貯蓄・投資に関する三つの不思議

私は投資を本格的に初めて10年になりますが、今振り返ってみると不思議なことが三つあります。

  1. アメリカには信じられないほど利回りの高い金融商品がある
  2. その金融商品を日本人のほとんどが知らない
  3. もし知っても投資行動に移さない

この三つについて説明します。

1.アメリカには信じられないほど利回りの高い金融商品がある

SPYの脅威的数字

左の棒グラフは、アメリカ最大であり、世界でも最大のETFであるSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)です。利回りが9.74%という数字は信じられないかも知れませんが、現実にこのような商品があるのです。現に私はこの商品などを5年前に購入して、資産が倍増したのです。9.74%という高い数字はたまたま最近の数字ではないかと思われるかもしれませんが、この商品が生まれた1993年からの平均年率なのです。つまり27年間の平均です。

時価総額はトヨタを超える

SPYの純資産総額は2020年1月現在35兆円です。日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車の株式時価総額が25兆円ですから、それを遥かに上回る大きな投資信託です。しかもアメリカの企業上位500社に分散されていますから、倒産の心配はありません。これほど巨大で安全なETFの利回りが10%近くあるのです。

日本人の好きな定期預金

一方で右側のグラフは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大口定期預金の利率です。あまりに薄くて見えにくいのですが、0.01%しかありません。

元本100万円をそれぞれの利回り・利率で、複利計算した結果が次の表の通りです。

SPY 大口定期預金
元本   1,000,000 1,000,000
10年後   2,533,084 1,001,000
20年後   6,416,514 1,002,002
30年後 16,253,567 1,003,004

20年後に10倍超

SPYは10年後に2.5倍、20年後に6.4倍、30年後に16倍になります。実際には分配金に対して税金がかかりますので、もう少し低い数字になりますが、例えば30年後に10倍超と計算することができます。

30年で3千円

一方、大口定期預金は30年経っても100万円の元本に対して3千円しか利子が付きません。

日本人とアメリカ人の違い

日本人、アメリカ人の貯蓄・投資行動に、どれほど違いがあるのでしょうか。日本銀行が調べた日米の家計の金融資産構成を見てみましょう。

現預金好きの日本人

日本人は、53.3%を現金・預金で保有します。アメリカ人は12.9%しか現金・預金で保有せず、6.5%を債務證券、12.0%を投資信託、34.3%を株式で持ちます。この3つで52.8%を占めます。つまり、日本人は預金などで半分以上を保有し、アメリカ人は半分以上を投資するということです。

2.その金融商品を日本人のほとんどが知らない

SPY、IVV、VOO

SPYは世界最大のETFですが、同様の商品としてIVV、VOOというETFを挙げることができます。これらの商品のことをほとんどの日本人は知らないだろうと推測しています。

銀行の支店長も知らない

私の友人に大手銀行の支店長を経験した人間がいましたが、彼に「S&P500の過去25年の平均利回りはどのくらいだと思うか?」と尋ねたところ、「分からないけど、3%くらいかな。」と答えました。金融機関の管理職でさえアメリカの平均トータルリターンを知らないのですから、よっぽどマニアックな人でない限り、S&P500の過去25年の平均利回りを知りません。

最高値更新を解説しないマスメディア

2019年12月から毎日のようにアメリカのダウやナスダックが最高値更新したとNHKや民放で報道していますが、残念ながら、それが年率換算でどれほどすごいことなのかを解説するマスメディアはありません。

顧客は個人投資家でなく広告主

日本の新聞は相変わらず、日本の証券会社が売るアクティブファンドの記事ばかりを掲載していて、SPY等ETFの記事を書きません。アクティブファンドの会社は新聞広告を載せてくれますが、アメリカのETFの会社は新聞広告を載せてくれません。しかし、新聞を買ってくれるのは読者である一般国民ですから、その人たちの役に立つ記事を書いてほしいものです。

マスメディアの罪

テレビも新聞もアメリカのETFのすばらしさを報じないので、日本人はSPYのことを知らないのです。そして、そのリターンがどれほど高いかを知らないのです。

3.もし知っても投資行動に移さない

私の兄弟や友人から、どの金融商品が良いかを聞かれたことがあったので、「SPYと1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF)」と教えたことがありました。

行動しない日本人

もし彼らが、この2銘柄を調べて、100万円ずつ買ったら、10年で2倍以上になっていたでしょう。しかし、彼らは買いませんでした。

ネット証券でなくてもOK

ETFや株式を買う証券会社として、最近はSBI証券や楽天証券のようなネット証券を推奨するブログが多いのですが、ネット証券でなくても良いのです。野村證券や大和証券でもSPYは扱っていますから、そこで買って10年間保有すれば、ネット証券で買ったのと同様に株価は上がります。例えば野村證券でETFを買うと、1%程度の手数料を取られますが、それを10年持ち続ければ1年あたり0.1%に過ぎません。売らずに持ち続ければ、その手数料は気にならなくなります。私自身も、ETFは野村證券で買って、そのまま保有しています。私はネット証券に口座を持っていません。

行動すれば結果が出る

大事なことは、行動に移すことです。私の兄弟も、私の友人も行動を起こさなかったので、資産は増えませんでした。しかし私の連れ合いは、行動に移しました。「買って、保有し続けた」のです。まさに「バイ・アンド・ホールド」です。

まずは100万円

とりあえず100万円の投資から始めることは、行動することです。

アメリカ株式は、過去200年以上、大きな方向性として上がり続けています。縦軸は対数目盛で100万倍になっています。買って保有すればよいと思います。