国家公務員共済のポートフォリオ2019年11月

法人のポートフォリオ

国家公務員共済

個人が自分の金融資産を運用するときに、法人の運用方法はいろいろな面で勉強になります。日本においては、年金積立金管理運用独立行政法人( Government Pension Investment Fund, GPIF)の運用が時々ニュースになりますし、アメリカのハーバード大学の運用をこのブログで取り上げたこともあります。今回は、国家公務員共済のポートフォリオを検討したいと思います。

平成30年度の業務概況書(厚生年金保険旧積立金)にポートフォリオの円グラフが載っています。

国内債券

国内債券が40.02%を占めています。私は現在のような低金利では国内債券を保有しようとは思いませんが、国家公務員共済という立場上、ある程度国内債券を保有することが必要なのでしょう。

個人向け国債

債券のリスクは比較的低いので、個人の資産運用としては、国債を購入するという方法もあります。ただし、個人向け国債には

  • 変動金利型10年満期
  • 固定金利型5年満期
  • 固定金利型3年満期

の3種類があり、その中で変動金利型10年満期を選ぶことが肝要です。日本の現在の超低金利は、いつハイパーインフレになってもおかしくないので、固定金利型国債を持っていると大損する可能性があります。金融機関である法人であれば、瞬時に国債を売却することができますが、個人ではそのような行動を瞬時に起こす知識も経験も判断力も有りません。変動金利型であれば、インフレ分の3分の2は利率が変動するので、損失は一定程度に限られます。

将来受け取る厚生年金を念頭に置く

もう一つの考え方は、国債を買わなくても、将来受け取るはずの「厚生年金がリスクの少ない国内債券としての性格を持っている」と考えることです。つまり、65歳から毎月20万円、年間240万円の年金を受給できると考えると、30年間で7200万円のノーリスク金融資産を持っていると考えられるということです。私は、この考え方を採用していて、現在自分の保有している金融資産はできるだけ、内外の株式ETFに投資することにしています。厚生年金だけで最低限の生活はできるのですから、それに加えてさらに国債を保有するのは無駄が多いと考えています。

株式

国家公務員共済は、国内株式21.99%と外国株式23.50%を保有しています。国内債券以外の中では4割程度です。外国株式は国内株式に比べて、リターンが1%程度高いのですが、その分リスクも高めです。

リスクの数値は1年単位

このとき気をつけたいのは、リスクは1年単位の数字だということです。株式を10年、20年と長期に保有していると、極めて高い確率で評価額は増加していきます。そうすると元本割れする恐れが縮小しますのでリスクは小さくなります。例えば、外国株式のリターンを7.2%とすると、評価額は10年で2倍になります。リーマンショックの時には半分まで株式の評価額が減少しましたが、その場合でも元金のレベルになっただけで大きな損失は発生しなかったということです。20年で4倍になりますから、元本割れになる恐れはほぼゼロということになります。

株式ETFは、ほぼノーリスクハイリターン

プロの投資家は、4半期毎、1年毎、5年単位で実績を上げないといけないのですが、個人投資家は10年、20年の長期投資なので、リスクを意識せずに運用できる強みがあります。ですから、株式ETFによる投資は、ハイリスクハイリターンでは有りません。中期ではミドルリスクハイリターン、長期ではほぼノーリスクハイリターンだと思っています。このため、私は金融資産のほぼ全額を内外の株式ETFに投資しています。