでもっと簡単な方法で買うようにします。VOOと同じくアメリカのS&P500に投資するETFの中で、世界最大のものはSPYですが、このETFは1557というコードで東京証券取引所に上場しているので、この1557を購入すればよいのです。なお、2559(MAXIS全世界株式(オール・カントリー))という株式ETFも上場されていて、アメリカだけでなく全世界に投資できるのですが、純資産額が168億円しかないので、規模の面で心もとない感じがします。

VOOと1306は5年かけて分散投資

現金・預金 300万円
個人向け変動10年国債 700万円
1年目:VOO 100万円
1年目:1306 100万円
2年目:VOO 100万円
2年目:1306 100万円
3年目:VOO 100万円
3年目:1306 100万円
4年目:VOO 100万円
4年目:1306 100万円
5年目:VOO 100万円
5年目:1306 100万円

ポートフォリオ B

日本株式ETF25%、外国株式ETF75%

もう一つのパターンは、日本株式ETFの割合を25%に下げたものです。

日本株式ETFは1306

選択した銘柄は、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))です。1306は、

  • 日本最大のETFであること
  • 信託報酬が0.065%以下であること

から、有望なETFだと考えます。

外国株式ETFはVT

外国株式はVTを選びました。外国株式が50%であれば、SPYやVOOを選択してアメリカ一国に投資しても良いのですが、75%まで増えると、さすがにアメリカ一国に集中しすぎてしまい、怖い気がします。そこで、世界に投資するVTを選択しました。VTの中でアメリカの株式が占める割合は59%ですから、これに75%をかけると44%になります。つまり全体のポートフォリオの中でアメリカには44%投資することになります。程よい分散投資と言えるかもしれません。

バンガード社のETFは低コスト

私がこのポートフォリオで選んだVTやVOOは、バンガード社の商品です。バンガード社は、ブラックロックに次ぐ、世界2位の投資信託および上場投資信託(ETF)の提供者で、投資信託とETF以外にも証券サービス、ファイナンシャル・アドバイス・サービス、教育資金サービス、など数々のサービスを提供しています。

ジョン・ボーグル

創業者のジョン・ボーグル(1929-2019)は、世界初の個人投資家向けのインデックス・ファンドを設定した人物であり、幅広く投資家に低コストで投資ができる機会を与えた人物としても知られています。「インデックス・ファンドの父」とも呼ばれている。バンガードは上場企業ではなく第三者株主が存在しないため、ファンドの保有者がバンガードの出資者であり、バンガードのファンドに投資をする投資家がバンガードの保有者になる仕組みで経営されています。この仕組みにより、ファンドの利益は第三者の株主等ではなく、バンガードのファンドに投資をする投資家に還元されることになっています。日本の生命保険会社も同様の趣旨の資本構造になっていますが、残念ながら、利益は出資者に還元されず、社員の給与や、会社の不動産になってしまいました。

基本的にポートフォリオAと同じです。

現金・預金 300万円
個人向け変動10年国債 700万円
1年目:VT 100万円
1年目:VT 100万円
2年目:1306 100万円
2年目:VT 100万円
3年目:VT 100万円
3年目:1306 100万円
4年目:VT 100万円
4年目:VT 100万円
5年目:VT 100万円
5年目:1306・VT(50万円ずつか、どちらか一つだけ100万円) 100万円

以上が、50歳以上の人が投資する場合のポートフォリオです。

実際の資産運用に当たっては、いくつか気を付けることがありますが、それは以下の通りです。

① 10年間は売らない(バイ・アンド・ホールド、Buy and Hold、買いっ放し)
② リバランスしない
③ 欲張り過ぎない。ETF以外は買わない。欲張って個別株式やレバレッジに手を出すと痛い目に合うかもしれない
④ 保険を見直す
⑤ 証券会社、銀行の営業員のいうことは聞かない

最後に一言でまとめると、「株式ETFを買って、10年間そのままにする」を実践することです。

<終わり>