情報と銘柄選択

ロシアに似ている日本の投資

ロシアの若者はインターネットなどで外国の情報に触れているので、今ロシアが世界各国から非難を受けているのを知っています。しかし、その親世代は、情報の入手源がテレビだけで、政府系の放送しか見ていないので、ロシア政府の発表を鵜呑みにしています。日本から見ると、ひどい国だなと思いますが、似たようなことは、日本でも起こっています。それは、高齢者は日本の個別株式やアクティブファンドを購入し、若者は外国株式インデックスファンドを買っていることです。

インデックスファンドは儲からない

先日、テレビでキャスターが本音を漏らしていました。ゲストが「インデックスファンドを積み立てるようなことは対面証券は顧客に勧めません」と言った後、キャスターが言葉を選んで「それじゃあビジネスになりませんからね」と応えたのです。つまり、インデックスファンドは儲からないから営業しない、ということです。

高齢者と若者のメディアの違い

高齢者は、朝に経済紙を読み、昼間にテレビ(ストック・ボイス、日経CNBC)を見て、ラジオ日経を聞きますが、その内容のほとんどは個別株式です。一方で、若者は昼間仕事をしていますから、このような番組は見聞きしません。

NHKラジオ第2放送では、時間をかけて株価を放送していますが、若者からすれば、受信料のムダ遣いでしょう。

新聞は広告主に忖度、読者を無視

新聞には株価欄が載っています。30年前までは見たことがありますが、今は随時インターネットで見ることができるので、全く不要です。一方、新聞には、対面証券の広告が掲載されるので、新聞社側は広告主に忖度して、インデックスファンドが読者にとって良い商品であるということを、ほとんど説明しません。広告主が売りたがるアクティブファンドの動向ばかりを解説するのです。つまり、大事なのは広告主であり、読者はどうでも良いという態度です。

広告の載っている紙媒体

雑誌やムックについても、広告の載っているものは、読者のための記事をあまり載せません。個人投資家が書籍を参考にしたいのであれば、広告の載っていないものが信頼できます。

個別株式とアクティブファンドの売買

個別株式は、信託報酬がないので、売買コストを抑えることができれば、低コストで資産運用できる商品です。しかし、それでは野村や大和などの対面証券は儲かりませんから、個別株式を買い換えやアクティブファンドの購入を勧めてきます。個別株式の売買を頻繁に行うと、特に対面証券の場合にはコストが膨らみます。したがって、趣味やボケ防止で行う、あるいは、お客様としておだててくれる証券マンと話がしたいと思っている人も多いのでしょう。それはそれで、その人のお金の使い方をとやかく言う立場にはありませんが、若い人たちはそのような行動をとらないので、時代とともに証券会社との関係は変わっていきます。

若い人達(20代、30代など)は、どこから情報を得ているのでしょうか。

口コミ

若者は職場で同僚から口コミの情報を得ます。例えば、私が娘に「証券会社はSBI証券が良い」と勧めたところ、「会社で資産運用をやっている詳しい人も『証券会社はSBIか楽天が良い』と勧めていた」と言いました。つまり、私言ったことを、友人からの口コミでフィルターに掛けているのです。

インターネット情報

若者は、テレビを見ず、ラジオを聞かず、新聞を取らず、本も読みません。重要な情報源は、口コミとインターネット検索です。インターネット検索は、玉石混交というよりは、怪しい情報が9割以上を占めています。短期間で儲かったり、必ず儲かる方法はありません。売り時も、買い時も分かりません、将来のことは予測できないのです。その中で、正しい情報にアクセスするのは至難の業です。個人の金融資産を鵜の目鷹の目で狙っているのは、対面証券や銀行だけでなく、インターネットも同様です。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」

インターネット情報の中で比較的信頼できるのが、ユーザーが作った「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」かもしれません。しかし、このサイトについても、かなり古い情報に基づいて銘柄を選び、今でも頑としてそれにしがみついている場合があるので、注意が必要です。例えば「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は信託報酬が0.5%を超えていますが、10年前であれば低コストの部類に入っていても、現在では高コストに入ってしまうでしょう。現在では、信託報酬の基準は0.2%以下です。

インターネット(コスト、流入金額、純資産総額のランキング)

SBIや楽天などの投資信託のランキングは、ユーザーが判断したランキングですから、比較的信頼できます。ただし、レバレッジ銘柄は短期利益を追求しているので、手を出すべきではないと思います。

社内研修会

会社によっては、ファイナンシャルプランナーを呼んで、研修会を開く企業もあります。聞く立場で気を付けなければいけないのは、その講師がどのような立場で話しているからです。もし、証券会社などから派遣されてきた場合には、その人は証券会社の立場で話しているのですから、基本的に無視することです。もし、金融機関の社員であっても、所属会社とは離れた立場で、個人として話しているなら、聞く価値があるかも知れません。私の連れ合いの会社が講習会を開きました。講師は、東京海上火災保険の社員ですが、ファイナンシャルプランナーの立場の講師の講習を受けました。その講師は、アメリカのS&P500のファンドに投資するのが良いと言っていたそうです。この推奨銘柄から見ても、この講師の話は信頼できる可能性が高いと思います。私の判断は、この講師はユーザーの立場で話しているという結論です。