アメリカの大統領選挙と株価

アメリカの大統領選挙は接戦を繰り広げていますが、それが自分の株にどんな影響があるのかを心配している人もいるでしょう。

2024年7月29日のCNBC Make itの記事を読みましょう。

The election doesn’t matter for stocks, says chief market strategist who tracked results back to Eisenhower


選挙は株価に関係ない、アイゼンハワーまで遡るチーフ・マーケット・ストラテジストが語る

今度の選挙では、何百万人ものアメリカ人が財布で投票するだろう。結局のところ、政権を担う政党は、税率から退職金制度政策、社会保障制度、学生ローンの免除に至るまで、市民の財政に重大な影響を与える。

投票方法を考える際には、議員候補がこれらの問題にどのように取り組んでいるかを考慮するのが賢明だろう。しかし、特定の候補者が株式市場にどのような影響を与えるかを心配する必要はない、とカーソン・グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ライアン・デトリックは言う。

「政治と投資を一緒にしてはいけません」と彼はCNBC Make Itに語った。「多くの人がオバマ大統領を嫌った。多くの人がトランプ大統領を嫌った。多くの人がバイデン大統領を嫌っている。この3人の下で株式市場はうまくいった。

彼が言う、実際に注目すべきこと、そして無視すべきことは以下の通りだ。

投資家たちよ: 選挙結果を気にするな

最近発表されたノートの中で、デトリックは共和党政権下と民主党政権下における数十年分の株式市場のパフォーマンスを分析している。

ドワイト・D・アイゼンハワーが大統領に就任した1953年に、米国株式市場全体に1000ドルから投資を開始し、共和党の大統領時代だけ投資を続けたとすると(民主党政権では撤退)、現在では3万ドル弱の資金を保有していることになる。同じ戦略に従ったとしても、民主党にしか投資しなかった場合は、約60,000ドルになる。


しかし、その期間中ずっと投資を続けていれば、170万ドルを手にすることができた。その理由は簡単だ: アイクが大統領に就任して以来、4年間の20政権のうち17政権で米国株式市場は上昇しているのだ。

デトリックの計算は、2つの大きなポイントを強調している。第一に、大統領府に誰が座っていようと、市場は上昇傾向にある。そして第二に、市場の短期的な動きに基づいて投資戦略を立てると、長期的に複利の恩恵を受けられなくなる可能性が高い。

市場にとって重要なこと

C-SPANで何を見ようとも、選挙の結果を予想してポートフォリオを大きく動かすことは避けた方が賢明だ。

デトリックによれば、もし選挙に関心があるとすれば、膠着状態にあることだという。「大統領選挙よりも)重要なのは議会の構成だ。「議会が分裂しているときは、それが最善である傾向がある」。


実際、1951年から2013年まで、S&P500種指数は民主党が議会を支配していた時期には年平均6.7%、共和党が両院を支配していた時期には11%のリターンを記録した。共和党と民主党に二分された時期のリターンは14.5%であった。

しかし、過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではなく、立法府の動向は、根本的なビジネスのファンダメンタルズや国家産業の財政的成功ほど株式にとって重要ではないことを忘れてはならない。

「要するに、政治は見ていて楽しいということだ。政治は重要であり、人々にとって重要であるべきだ。しかし、投資に関しては、経済がどうなっているかが重要なのです。「経済はまだかなり強い。そういうことの方が重要なのです」。


ZAi ON LINEの2024年7月21日の記事を読みましょう。


【米国株】2024年7月~2025年6月末の米国株の値動きを予測! 大統領選挙前は調整するも、選挙後は来期2ケタ成長予想の企業業績に注目が移って株価は上昇

 【米国株】S&P500指数の2024年7月~2025年6月末の値動きを、アナリストなどの米国株の専門家が予測!

●米国の実質GDPは7四半期連続でプラス成長!

インフレ抑制のための利上げによる景気減速は軽微なものに

年初から6月3日までにS&P500指数は11%上昇と好調。気になるのは大統領選挙前と選挙後の米国株の見通しだ。今回は、楽天証券経済研究所の香川睦さん、東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英さん、マンハッタン・グローバル・フィナンシャルの森崇さん、ストラテジストのポール・サイさん、むさし証券の杉山武史さんの5人に見通しを分析してもらった。

専門家5人の見通しをまとめると「S&P500指数は8~10月に下落するが、2024年末に5500~6000ポイントまで上昇。さらに、2025年前半も5400ポイントは下回らない」というのが共通見解だ。

5人の専門家が強気な見方をしているのは、米国経済が底堅く、企業業績も好調だから。そもそも、米国景気は2023年後半から後退するというのが大方の予想だった。しかし、米国の実質GDPは7四半期連続でプラス成長が続いている。「インフレ抑制のための利上げによる景気減速は、軽微なものになる」と、楽天証券経済研究所の香川睦さんは分析する。

「米国のGDPの約7割を占める個人消費が堅調です。良好な雇用環境や株価・不動産価格上昇などの資産効果が、個人消費を支えています」(香川さん)

また、企業業績も市場予想を上回る高い伸びとなっている。

「S&P500の組入企業の2024年1~3月期の1株利益は7.8%の伸びとなり、80%の企業が市場予想を上回りました。さらに、4~6月期は約9%、7~9月期は約8%、10~12月期は約13%と、好調な伸びが続く見通しです」(東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英さん)

●11月の大統領選挙や物価動向が株価調整の要因になる!
米国企業の業績は堅調なので、選挙後の上昇が見込まれる
それにもかかわらず、8~10月に株価が下落すると予想されているのは、11月に予定される米国の大統領選挙や、物価動向が懸念されているからだ。

「選挙が近づき、トランプ前大統領の再選が現実的になると、株価は調整するでしょう。トランプ氏は中国からの輸入品に対する60%の関税や、新たな減税を実施するとみられています。これは、米中対立の激化や物価高再燃などにつながるかもしれない。ですが、そういったリスクも選挙前には株価に織り込まれます」(香川さん)

大統領選挙が株式市場に与える影響は小さいと見る市場関係者が多い。選挙が終わるとマーケットの注目は企業の来期業績に移る。「来期利益は2ケタ成長が見込めるため、選挙後に株価は上昇に転じる可能性が高いでしょう」(マンハッタン・グローバル・フィナンシャル 森崇さん)

一方でインフレの動向には要注意。

「5月の非製造業の総合景況指数は53.8と、4月の49.4から大きく回復しました。インフレの再燃が意識され、発表後に株価は下げた。今後も、物価動向で金利の見通しがどう変化するかが、株価を占ううえで重要な鍵になります」(長田さん)

しかし、金利上昇などで株価が下げたタイミングは”絶好の買い時”だと、プロの意見は一致している。パウエルFRB議長が3月に、政策金利はピークに達しているという考えを示した。そのうえで「年内に利下げを始めることが適切になるだろう」とも述べ、少なくとも11月には利下げが実施される見込みだからだ。

「米国企業の長期成長力は揺らいでいません。利下げによって米ドル高が是正されれば、海外売上高比率が高い大手IT株をはじめとした、グローバル企業の競争力の向上につながります」(森さん)

円高ドル安でも、米国株への投資でそれ以上のプラスを生む可能性が高い。今後も、米国株は”買い“だと考えておこう!