どうしたら貯蓄できるか? 1

貯蓄が出発点

資産を形成するための第一歩は、言うまでもなく貯蓄することです。しかし、なかなかそれができません。自動積立すればよいのですが、無駄遣いが多くて、なかなか自動積立額の金額を増やすことができません。私は、結婚するまで親と同居していましたので、住宅費はかからず、その他の経費も抑えることができました。それでも居酒屋やたばこ代で無駄なお金を使っていました。一般的に若い独身者は何にどれくらいのお金を使っているのでしょうか。

35歳未満の月の平均支出額は15万円

総務省の家計調査報告による「年齢階級別家計支出(単身世帯)-2017年-」では、35歳未満の月の平均支出額は15万5,808円となっています。この中で、住居費は、東京と地方でかなりの差があります。2万円しかかからない地方もあるでしょうが、東京だと10万円近くかかる場合もあります。

外食を減らすと食費が浮く

食料が、39,510円ですが、問題は外食にいくら位使っているかです。外食の値段の5~6割は人件費ですから、外食が多いと支出は増えます。できるだけ自炊して、まとめて作り、冷蔵庫に冷凍・保存しておけば、健康にも良い食品を使って、安く作ることができます。

冷蔵庫が大事

最近ある女性が、電気のない暮らしを実験したことがありますが、携帯が無くても何とか生活はできますが、冷蔵庫はどうしても必要だったそうです。昭和30年代までは電気冷蔵庫がなく、電気を使わない保冷庫に氷を入れて冷蔵庫として使っていましたが、現在は電気冷蔵庫が必需品になりました。冷蔵庫を利用して自炊すると、生活費を大幅に削減できます。

格安スマホでも困らない

交通・通信料金は22,848円ですが、第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 永濱利廣は、格安スマホに切り替えて大幅にコストを削減できたそうです。あれほど売れっ子のエコノミストが格安スマホで困らないのですから、普通の人で困る人はいないはずです。なお、私(江戸庄蔵)は楽天で、使用量が少ないので、毎月無料です。

費目 支出金額 割合
食料 39,510円 25.4%
住居 29,811円 19.1%
光熱・水道 6,959円 4.5%
家具・家事用品 3,339円 2.1%
被服及び履物 7,712円 4.9%
保健医療 3,627円 2.3%
交通・通信 22,848円 14.7%
教育 0円 0.0%
教養娯楽 17,155円 11.0%
その他の消費支出 24,847円 15.9%

30代の単身者の年収別にみた貯蓄額

貯蓄額といっても年収によって貯蓄できる金額は異なります。30代の単身者の年収別に貯蓄額を見てみましょう。

【年収300万円未満】     平均値255万円・  中央値0万円
【年収300~500万円未満】   平均値592万円・  中央値200万円
【年収500~750万円未満】   平均値1242万円・中央値750万円
【年収750~1000万円未満】 平均値2870万円・中央値2250万円

30歳で2000万円以上貯蓄している人もいるのですね。

もう少したくさん貯蓄するにはどうすればよいでしょうか。CNBCの2021年8月25日の記事をもとに考えてみましょう。以下は拙訳です。

なぜ脳はリタイヤのための貯蓄開始を困難にさせるのか

行動経済学によって、脳は貯蓄を容易にさせないということが分かる

パーソナル・ファイナンスにおいて重要なことは金額だけでなく、同じ程度に、貯蓄、消費、投資する方法に関しても心理が影響します。心理学は、考え感じることすべてに影響しますが、リタイヤなど将来のできごとに準備する場合には特に重要な要素です。

もう働かなくなった時に蓄えが必要になるのですから、リタイヤのために貯蓄することは重要です。老後に収入を確保する最良の方法は、現在、まだ働いている間に、できるだけたくさん貯蓄し投資することです。

それを理解するのは、初めは難しいかも知れず、非常に遠くに見えるかもしれない何かのために物事を始めるのは、脳は簡単にさせてくれません。貯蓄、投資、そして長期に利益をもたらす行動の実践に関して、脳には陥りやすい数多くの心理的落とし穴があります。

リタイヤのための役割を脳がどのように果たすのかを、以下分析します。

脳内で、将来に対する十分な決定ができない

もし、大学生かあるいは20代なら、たぶんこれから40年以上先のリタイヤのためのプランを作っていないでしょう。そしてもし30代なら、リタイヤは30年先になりそうです。ボストン・カレッジのリタイヤ研究センターによれば平均的アメリカ人は64歳でリタイヤします。

このため、リタイヤは非常に遠い将来のことで、準備を始める必要が出てくるまでに時間はたっぷりあると感じがちです。その結果、何十年も先の将来のためにお金を貯蓄する代わりに、多くの人は今楽しむことを優先しがちです。

この思考回路は、双曲割引つまり、将来得られる報酬をよりも直近の報酬を選びがちだということです。

別の言い方をすると、1週間後の10ドルよりも今の5ドルを好むのです。すなわち、今買い物をして楽しむことの方が、リタイヤしてから使うお金(成長していきます)を投資することよりも、むしろ好むのです。

もちろん、現在楽しむために一切消費すべきでないと言っているのではありません。予算を立てれば、今やりたいことにいくら気持ちよくお金を使うことができ、リタイヤのためにいくら貯めておくことが必要なのかを考えるのに役立ちます。純資産と支出を把握し、予算を無料で作るためには、ミント・アプリやパーソナル・キャピタルなどの予算管理ツールを使うことができます。

<明日に続く>