確定拠出年金 2024年7月

確定拠出年金への制度変更

2002年に勤めていた会社が、税制適格年金から確定拠出年金に制度変更しました。年金運用を会社がせずに社員一人一人に任せるので、その当時は、冷たい会社だと思いましたが、現在は当時の5.2倍まで増やすことができたので、ありがたい制度変更だと思いました。

全額を外国株式インデックスファンドで運用

5.2倍に増やすことができた理由は、税制適格年金からの原資を全額、外国株式インデックスファンドで運用したことでした。当時は、1997年の金融不安が尾を引きずっている時代で、社員の9割が銀行預金で運用したのです。その人たちは、現在も原資の金額のまま増えていないことでしょう。

全体のバランスの中で判断

老後の資金を考える時に、確定拠出年金だけでなく、厚生年金、確定給付年金、財形年金、退職金など、全体を広く見渡すべきです。確定拠出年金以外は全部元本確保型の年金ですから、確定拠出年金くらいは、思い切って外国株式に投資すべきではないかと考えました。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用状況を確認します。


長期的な観点からの基本ポートフォリオ策定

長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するよりも、基本となる資産構成割合を決めて長期間維持していくほうが、効率的で良い結果をもたらすことが知られています。このため、公的年金運用では、各資産の期待収益率やリスクなどを考慮したうえで、積立金の基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定めています。

第4期中期目標期間(2020年4月1日からの5カ年)における基本ポートフォリオ

厚生労働大臣から示された第4期中期目標では、積立金の運用目標について、「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、基本ポートフォリオを定め、これに基づき管理を行うこと」とされました。

GPIFは、厚生労働省が実施する財政検証の結果や厚労大臣から与えられた中期目標、並びに近年の経済情勢を踏まえて基本ポートフォリオを策定しました。

経済情勢については、世界経済は安定的な成長を遂げているものの、先進各国の政策金利は、世界金融危機以降、歴史的な低水準で推移しており、特に国内においてはその傾向が顕著になっている状況等を踏まえました。

年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果、以下のような基本ポートフォリオとしました。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
資産構成割合 25% 25% 25% 25%
乖離許容幅 各資産 ±7% ±6% ±8% ±7%
債券・株式 ±11% ±11%

乖離許容幅については、従来の4資産の幅に加え、株式リスクの管理強化の観点から、債券全体・株式全体についても乖離許容幅を設定しました。株式の保有上限は、各資産の乖離許容幅のみを踏まえれば、実質的に内外債券の合算である50%+13%となるところ、株式自体の乖離許容幅によって、50%+11%に制限されることになります。

変更前の基本ポートフォリオと比べると、国内の金利低下によって国内債券の利回りが低下している状況等に伴い、国内債券の割合が低下した一方、相対的に金利が高い外国債券の割合が増加しました。

新たな基本ポートフォリオは、中期計画の一部としてGPIFの経営委員会で議決し、厚労省の社会保障審議会資金運用部会における諮問・答申を経て厚労大臣が認可したもので、2020年4月1日から適用されます。

なお、基本ポートフォリオについては、マクロ経済や市場等の動向を注視しつつ、策定時に想定した運用環境から乖離がないか、適時適切に検証を行い、必要に応じて見直しの検討を行うこととしています。

本ポートフォリオの変更について

○ 年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)では、各資産を組み合わせた資産構成割合を「基本ポートフォリオ」として定め、これに基づき運用を行っています。今般、2020年度からの第4期中期計画(5ヵ年計画)に向けた、被用者年金一元化後及び経営委員会発足後初めてとなる基本ポートフォリオを策定しました。新しい基本ポートフォリオは、経営委員会において13回にわたり議論を重ね決定し、2020年4月1日より適用となります。

○ 経営委員会での議論を円滑に進めるため、2018年2月より経営委員会の下に経済・金融の専門家からなる検討作業班を設け、基本ポートフォリオに関連する事項について、多面的かつ包括的、技術的な観点から32回に及ぶ検討を重ねました。

○ 年金積立金の運用については、将来の安定的な年金給付に向けて、足下の運用環境の変化や将来想定される運用環境に対応しながら、長期的に年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することが必要です。

○ その上で、基本ポートフォリオの策定にあたっては、

 厚生労働省が実施する財政検証の結果や、厚生労働大臣から与えられる中期目標を踏まえるとともに、被用者年金一元化後の積立金運用を担う4管理運用主体が共同して定めるモデルポートフォリオを参酌しました。

 また、世界経済は低位安定的な成長を遂げていますが、先進各国の政策金利は、世界金融危機以降、歴史的な低水準で推移しており、特に国内においてはその傾向が顕著となっている状況等を踏まえました。

○ 新しい基本ポートフォリオは、このような背景のもと、年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果、国内債券の割合が減少した一方、外国債券の割合が増加しました。

○ なお、基本ポートフォリオについては、マクロ経済や市場等の動向を注視しつつ、策定時に想定した運用環境から乖離がないか、適時適切に検証を行い、必要に応じて見直しの検討を行うこととしています