著名アナリスト・ストラテジストたちが考える個人長期投資ポートフォリオ

2020年1月6日のテレビ東京モーニングサテライトの出演者は以下の通りでした。

  • UBSウェルス・マネージメント 青木大樹
  • JPモルガン証券 坂上亮太
  • 三菱UFJモルガン証券 藤戸則弘
  • SBI証券 北野一
  • マネックス証券 広木隆
  • 大和証券 石黒英之
  • BNPパリバ 中空麻奈
  • バルタリサーチ 花生浩介
  • ホリコキャピタル・マネジメント 堀古英司

この番組の中で著名アナリスト・ストラテジストたちの考える個人長期投資ポートフォリオの特集がありました。それを要約すると以下の通りです。

  • 株式を中心に運用する

  • 外国株式のウエイトが高い

  • その中でもアメリカ株式が多い

超低金利の現在においては、債券の利回りが低いので株式をメインに考えなければリターンを手にすることができません。株式はリターンが高い一方でリスクも高いという特性があります。しかしリスクは短期で見ると高いものの長期で見ると低くなります。正確に言うと、株式はリターンが高いので長期運用によって株価が徐々に上昇する傾向にあるので、時間の経過とともにリスクが小さくなるのです。もし株価が上昇しないのであれば、長期であってもリスクは小さくなりません。具体的に言うと、アメリカの株式相場は200年で100万倍になりました。株式相場が今後100万分の1になる可能性はほとんどゼロといってよいでしょう。

個別株式でなくETF

個別株式であれば、倒産によって株価が100万分の1どころか、100万分のゼロになってしまします。しかし、個別株式ではなく、S&P500のようなETFに投資すれば、ETFの株価がゼロになることは考える必要はないと思います。

外国株式

上記アナリスト達によれば、個人投資家の長期投資としては、株式の中でも外国株式が推奨されています。それは日本だけでなく世界に分散投資することによってリスクを減少させることができるからです。上記のように、一つの国の中でも個別株式だけではリスクが高いので、数多くの株式に分散投資する方が良いのと同じように、国の数も多い方がリスクが小さくなります。それは30年前の日本の株式相場のバブルと崩壊の後、現在でもその水準を回復していないことを見れば、1国だけに投資することのリスクが分かると思います。

簡単に買える

しかも現在は、外国の株式インデックスファンドやETFを簡単に買える時代です。簡単なうえに、インデックスファンドは非常に低コストで購入・保有することができるようになりました。日本の投資家にとってこれほど恵まれた時代はありませんでした。

昔の投資信託はひどかった

30数年前に私がアメリカ主張したときの飛行機で隣席にいたので山一証券の社員でした。初対面でしたが話しているうちに共通の知人がいることが分かり、打ち解けることができました。その人に「株式の勉強をしたいのですが、何を買ったら良いか」と質問したところ、「投資信託だけはやめた方が良い。あれは証券会社だけ儲かって、お客さんは損をするから。転換社債が良い。転換社債は、値が上がる時は株と同じ動きをするけど、もし下がっても5年後の償還の時には額面に戻るから損はしない。」と答えてくれました。

転換社債

そのアドバイスに基づいて、東海銀行の転換社債を100万円購入しました。その頃ちょうどバブルの真っ最中だったので、転換社債は150万円くらいまで上がりました。私は勉強のために購入したので売るつもりはありません。しかし、そこでバブルがはじけました。70万円まで下がりましたが、それ以上は下がりません。額面で償還になるのですから、資金が不足していなければ売らないで2~3年持っていれば良いのです。そして徐々に価格が戻り5年後には100万円で償還されました。その5年間利子も受け取りましたから、決して損はしませんでした。

一方のアドバイスである投資信託については、当時まったく手を出しませんでした。昔の投資信託の投資信託は次の3つの点で問題でした。

  • 購入手数料が高い
  • 信託報酬が高い
  • 銘柄の買い替えをするように証券会社から営業攻勢をかけられる

現在は昔の10分の1以下のコスト

現在販売されているアクティブファンドの購入手数料は1~3%です。それに対し優良なインデックスファンドの購入時手数料率は、ゼロです。いわゆるノーロードです。また、保有していると常にかかるコスト(信託報酬)もアクティブファンドの1~3%に対して、インデックスファンドは0.1%~0.2%と極めて低率です。信託報酬2%の投資信託を10年保有すれば20%価値が損なわれます。

証券会社の営業

もう一つの問題は、証券会社の営業員が銘柄の買い替えをさかんに勧めることです。言い商品だから、あるいはタイミング的に「旬(しゅん)」だからと言って勧めるのですが、本音は買い替えによって購入手数料を稼ぎたいのです。

新商品登場

このような状況は30年以上前も現在もあまり変わっていません。しかし、それ以外に大きな変化がありました。それは、ETFの登場と、低コストインデックスファンドの登場です。

ETF、インデックスファンド

2001年に、1306(TOPIX連動のETF)等の低コスト上場投資信託が登場したのです。信託報酬は0.11%(税抜き)です。それまでの投資信託の20分のです。もう一つは2014年ごろから登場し、コスト引き下げ競争を演じている低コストインデックスファンドです。これらの商品は1980~90年代には考えられなかったような優良な商品です。しかし低コストインデックスファンドは、まだ対面証券では買い難く、インターネット証券での購入が主流です。

SPY

しかし、ETFであれば対面証券でも買うことができます。上記のテレビ番組でも具体的商品名としてSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)が推奨されていましたが、このETFはインターネット証券会社だけでなく、野村證券、大和証券などでも購入できますので、個人投資家の長期投資としては推奨されるべき商品です。私は約5年前にSPYを購入し、現在43%上昇しています。一度も売ったことは無く長期保有に努めています。