今までの投資信託、これからの投資信託

私( 江戸庄蔵 )は個別株式は保有せず、すべて投資信託です。

投資信託、ファンド、投信

投資信託は、ファンド(fund)や投信とも呼ばれます。投資家から集められた資金を、専門の委託会社(運用会社)が金融資産や不動産へ投資することで運用し、その成果を投資家に還元するもので、原則として元本保証はなく、リスクもリターン(経費を差し引いた後)も投資家に帰属します。比較的少額から投資が始められ、株式や債券、REITなど複数の銘柄に分散投資できるという特徴があります。

ETF,インデックスファンド、アクティブファンド

私はETFとインデックスファンドを保有していますが、証券会社や銀行などの金融機関が顧客に売りたいのは、コストが高いアクティブファンドです。

投資信託だけは買ってはいけない

1980年代に、知り合いの山一証券社員から「投資信託だけは買ってはいけない」とアドバイスを受けたことがあります。当時は現在人気となっている低コストインデックスファンドは販売されておらず、投資信託と言えばアクティブファンドだけでした。現在のアクティブファンドの経費を見れば分かるように、売買手数料が2~3%、信託報酬が2%もしていて、しかも商品の旬の寿命が短いので短期間で買い換えるように営業がしつこく攻勢をかけてきます。この知り合いが忠告していることからわかるように、当時の証券マンは、投資信託を営業することは、顧客に損をさせることだということを知りつつ販売していたのでしょう。私の同級生も、大手証券会社に入りましたが、すぐに辞めて大学の理系学科に入り直し、研究者になりました。現在でも、銀行のカウンターに行くと、行員がアクティブファンドや保険商品を勧めますが、彼らも、顧客に損をさせると分かりつつ営業しているのでしょう。もっと有意義な仕事をする時代になってほしいものです。

SBI証券が営業開始

日本のインターネット証券最大手であるSBI証券は、1999年にインターネット取引サービスを開始しました。1990年頃にインターネットが広く使われ始め、その10年後のことになります。インターネットが普及したおかげで、低コスト化が一気に進むことになりました。

ETF発売

2001年にTOPIX型日経225の株式バスケット拠出型のETF(上場投資信託)の制度が導入され、本格的なETFがスタートしました。この時は私も、良い商品が出たと思い、資金的余裕が出たら買おうと思いました。ところで、当時の金融担当大臣が、ETFは絶対に儲かると思うから買うという趣旨の発言をして、大いに物議を醸しました。

確定拠出年金

同じ2001年に企業型確定拠出年金が始まり、運用銘柄の中に株式インデックスファンドが入りました。私は、低コスト外国株式インデックスファンドで100%運用しましたが、そのような人は極めて珍しく(おそらく3Σ(さんシグマ)か4Σ(よんシグマ)だったでしょう)、ほとんどの人は元金確保型の預金か保険でした。したがって、インデックスファンドが普及することはありませんでした。

投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year

2007年に「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 」が始まりました。投資信託について一般投資家の目線で常に考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち。投資信託の事情通である彼ら彼女らが支持する投資信託はどれか?という意識の下に、証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。私も数年前から投票しています。

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

2013年には、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが発売されました。この商品は、低コストインデックスファンドの本家本元と言った銘柄です。それまで、低コスト化に後ろ向きだった金融機関が初めて消費者のために商品を発売し、これから堰を切ったように、低コスト商品の販売が続く、低コスト化競争に拍車が始まりました。

つみたてNISA

2018年には、つみたてNISA制度がスタートし、厳しい商品基準が採用されたため、各金融機関はその基準に見合った商品を発売せざるを得なくなりました。

例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

インデックスファンド

このような背景のもとに、インデックス商品の低コスト化が進み、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021」の上位はほとんどインデックスファンドになりました。現在の純資産総額は、どの銘柄も数千億円ですが、やがて1兆円を超える銘柄が増えてくるでしょう。低コストインデックスファンドは、高コストアクティブファンドと違って、金融機関が営業しなくてもどんどん売れることです。この波に乗り遅れた金融機関は、今後苦しい戦いを強いられるでしょうが、その代表格が野村證券や大和証券などの対面証券かもしれません。