連れ合いの運用実績2023年10月

資産を増やすコツは相場低迷期も投資し続けること

2007年に投資を始めてから16年が経ちました。当初7年間は、リーマンショックによってマイナスの運用実績が続きましたが、その後持ち直し、投資原本の約5千万円が1億年に増えました。私は約10年で3倍になったのに、連れ合いは16年で2倍にしかならなかった理由は、2009~2013年の株式市場低迷期に追加通ししなかったからです。人間は、相場が悪くなると投資したくなくなり、相場が良くなると投資したくなるのですが、相場が悪くなってもコツコツと投資を続けたほうが良いという証明をしてくれました。

昨日に引き続き世間では、60代の新NISA活用法をどのように推奨しているか確認します。


DIAMOND online 2023/5/9

50代・60代も「NISAで老後資金対策」は効果的!賢い利用法とは?

「NISA=若い人向け」は勘違い

来年からNISAの制度が大幅に拡充されて新しくなるのはご存じの方も多いだろう。ただ、多くの人は「NISAは若い人が将来に向けて資産形成を行う制度だ」と思っているようだ。

確かにNISAという制度は若い人に向けた制度であることは確かである。詳細は筆者が年初に書いたコラム『2023年は「NISA」がアツい!投資する人は絶対使うべき理由』に譲るが、NISAは長期投資にとって有効な制度であり、短期売買には向かないからだ。時間を味方につけて資産形成を行うという前提ならば、若年層に最も大きなアドバンテージがある。

しかし、だからと言ってNISAは若い人だけが利用すべきものというわけではない。むしろ50代や60代といった中高年世代にとっても有効な制度なのである。

なぜかと言うと、若い世代とは異なり、シニア層はこれまでに蓄えた預貯金などの金融資産をある程度持っているからである。

シニアになって投資を始めるのであれば、よくわからないままに、いきなり持っているお金や退職金の大半をつぎ込んで投資をするというのは決して好ましいことではないということは、これまでも度々繰り返してきた。

シニアでまとまった預貯金等のお金があったとしても、投資が未経験なのであれば少しずつ積み立てで投資をしながら、勉強していくべきなのだ。そういう意味では積み立て投資に最も適した制度であるNISAこそ、シニアが投資を始めるには最適なのである。

50歳からの投資で老後資金は安心

では、具体的に50代、60代の人がどのようにNISAを利用すればいいかについて考えてみよう。まずは50代である。

それまで投資経験のない人で50歳から投資を始めたとしても、70歳ぐらいまでは投資を続けることは可能だろう。なぜなら現在でも8割以上の人は60歳以降も働いており、いくらかの収入を得ているからだ。

仮に50歳から毎月5万円ずつ「つみたて投資枠」を使って投資したとすると、70歳までの20年間で投資額の累計は1200万円になる。これを年率4%で運用できたと仮定すると、70歳時点での金額は約1833万円だ。

さらに、それまでに持っていた預貯金も少しずつ分けて投資をしてみるとどうなるのか。日銀金融広報中央委員会が2021年に行った調査によれば、世代別の金融資産保有額は中央値で見ると50代が800万円となっている。これは中央値なので、平均値になればもっと多くなるだろうが、ここではあえて中央値で考えてみよう。

これらの預貯金を50歳から3年間、毎年200万円ずつ「成長投資枠」を使って投資する。この場合の投資額累計は600万円となるので、前述の「つみたて投資枠」を使って投資した1200万円と合わせると1800万円となり、非課税利用限度枠の上限となる。

毎年200万円を投資して70歳まで置いた場合、こちらも年率4%という前提で考えると投資累計額600万円に対して、70歳時点での時価総額は約1265万円となる。前述の1833万円と合わせると約3100万円となる。

70歳まで働き、引退する時点で金融資産が3000万円余りあるということであれば、これはかなりゆとりを持つことができるだろう。

60歳から投資を始める場合退職金は分散させる

では、今度は60歳から投資を始める場合を考えてみよう。この場合は、60歳で定年退職して退職金をもらったという前提で考えてみる。

この場合、退職金を一度に投資するのではなく、NISAの「つみたて投資枠」を使って少しずつ投資をしていくのがポイントになる。60歳時点での金融資産や退職金は急いで投資するのではなく、預貯金に入れておき、そこから毎月少しずつ取り崩しながら投資を続けていくのだ。

ここでは毎月30万円を退職金やその他から取り崩しながら投資をしていく。月額30万円というのは年に直すと360万円となり、新しいNISAで投資できる年間の上限額いっぱいだ。

生涯に利用できる非課税限度額は1800万円なので、このペースでは5年で上限に達してしまう。65歳以降は新たな投資はせずにそれまで積み立てたものを保有し続けるという前提で考えた場合、4%の利回りで計算すると投資累計額1800万円が約2424万円となる。

50歳から始める場合に比べると2割程度少なくなるが、投資期間は半分であるからこれはやむを得ない。50歳から始めるにしても60歳からにしても一気に何倍にも増えるわけではないが、投資というものはそもそも長期でじっくり考えるべきものであり、いずれの場合もそれほど無理のない数字といえるだろう。

シニア投資で大切なのは定年後も一定の収入を得ること

ここまでの試算では利回りの前提を4%としたが、本当に4%での運用が可能なのか。これは正直言って将来のことなので、どうなるかはわからない。特に数年間で見ればマイナスが続くこともあり得るし、毎年判で押したように年率4%が達成されるわけではない。

ただ、20年という長い年数で見ると4%というのは十分可能な数字と言って良いだろう。

実際に過去20年を振り返ってみた場合、日経平均株価に20年間投資を続けていたと仮定すると、年利回り換算で7.39%となっている。この間、過去10年ぐらいは比較的順調であったものの前半の10年間は“失われた30年”の一部であり、かつリーマンショックなどもあった低迷の時期であった。それでも7.39%である。

これが日本の株式市場だけではなく、全世界に投資をしていれば、20年間の運用利回りは10.38%になっている。したがって、4%というのは必ずしも現実離れした数字というわけではない。

50歳から始めた場合、70歳時点での金額が約3100万円ということは前に述べたが、もし仮に日経平均株価には及ばなくても年率が7%だったとすると、その金額は約4700万円になっている。60歳から始めた場合だと4%で2424万円だったものが、7%では約2900万円となる。

また、ここでは生涯に利用できる非課税限度額である1800万円までしか積み立てをしないという前提で計算したが、シニア層の場合、運用途中で値上がりしたものは売却して、定期預金や国債といった安全資産に切り替えるということも十分あり得る。

もしそのようにすれば、新しいNISAは売却した分が翌年復活して使えるようになるため、再び年間の上限額の360万円までは新たに投資することができるのだ。したがって生涯に利用できる非課税限度額は決まっているものの、成果の出た部分から安全資産に移していけばどこまで行ってもNISAを使って購入すること自体は可能だ。これもシニアならではの特徴といえるかもしれない。

ただ、ここで大前提となるのは「70歳まで積み立てや運用を続ける」ということだ。つまりサラリーマンであれば60歳の定年で仕事を完全に辞めてしまうのではなく、引き続き何らかの形で働くことが重要である。

でなければ毎月の積み立ても難しいからだ。現実には65歳までの雇用は義務化されているし、70歳までの雇用も努力義務化されている。今後はますます70歳まで働くということがごく普通になっていくだろう。

加えて公的年金も65歳からではなく、繰り下げて70歳から受け取り始めれば受給額が手取りでも4割近く増えるわけだから、まさに“働いて”、“NISAで積み立てて”、“公的年金を70歳まで繰り下げる”のは最強の老後マネーの手段と考えて良いだろう。

制度というのもはやりようによっては大きな成果も出すことができる。ただ、繰り返しになるが、単にNISAだけやっていれば良いということではなく、「働く」「投資する」「年金を繰り下げる」という3つの王道をやっていくことが重要だろう。