新NISAで何を買ったらよいか?

新NISAで何を買ったらよいのでしょうか。

私と連れ合いは、野村證券で、

  • 成長投資枠-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • つみたて投資枠-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

を買います。その理由は、野村証券の品揃えが少なく、純資産額の大きな投資信託の中ではこの2銘柄が有望だからです。

子供たちには、SBI証券で、

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

の内から好きなものを選ぶように勧めています。

証券会社などの販売会社でなく、研究所や出版社は何を勧めているのでしょうか。


ニッセイ基礎研究所

新NISAでは何に投資したら良いのか-長期の資産形成ではリスクよりもリターンを気にすべき

1―はじめに

2024年から、従来の少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や恒久化が実施され、新NISAの導入が予定されている。このレポートでは、一般的な投資家が長期の資産形成において、新NISAをどのように活用すべきかについて考えたい。

長期的な資産形成の目的は十分な資金を準備することである。今から老後資金の形成を始める若い人等は、老後の生活に必要な金額を事前に算出して、適切な目標金額を設定することは難しい。

一方で、現時点で自分がどのくらい投資できるのかは比較的容易に分かるのではないだろうか。尚、長期の資産形成においては、投資対象の選択がとても重要なのだが、新NISAの投資対象は数多く、株式(個別株)の他、各種ファンド(投資信託)等がある。

では、実際何に投資したら良いのか。ここでは、過去のデータを用いて、初心者におすすめできる代表的な市場インデックスに毎月5万円の積立投資を行い、20年後の最終的な時価残高がどうなるかを確認する。

2―20年後の時価残高はいくらになる

新NISAの「つみたて投資枠」の投資対象は、現行つみたてNISA対象商品と同様であり、国内外インデックス型投資信託が主である。一方で、「成長投資枠」の投資対象は範囲がとても広く、個別株、国内籍の投資信託、上場投資信託(ETF)及び上場投資法人(REIT)等がある。

投資経験が浅い投資家にとって、個別株やアクティブ運用型投資信託等の多くの金融商品から良い商品を選別することはとても難しいし、現実的ではないと思われる。

一方、市場インデックスは、数多くの銘柄を組み込んでおり、十分に銘柄分散されている。さらに、銘柄数が一定数に限定されている市場インデックスへ投資する場合、一定のルールに基づいて選ばれるため、銘柄選択効果が期待できる。したがって、運用のプロでない人にとっては良い選択肢であると言える。

このレポートの投資対象として、代表的な市場インデックスに投資する国内債券型、外国債券型、国内株式型、先進国株式型、S&P 500連動の米国株式型(以下、S&P 500)、ナスダック100連動の米国株式型(以下、ナスダック100)に加えて、低リスクのバランス型(以下、バランス型)を取り上げる。

1984年12月末から2004年12月末までの20年間のケースから、1か月ずつ投資開始時期をずらして、2003年6月末から2023年6月末までの20年間のケースまで、全223ケースで試算を行った。

各投資対象を購入した場合の最終的な時価残高の詳細を図表1で確認してみよう。投資元本は1,200万円である

[図表1]20年後の最終時価残高

米国株式型と先進国株式型の最終的な時価残高の平均値は2,851万円~3,552万円でかなり高い。

一方、国内債券型、バランス型と国内株式型との最終的な時価残高の平均値は1,536万円~1,751万円と相対的に低い。

投資対象のリターンが高い場合、時価残高の増加が加速していく。一方、リターンが低いと時価残高があまり増えず、リターンが高い投資対象との最終時価残高の差はかなり広がっていく。

尚、日本株式は2013年アベノミクス前後で投資特性が異なると思われる。アベノミクス以降では日本株式のリターンは先進国株式並みになっており、日本株式へ今後投資するかどうかの判断においては、今回の試算結果はそのまま使うべきではないことに注意すべきである。

また、参考情報であるが、高いリターンが期待できる投資対象に投資する場合、一括投資等で早めに投資元本を投入する方が、最終時価残高の平均値は高くなる傾向があることが分かった。

ところで、この最終時価残高の平均はあくまでも全223ケースの平均値にすぎない。各ケースの最終時価残高が平均値になるわけではなく、平均値よりも高くなったり低くなったり、バラツキがある。このバラツキは主として価格変動リスクによるものである。

投資のリスクには価格変動リスクの他に、信用リスクや流動性リスク等がある。新NISAの投資対象である市場インデックス型投資信託には銘柄選択効果が期待できるため、信用リスクや流動性リスクは最小限に抑えられている。したがって、最終時価残高のバラツキにすべてのリスクが反映しているのだが、市場インデックス型投資信託の投資のリスクは、主に価格変動リスクによるものと考えられる。

そこで、最大値や最小値という極端なケースではなく、多くのケースが該当する図表1の75%範囲に注目して、バランス型、先進国株式型とナスダック100を具体例に、図表2で長期投資における最終時価残高の増加とバラツキを分かりやすく説明したい。

[図表2]長期投資におけるバラツキのイメージ図

低リスクであるバランス型へ毎月5万円を積立投資した場合の20年後の最終的時価残高は75%範囲内の最大値が1,810万円、75%範囲内の最小値が1,496万円となり、75%範囲内の最大値と最小値の差が314万円とバラツキは小さい(図表2:青の三角形)。

高リスクである先進国株式型へ投資をした場合は75%範囲内の最大値が3,990万円、75%範囲内の最小値が1,818万円となり、75%範囲内の最大値と最小値の差が2,172万円とバラツキがかなり大きくなる(図表2:緑の三角形)。

さらにリスクが高いナスダック100へ投資をした場合は、75%範囲内の最大値が6,393万円、75%範囲内の最小値が1,799万円、75%範囲内の最大値と最小値の差が4,594万円とバラツキは極めて大きい(図表2:赤の三角形)。

3つの三角形を見ると、ナスダック100、先進国株式型、バランス型の順で三角形の上への拡がりが大きい。長期投資では、高リスク高リターンの投資対象に投資すると、最終時価残高が雪だるま式に増えていく。勿論、リスクが高いため最終時価残高のバラツキも大きくなるが、実は最終的な時価残高の増加のメリットを台無しにするほど大きくはないのである。従って、長期の資産形成においては、一般的に言われている投資対象ごとの短期的なリスクの大小をそれほど気にせず、むしろリターンの大小を気にすべきであると思われる。

3―新NISAで何に投資すべきか

以上を踏まえると、若いうちはまず新NISAの「つみたて投資枠」で、リスクを必要以上に恐れることなく、先進国株式型等の将来的に高いリターンが見込める市場インデックスの投資対象に無理のない範囲で積立投資することが良いと思われる。同じ税制優遇制度である確定拠出年金制度(企業型DC及びiDeCo)でも同様の投資を行い、将来に向けた十分な資産形成を早めに開始することが何よりも大切である。

その上で、もし収入や資金に余裕があれば、新NISAの「成長投資枠」も活用し、米国株式等、より高いリターンが見込める市場インデックスの投資対象になるべく多くの金額を早めに投資するのが得策であると思う。

一方、残りの投資期間があまりない人は、株価暴落等のリスクの影響を極力軽減するため、ある程度満足ができる資産形成ができたら、バランス型等リスクの低いポートフォリオもしくは預貯金に移行する方が良い。

これから長期の資産形成を始める人は、新NISAの活用に向けて、リスクよりもリターンを重視し、勇気を持って第一歩を踏み出してほしい。


PRESIDENT Online

全世界型1本だけでは無難すぎる…新NISAでつみたて投資を大成功させる「インデックスファンド」黄金比率

米国の伸びは今後も一番大きい

「国内」は「全世界」と分けて買う必要はない

以上4種類の他には「国内」があります。ただ、日本人だから「国内」だけを買うというケースはあまり見られません。「全世界」を買ってしまえば、その中に日本が5パーセントくらい含まれているので、それで十分だと考える人が多いようです。「国内」を別立てでしっかり買おうとは考えなくていいと思います。

少し変則的になりますが、3種類の配分を均等に3分の1ずつ配分してもいいでしょう。

あとは配分せずすべてを全世界に設定する方法も考えられます。自分で自由にアレンジしてみてください。

もう一つあるとすれば、「全世界」の割合は先ほど5割としていましたが、これを3割として、残った7割のうち5割を「米国」、2割を「先進国」という配分にする案も考えられます。

「全世界」が全体に占める割合については、5割だと比較的無難な取り方となり、3割だと自分の考えを多く取り入れることになってくると考えるとわかりやすいでしょう。

金額は別として、ここまででつみたて投資の初心者向けにお勧め順の配分を整理してみると、以下のようになります。

【図表2】つみたて投資の配分例

投資経験者にお勧めの黄金比

さらに少し踏み込んで、理想的なポートフォリオ(配分)を考えてみましょう。

ただし、高いリターンに期待するということは、ある程度のリスクも見ておかなくてはならないということでもあります。ここでお勧めする配分は、リスクを許容できる投資経験者に限定しておきたいと思います。

私は仕事柄、日頃より最善の組み合わせを考えているのですが、今の時代を捉えたときに、最もリターンが見込めると思われるお勧めの配分がこちらです。

7割を自分のオリジナリティに充てる

◎お勧め 全世界30%+米国35%+先進国17.5%+新興国17.5%

まずは「全世界」を総予算の30パーセント分買います。残りの70パーセントを自分のオリジナリティに充てます。そのうち35パーセントを米国、17.5パーセントを「先進国」、17.5パーセントを「新興国」とします。

次に、これをベースにした米国推しや先進国推しを考えてみることにしましょう。

米国推しは、先の「米国」35パーセントを50パーセントに変更して、「先進国」を調整します。無難な成績を狙いたいのであれば、反対に「先進国」を少し増やして、「米国」を下げます。

◎米国推し 全世界30%+米国50%+先進国10%+新興国10%

◎先進国推し 全世界30%+米国30%+先進国30%+新興国10%

さらに、「全世界」以外の三つを完全均等まではいかなくても、同じくらいの量にする考え方と、これからの成長に期待して、「新興国」を30パーセントに上げる考え方です。

◎均等割り 全世界30%+米国23%+先進国23%+新興国23%

◎新興国推し 全世界30%+米国20%+先進国20%+新興国30%

最後に、「国内」はここでは入れませんでしたが、ここから伸びるという投資家もいます。そういう人は、5~10パーセント程度入れておくといいでしょう。

【図表3】配分のバリエーション

有利に売却するためにも複数に分散させること

また、「先進国は調子が悪いけれど、米国はいい」というようなとき、一つだけを売って現金化することもできるので、何種類かに分散して持っていた方が後々有利に働くことも多いと思います。1種類の中から一部を売却することになったとき、好調な状態で手放すのは惜しいことだからです。

例えば、3000円や5000円とさらに少額で、「まずは一本買ってみよう」ということであれば、「全世界」一本でいくのもいいでしょう。とりあえず試しにやってみることで、投資のことがいろいろとわかってくるに違いありません。

ここではつみたて投資でインデックスファンドを買うことを前提としていますが、こうした資産配分については、誰かが決めた通りに買うものではなく、あくまで自分自身の判断で買うという姿勢が大事です。

米国の伸びは今後も一番大きい

「米国」の伸びは今後も一番大きいと思うので、「先進国」を交えず、「全世界」と「米国」を半分ずつとした方がリターンも大きくなりそうです。

ただし、「米国」の方が「先進国」よりもハイリスクです。しかし、リスクは危険性というよりは不確実性と捉えます。また、リターンはリスクと比例すると考えます。悪いことではありませんが、リターンを取るのであればリスクも取らないといけないことになってきます。

現在のところ、リスクが最も高いのは「米国」。反対に最も低いのが「全世界」です。その間に「先進国」が位置しています。

それぞれのタイプによって、組み入れている銘柄が違っています。一般的に組み入れ銘柄の数が多いほどリスクは少なく、またリターンも少ないとされています。個々の商品によって違いはありますが、「全世界」にはおよそ8000本もの銘柄が入っています。「米国」の場合は、連動する指数によって幅があり、500~4000本です。中間的な存在の「先進国」で約1300本となっています。

リスク、リターンの高さを順番に並べると、「米国」「先進国」「全世界」となります。

なお、「新興国」は「米国」を突き抜けていると言っていいので、「新興国」「米国」「先進国」「全世界」という順番になるでしょう。

「新興国」のリスクは高いとされていますが、先ほども述べたように不確実性という意味合いです。ただし、中国やインドなどは人口ですでに14億人を超えているようなレベルですから、大きく化ける可能性があります。

生産年齢人口の増加率が非常に高い新興国諸国の現状を考えると、経済成長する可能性もありつつ悪くなる可能性もあり、この先どうなるかわからないところがあります。ただし、リターンが来るまでに最低10年以上は待つ必要があるため、定年期の人にはあまりお勧めできません。

「国内」は「全世界」と分けて買う必要はない

以上4種類の他には「国内」があります。ただ、日本人だから「国内」だけを買うというケースはあまり見られません。「全世界」を買ってしまえば、その中に日本が5パーセントくらい含まれているので、それで十分だと考える人が多いようです。「国内」を別立てでしっかり買おうとは考えなくていいと思います。

少し変則的になりますが、3種類の配分を均等に3分の1ずつ配分してもいいでしょう。

あとは配分せずすべてを全世界に設定する方法も考えられます。自分で自由にアレンジしてみてください。

もう一つあるとすれば、「全世界」の割合は先ほど5割としていましたが、これを3割として、残った7割のうち5割を「米国」、2割を「先進国」という配分にする案も考えられます。

「全世界」が全体に占める割合については、5割だと比較的無難な取り方となり、3割だと自分の考えを多く取り入れることになってくると考えるとわかりやすいでしょう。

金額は別として、ここまででつみたて投資の初心者向けにお勧め順の配分を整理してみると、以下のようになります。

【図表2】つみたて投資の配分例

投資経験者にお勧めの黄金比

さらに少し踏み込んで、理想的なポートフォリオ(配分)を考えてみましょう。

ただし、高いリターンに期待するということは、ある程度のリスクも見ておかなくてはならないということでもあります。ここでお勧めする配分は、リスクを許容できる投資経験者に限定しておきたいと思います。

私は仕事柄、日頃より最善の組み合わせを考えているのですが、今の時代を捉えたときに、最もリターンが見込めると思われるお勧めの配分がこちらです。

7割を自分のオリジナリティに充てる

◎お勧め 全世界30%+米国35%+先進国17.5%+新興国17.5%
まずは「全世界」を総予算の30パーセント分買います。残りの70パーセントを自分のオリジナリティに充てます。そのうち35パーセントを米国、17.5パーセントを「先進国」、17.5パーセントを「新興国」とします。

次に、これをベースにした米国推しや先進国推しを考えてみることにしましょう。

米国推しは、先の「米国」35パーセントを50パーセントに変更して、「先進国」を調整します。無難な成績を狙いたいのであれば、反対に「先進国」を少し増やして、「米国」を下げます。

◎米国推し 全世界30%+米国50%+先進国10%+新興国10%

◎先進国推し 全世界30%+米国30%+先進国30%+新興国10%

さらに、「全世界」以外の三つを完全均等まではいかなくても、同じくらいの量にする考え方と、これからの成長に期待して、「新興国」を30パーセントに上げる考え方です。

◎均等割り 全世界30%+米国23%+先進国23%+新興国23%

◎新興国推し 全世界30%+米国20%+先進国20%+新興国30%

最後に、「国内」はここでは入れませんでしたが、ここから伸びるという投資家もいます。そういう人は、5~10パーセント程度入れておくといいでしょう。

【図表3】配分のバリエーション