就労希望年齢と「やっておけばよかったこと」

私は間もなく65歳に達し、サラリーマン人生の引退の時期を迎えます。今日はそれに関係することを書きます。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成27年度少子高齢社会等調査検討事業報告書」によると、何歳まで働きたいかについては、「働けるうちはいつまでも」が31.2%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」が25.7%、「60歳くらいまで」が18.5%となっています。

就労希望年齢 就労希望年齢
60歳くらいまで 18.5%
65歳くらいまで 25.7%
70歳くらいまで 15.2%
75歳くらいまで 8.1%
76歳以上 1.3%
働けるうちはいつまでも 31.2%

データの見方

こういうグラフを見るときに気を付けなければいけないことがあります。それは、年齢が高くなればなるほど、より高齢まで働きたいと思うようになるということです。例えば40歳代では65歳まで働きたいと思っていた人が60歳代前半になって、体も頭も元気で、更に十分な老後資産を得たいと思うようになる人が増えてくるのです。すると、その人は70歳まであるいは「働けるうちはいつまでも」に変わるということです。この調査は、40代、50代、60代、70代がそれぞれ4分の1を占めています。従って、実際の就労希望年齢は年齢が増すにしたがって、もっと高くなることが想像されます。グラフの数字だけを見て、それが正しいと思いこまないことが大切です。

70歳くらいまで働きたい人が多い

私の周りを見ていると、70歳くらいまで働きたいと思う人が多いような気がします。しかし、実際には勤めている会社・役所が、第2、第3の職場を用意してくれないので、60歳、あるいは、65歳で引退する人が多いようです。

私の知っている人の例を挙げると以下のようです。

  • 東芝は早期退職が多く、50歳で引退した人もいます。
  • 麒麟麦酒の部長クラスは、全員55歳で早期退職し、第2の職場も会社は用意しません。
  • 中央官庁は課長クラスだと65歳で第2の職場も退職になります。
  • 住友商事、丸紅、伊藤忠商事は60歳から65歳で引退します。

取り組んでおけばよかったこと

退職して元気にやっている人、何もやることがない人がいますが、人生を豊かにするために「取り組んでおけばよかった」と思われることを、医師にアンケート調査した結果があります。趣味、語学、スキルアップ、体力づくり、人脈形成、子育て、資産形成と続きます。

リタイヤ―後の目標

私の知り合いで、50歳を過ぎてからマラソンを始めた人が何人かいます。マラソンは高齢者にとって健康に悪いと言われていますが、本人は好きでやっているのですから、私は何も言いません。オーストラリアでは、リタイヤ―後、夫婦でオーストラリアをキャンピングカーで1周するのが夢だという人たちが多いそうです。どんなことをするにも、早いうちから準備をしないと充実したリタイヤ―後の人生を送ることは難しそうです。

葛飾北斎

葛飾北斎は、現在の東京都墨田区に1760年に生まれ、1849年に90歳で亡くなったのですが、1834年(北斎74歳)に出版した『富嶽百景』の跋文に、次のように記しています。

「73歳にして禽獣虫魚の骨格、草木の出生を悟り、86歳にして(その腕は)ますます進み、90歳にして奥意を極め、101歳にして神妙ならん。110歳にして、一点一格が生きるがごとくならん」

令和の現代、70歳代までは元気な人が多いのですが、80歳を超えるとなかなか知力体力が急激に衰えるようです。それまでは自分の可能性を信じて頑張りたいものです。