私の運用実績2024年1月:評価益は中央区晴海の106㎡の新築マンション相当

1年で7千7百万円増

評価益は1月だけで2千2百万円増加しました。昨年1月に比べると7千7百万円増です。やはり、どう考えても上がり過ぎでしょう。2020年3月に比べると1億8千6百万円増加したのですから、4年間で約2倍になった計算です。そのうち、数千万円の調整が来ると、心の準備をしておいたほうが良いでしょう。

ドル円は2年足らずで105円程度から148円程度まで弱くなった

2019年(あるいは2021年1月)から2024年(あるいは2022年10月)までに、ドル円は105円程度から148円程度まで弱くなったのです。私の資産の8割はアメリカを中心とした外国株式ですから、円が弱くなれば自動的に円建て資産は増えます。

資産を外国に逃避

日本の国債残高は異常に増え続けていて、このままでは大変なことになると思って、外国に資産を移動させてきました。それは私だけでなく、連れ合い、娘、息子にも同じことと進めてきました。その円安が現実のものとなってきています。円安に対する不安は、私だけでなく、NISAを行っている人や若い人も感じつつあるのでしょう。今後数年間は、円安になったり円高になったりして、上下動はあるでしょうが、基本的な流れは円安だろうと思います。

最近の円安の動向に対する有識者の見方をロイターの記事で確認します。


マイナス金利解除後の円高を阻む高い壁

内田稔 高千穂大准教授

2024年2月3日

市場では、2024年に円高が進むとの見方が多かった。日本のマイナス金利解除がいよいよ秒読み段階に移るとみられたからだ。

しかし、実際には能登半島地震の影響を受けて、日銀のマイナス金利政策が長引くとの見方が強まった結果、年初来、円は全面安の様相を呈している。ドル/円も148円台に達し、昨年12月上旬以来の高値圏で推移している。

<円高に必要なのは円の弱点克服>

市場が円高を予想した一因にドル安予想も挙げられる。米連邦準備理事会(FRB)が早ければ3月にも利下げに踏み切るとみられているためだ。

しかし、ドル安が円高をもたらすわけではない。実際、名目実効為替レートでみると、ドルは2022年10月をピークにその後、下落に転じており、昨年12月までに約6.7%も下げている。

それにもかかわらず、対ドル、名目実効為替レートのいずれでみても円安が進んでいる。結局、円安が止まるのは、あくまでも日本円固有の弱点が克服されるときだ。そして、その円の最大の弱点は、これまでも指摘した通り、マイナス圏にとどまる日本の実質金利だ。

<マイナス金利、春先にも解除へ>

そこで、日本の金融政策を展望すると、マイナス金利政策が長期化するわけではないだろう。日本の輸入物価は、ドル/円と米WTI先物を掛け合わせた数値に数カ月遅れで追随する。年初来の円安と原油高によって、春先にもいわゆる「第1の力」(輸入インフレ)によってインフレが再燃する可能性が高い。

また、30年ぶりの人手不足が昨年と同程度の賃上げをもたらす公算も大きい。「第2の力」が加わっても不思議ではなかろう。

1月の日銀金融政策決定会合ではフォワードガイダンスがそのまま維持されたが、展望リポートでは2025年度の消費者物価指数見通し(除く生鮮食品、コアCPI)の中央値がプラス1.8%まで引き上げられ、植田和男総裁も目標達成に向けて前進したとの発言を繰り返した。

4月の展望リポートで2025年度の物価見通しがもう一段階引き上げられ、マイナス金利の解除が事実上、告知されるシナリオが現実味を帯びる。それを事前に察知した為替市場では円高が進むとみられる。

もっとも、日銀は正常化を慎重に進めるとみられ、連続的な利上げシナリオを示すわけではないだろう。マイナス金利の解除だけなら、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の短期金利を政策金利と見立てた日本の実質政策金利は大幅なマイナス圏のままだ。かえって、円高材料の出尽くし感から円安へと押し戻される可能性が高い。

<円安、止めることができるのか>

円安を巡っては、輸入インフレや実質賃金の目減りを通じ、総じて内需関連企業への逆風とされる一方、グローバル企業の業績やインバウンドには追い風となる。依然として、その評価は分かれておりが、2022年の円買い為替介入やたび重なる円安けん制発言に照らせば、日本の当局がこれ以上の円安を容認しない姿勢であることに疑念を挟む余地はない。

そこで問題なのが、一段と円安が進行した場合に、日本が円安を止めることができるのかである。そのことを確かめるため、2022年の為替介入の効果を振り返っておこう。

はじめに約2.8兆円が投じられた9月の介入では、当日こそドル/円は145円90銭から約5円も急落したが、折からのドル高地合いに対抗できず、翌月に152円目前まで反発した。

一方、6.3兆円余りで行われた10月の介入後は、ドル高・円安に歯止めがかかった。しかも、同年12月の長期金利の上限引き上げも奏功し、ドル/円は2023年1月にかけて127円台まで大幅に下落した。こうしてみれば、日本にとって円買いの為替介入と金利の引き上げといったポリシーミックスが円安封じ込めの切り札と映る。

もっとも、実際にはそのどちらも円安を止める決定打とはなっていない。なぜなら、ドル/円の下落には2022年10月以降のドル安が強く影響しているためだ。例えば、2022年10月の介入から1カ月間の対ドルでみた円の上昇率は約3.9%だが、これは円を除く主要通貨の対ドル上昇率の平均と同じだ。
つまり、この間のドル/円下落は、ほぼドル安によるものだ。長期金利の上限引き上げについても、日銀はこれまでに計3回実施したが、当初の円高効果は持続せず、対ドル、名目実効為替レートのどちらでみても2022年12月より円安だ。

<通貨高を演出したSNB>

そこで参考になるのがスイスフランだろう。ロシアが軍事侵攻を開始した2022年2月以降、多くの通貨に対してドル高が進んだが、主要通貨の中でスイスフランだけ対ドルで上昇しているからだ。しかも、他通貨同様、対米金利差はドル高・スイスフラン安方向へと拡大したにもかかわらずである。

そこで2022年以降のスイスの政策を振り返っておくと、中央銀行(SNB)が政策金利をマイナス0.75%からプラス1.75%まで計250bpsも引き上げている。その結果、インフレ率を差し引いた実質政策金利もマイナス圏をほぼ脱した。

加えてSNBはスイスフラン買いの為替介入をインフレ抑制の補助的手段と位置付けて、約1010億スイスフランの介入も実施した。これは2022年の名目国内総生産(GDP)に対して約12.9%に相当する。日本の介入規模がGDPに対して約1.6%だったことに照らし、圧倒的な規模だ。

<現実的ではない日本の円安対策>

従って、これに倣うのであれば、円安阻止に向けて、日銀はYCCの短期金利をインフレ率と同程度だけ引き上げて実質政策金利のマイナス幅を縮める必要がある。長期金利は、海外金利の動きや国債需給など日銀の手の及ばない要因にも影響を受けるため、主たる操作対象は短期金利だろう。

次に、政府も円買い為替介入の規模拡大を検討しなければならない。SNBの例に従えば、70兆円を上回る計算だ。とは言え、どちらも現実的ではない。日本経済の需給ギャップは、途中コロナ禍を挟んだとは言え、10年以上に及ぶ大規模緩和によってようやくマイナス圏からの脱却が視野に入ってきたばかりだ。インフレ率と同程度の短期金利の引き上げに、日本経済は対応できないだろう。

為替介入も規模が大きくなれば、その原資の確保に多額の外国債券の売却を要する。これは、海外金利の上昇を通じて海外経済に影響を与えかねず、金利差の拡大が円安圧力となり、為替介入効果を減殺するおそれもある。そもそもスイスと違い、経済大国である日本の大規模介入が国際的に受け入れられるかどうかも疑わしい。

リスクは円安方向

年初からの円相場を振り返って言えるのは、今年もある程度の円安圧力が残る可能性だ。円を取り巻く需給環境をみても、貿易赤字は構造的に定着しつつあり、企業による対外直接投資も活発だ。新NISA(少額投資非課税制度)の始動に伴い、個人マネーによる対外証券投資も拡大する可能性がある。しかも高い為替ヘッジコストに照らせば、「為替ヘッジなし」が選好されがちだ。

その上、ここまでみてきた通り、日本が円安を止めることができるのか疑念は拭えない。現時点でのリスクはやや円安方向に傾いているのではないか。


日銀の金融政策と為替相場、思わぬ円高リスクも

尾河眞樹ソニーフィナンシャルグループ執行役員兼金融市場調査部長

2024年2月1日

1月の日銀金融政策決定会合は、筆者にとってサプライズであった。政策変更がなかったのは予想通りだったが、日銀から発信されたメッセージは、これまでと大きく変わった印象がある。

<マイナス解除に前向き姿勢>

年初の能登半島地震による経済への影響を見極める必要があることに加え、12月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコア指数が11月の前年比2.5%から同2.3%に減速。今回日銀が公表した「展望レポート」でも、24年度のコアCPIは、昨年10月時点の前年比2.8%から2.4%に下方修正された。したがって、このようなタイミングで、あえてマイナス金利政策の解除が近いことをほのめかすことはないと思っていた。しかし、先々の政策指針を示す「フォワードガイダンス」の変更こそなかったものの、植田日銀総裁の記者会見では、全体的に物価目標達成への自信を深めているような、前向きな表現が目立った。

<大きな方針転換、フォワードルッキングへ>

総裁は昨年10月の記者会見以降、物価について「第1の力」「第2の力」という表現を使って説明してきた。「第1の力」は、輸入物価の上昇が国内の物価に及ぼす影響を指す。「第2の力」は、賃金の上昇を伴った物価の上昇で、いわゆる「賃金と物価の好循環」のことである。外部要因による「第1の力」は、悪いインフレと言えるが、これは既に減速傾向であり、今後も抑制されていく見通しだ。一方で、「第2の力」、つまり「良いインフレ」については、総裁はこれまで、「来春(24年春)の賃金が強く出れば、それが消費を支えていくという因果関係があるので、その辺を『見極めたい』」としてきた。

しかし、今回の会見では「賃金から販売価格への波及も少しずつ広がっていると考える」と述べたうえで、賃金について3月の決定会合までに「ある程度の情報が得られる」との考えを示した。さらには、賃金の上昇が物価上昇に追い付いていないことで、足元マイナスになっている実質賃金については、「足元でマイナスであっても近い将来プラスに転じるという『見通し』があればそれは政策の正常化を必ずしも妨げるものではない」とまで表現を強めている。

要するに、「賃金と物価の好循環」の達成を「見極め」てからマイナス金利政策を解除する、というバックワードルッキングな方針から、将来改善しているという「見通し」を判断材料にするという、フォワードルッキングな方針へと今回の決定会合で大きく転換したことが見て取れる。

<7月解除本命、3月―4月も>

ソニーフィナンシャルグループは、実質賃金がプラスに転じるのは今年の後半と予想しており、これまでの植田総裁によるバックワードルッキングな説明を踏まえ、マイナス金利政策の解除は、今年10月になると予想してきた。しかし、上述したように、そもそも日銀の政策反応関数が変わっていることを考慮すれば、マイナス金利政策解除は、より早いタイミングになると言わざるを得ない。よって、今回の決定会合を受け、当社はマイナス金利政策解除の時期について、今年7月の展望レポート発表のタイミングをメインシナリオとしつつも、データ次第では3月、4月の可能性も十分にあり得るとの見通しに修正した。

<織り込み進む市場>

しかし、今回のタカ派な決定会合を受けて、今後為替が円高トレンドに入るかといえば、そうはならないとみている。翌日物金利スワップ(OIS)の先物をみると、市場では今年3月か4月のマイナス金利政策解除が十分織り込まれており、今後さらに市場の予想が大きく前倒しになることはないからだ。逆に言えば、4月までにマイナス金利解除が決定されることが、市場で約7割も織り込まれているのであれば、あえてそのタイミングを外さずとも、4月にマイナス金利政策を解除すれば、金融市場のボラティリティーは抑えられるという考え方もあるだろう。

神田真人財務官は24日、ロイターのインタビューで「日銀の今後の政策への関心が高く、これが投機にも影響している」と述べ、日銀はじめ各国中銀とは常日頃から連携をとっており、市場に与える影響を注視していくとの考えを示した。日銀決定会合の翌日に政府サイドからすかさずこうしたコメントが出ること自体、政府と日銀の間で、何等かの方針が確認されたのではないかと考えるのは、深読みし過ぎだろうか。

<関心は米金融政策へシフト>

1月の決定会合を通過し、今後は米国の金融政策に市場の関心がシフトしていくことになる。筆者は米連邦準備理事会(FRB)について、3月の利下げ開始や、年内5回超もの利下げが実施されるとの市場の見方は、やや前のめりだと考えている。昨年11月以降、市場で早期利下げ期待が高まったことによって、米株価急上昇に伴いクレジットスプレッドが急低下するなど、これまでのFRBの大幅利上げにもかかわらず、足元はむしろ金融環境が緩和しているためだ。
インフレの再燃を招かぬように、FRBの利下げはあくまで慎重なペースにならざるを得ないのではないか。今後、市場の早期利下げ観測が徐々に後退すればドルに上昇圧力がかかるだろう。一方で、日銀のマイナス金利解除への期待が円を下支えるため、ドル円はしばらく綱引きとなり、143ー150円のレンジで方向感に欠ける展開になりそうだ。

<今春解除ならメッセージ重要に>

注意したいのは、仮に日銀が3月か4月のタイミングでマイナス金利政策解除に踏み切った場合だ。筆者は、いくら市場が十分にマイナス金利解除を織り込んでいたとしても、この時のメッセージの出し方次第では、思わぬ円金利上昇や円高が進行するリスクをはらんでいると考えている。

植田総裁は今回の会見で、マイナス金利政策を解除する際にその後の金利の動向についても考慮するのかと問われると、「そういうことになると思う。そこも含めて深刻なあるいは大きな不連続性が発生するような政策運営は、現在みている経済の姿からすると避けられるのではないか」と述べたうえで、仮にマイナス金利を解除しても極めて緩和的な金融政策は続くとの考えを示した。

つまりは、マイナス金利を解除しても急激な金利上昇などもないし、その後も緩和政策は続けるとの趣旨だ。国内ではこうした見解に理解を得られそうだが、「市場は期待で動く」ことを踏まえれば、マイナス金利を解除すれば、海外投資家は「賃金と物価の好循環」に対するお墨付きが得られたと受け取り、その後の連続した利上げへの期待を強めるかもしれない。

「追加利上げは当面ない」という主旨のメッセージをはっきりと発しない限り、市場は次回、さらにその先の利上げを織り込みに行く可能性があるだろう。しかし、それを避けようと今後の利上げを強く否定すれば、そうした経済環境であるにもかかわらず、なぜマイナス金利を解除するのか、説明がつかなくなる。

<年央にかけ140円割れも>

いずれにせよ、24年春闘の集中回答日が3月中旬であることを踏まえれば、3月以降の日銀決定会合は毎回注目を集め、ボラティリティーが高まる公算だ。前述した通り弊社は現在7月のマイナス金利政策解除をメインシナリオとしているが、FRBは6月から利下げを開始するとみており、年央にかけては、日米の金融政策の転換にも注目が集まるなか、ドル円が140円を割り込む可能性は高い。