危険!近づくな! 金融機関と金融商品 3

昨日に引き続き、主な金融商品、金融機関について、何が良いのか、何が危険なのかを考えてみようと思います。このブログでは、金融機関の種類・金融商品の種類ごとの大まかな傾向しかお示しできませんので、最終的にはご自身でお調べください。消費者にとって優良な商品・金融機関を緑の1、危険度が増すにつれて、黄色の2、橙の3、赤の4、紫の5に色分けしました。

③ 団体定期保険

会社別の月払い保険料です。

30歳男性死亡保険金額1千万円 月払い保険料
1 大手生保A 2,660
2 大手生保B 2,470
3 中堅生保C(ネット経由) 1,068
4 振興生保D(ネット経由) 990
5 東京医師歯科医師協同組合 860
6 王子グループ 1,160
7 日本生命 2,540

大手2500円、インターネット1000円、団体定期保険1100円

1と2の大手生保2社は、2500円前後です。人件費と経費が高いので保険料も高くなります。3と4はネット経由なので1000円前後です。インターネットの中抜きの威力はすごいですね。5は協同組合、6は株式会社の福利厚生としての保険です。5と6の団体定期保険は、手作業のため、インターネットより経費は掛かりますが、人事部や事務局の人達が取りまとめてくれるため人件費がかかりません。6と7はウェブ上で公表されていたので掲載しました。

会社員は社内の団体定期保険

会社員であれば、自分の勤めている会社の福利厚生事業としての掛け捨て団体定期保険が推奨できる保険です。なおその場合にも、基本的に通院特約等は必要ありません。

④ 外貨建保険

外貨建保険は主に銀行の窓口で販売されています。私自身も銀行の窓口で受けた説明の内容を、 三井住友・みずほ・三菱UFJ銀行・郵便局訪問記 に掲載してあります。

生命保険の不都合な真実(柴田秀並 光文社新書)によると、主な苦情は以下の通りです。

1.元本割れリスクについて適切な説明を受けなかった:2633件

・市場リスクについて説明を受けなかった

・契約期間中において元本割れはないと誤信した

・満期時に元本割れはないと誤信した

2.その他説明不十分:897件

解約時に税金がかかること、指定代理請求人の指定ができることを聞いていない等

3.その他:720件

強引な勧誘、顧客からの照会への回答未了等

4.保険契約等の内容について十分な説明を受けなかったことから、自分には適していない保険契約を締結した:537件

5.契約管理費用について十分な説明を受けなかった:248件

外貨建保険は危険!近づくな!

この後にも、苦情は続くのですが、外貨建保険が非常に危険で、近づいてはいけないことはお分かりいただけたと思います。

コストはブラックボックス

私が窓口で説明を受けた時には、コストがどうなっているか分からないという問題を提示しました。一方で、上記の苦情は、強引な契約締結を問題としているようです。特に高齢者は狙われています。

⑤ 医療保険

医療保険は不要

日本には高額療養費制度があるので、医療保険は必要ありません。高額療養費制度を維持するために、日本人は高い健康保険料を毎月支払っていることに気づいてください。その上さらに民間の医療保険に入る必要はお金の無駄です。

高額療養費制度

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給するのが「高額療養費制度」です。

標準報酬は 月給+賞与

標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。なお、年4回以上の支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。

標準報酬月額 自己負担限度額(円)
88万円以上 140,100
53万円~79万円 93,000
28万円から50万円 44,400
26万円以下 44,400

⑥ 外貨預金

三井住友銀行の外貨預金(2018年訪問記の再掲)

外貨の扉<トビラ>

外貨の扉<トビラ>という商品のチラシが、カウンターに2か所に分けて置いてあるので、力を入れているのでしょう。

金利は年間平均0.8%

米ドルの場合、初回の特別金利が、2ヵ月もので年4.0%です。その後は、0.2%が適用されます。最初の2か月が過ぎて自動継続すると店頭金利で継続されますので、0.2%になります。最初の2か月が4.0%で、残りの10か月が0.2%だとすると、年間平均で0.8%になります。

0か月~ 2か月~ 4か月~ 6か月~ 8か月~ 10か月~ 1年平均
4.0% 0.2% 0.2% 0.2% 0.2% 0.2% 0.8%

為替手数料は、円→ドル0.5%、ドル→円1.0%

この外貨預金を始めるには、円をドルに変換する必要があります。通常の為替手数料は1米ドル当たり1.0円ですが、この商品に預け入れる場合の為替手数料は0.5円です。計算を簡単にするために、1ドル=100円とすると0.5%になります。もし、1年後にドルを円に戻すとすると、その時には1.0%の為替手数料になりますから、往復で1.5%になります。

1年の金利は0.8%

1年間の金利が0.8%なのに、為替手数料が1.5%もかかるのでは、0.7%の損になります。1年で引き出さずに、5年、10年と預けたままにすれば、為替手数料は下がります。しかし、0.2%の金利を稼ぐために、為替リスクを掛けて外貨預金をしようという気にはなりません。SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)やVOO(アメリカバンガード社のS&P500のETF)などの外貨ETFの利回りは8%ですので、外貨預金は金利面で魅力がありません。

為替手数料
円→ドル 0.5%
ドル→円 1.0%
往復 1.5%

⑦ 外貨MMF

外貨MMFは外貨ETFを買うための資金

外貨MMFは証券会社で買うことができます。私は10年前に退職金などで外貨MMFを野村證券で購入しました。その外貨MMFを使って、その後外貨ETFを買いました。外貨ETFの配当金がUSMMFで支払われるので、現在400万円ほど溜まっています。これを元に、外貨ETF等に再投資する予定です。

USMMFの利回りは1%強

野村證券USMMFの利回りは、現在1.190%です。1%を超えていますの、日本の金融商品より高く見えますが、為替リスクや為替手数料を考えると、そのまま保有するよりは、外貨ETF購入資金として用意するために一時的に保管する形態だと思います。

SBI証券は4種類のUSMMFを用意しています。1%を少し上回った水準ですので、野村證券と同レベルです。

  • ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド 1.213%
  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド 1.095%
  • ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト 1.097%
  • ゴールドマン・サックス 1.185%