人生で後悔しない人はいないでしょう。それでも、人生は進みます。今からでも、少しでも後悔を減らすことはできるかもしれません。
2023年11月17日のCNBC makeitの記事を読んで見ましょう。以下は拙訳です。
No. 1 life regret of dying patients: I see it ‘all the time,’ says psychology expert—what to do ‘before it’s too late’
死期が迫った患者の「人生で後悔したこと」第1位:「 手遅れになる前に」何をすべきか、心理学の専門家が語る。
ブロニー・ウェアは8年間、死期が迫った人々の世話をする在宅介護士だった。彼女のクライアントは重い病気であることを知っており、そのほとんどが人生の最後の3週間から12週間だった。
しかしウェアは次第に、自分が果たしている最も重要な役割は肉体的なものではなく、精神的なものであることに気づいた。彼女はそこにいて話を聞き、その親密な考察を彼女の著書 “The Top Five Regrets of the Dying “にまとめた。
最期の日、患者の多くが後悔の念を彼女に打ち明けた。ウェアによれば、最も一般的な答えはこうだった:
「他人から期待される人生ではなく、自分自身に忠実に生きる勇気があればよかった。」
“手遅れになる前に、少なくとも自分の夢のいくつかを途中で尊重しようとすることはとても重要です “と彼女は書いている。「健康は自由をもたらすが、その自由がなくなるまで、それに気づく人はほとんどいない。
心理学者として、これは私が患者たちにいつも接していることだ。私はいつも、幸福感を高め、後悔の時間を止めるには、時間に対する感謝の気持ちを育むことが大切だと話している。
時間が最も貴重な資源である理由
日々の忙しさに追われていると、自分にとって最も大切なものから外れてしまいがちだ。
しかし、自分の死を意識して生きることで、何に価値を置き、どのように時間を使うかを根本的に変えることができる。それは、私たちの文化がしばしば正当化する、軽薄で空虚な追求の正体を暴く。
ソーシャルメディアへの投稿に対する反応は本当に重要か?どんな車に乗っているかは重要か?友人グループがあなたを社会的集団から締め出すことは問題だろうか?もし仲間に入れてもらえたとして、あなたは本当にその人たちと貴重な時間を過ごしたいのだろうか?
永遠に生きられるわけではないという事実を完全に受け入れることで、自分の価値観が鋭く浮き彫りになる。皮膚科医から、不規則な形の跡が前癌のように見えるので生検したいと言われたとき、あなたは同僚に見せるために慎重に作り上げて来た高成績のイメージなんていうことについて考えていない可能性が高い。
時間が、すべてのものの中で最も貴重なものであることを認識すれば、自分がしたい選択と実際にする選択との間に断絶はなくなる。
人生の終わりに何を後悔するだろうか?
待っている必要はない。今日、まっさらな状態から始めることができる。今、この瞬間に何を後悔しているか、自問してみるだけでいい。
2歳の娘にもっとそばにいてあげればよかったと思うなら、40年後も同じ後悔をしている可能性が高い。星を目指すよりも、今の仕事の快適さや慣れを選んだことを後悔しているなら、この先も同じような後悔をする可能性が高い。
今と昔の大きな違いは、今日何かできることがあるということだ。
もうひとつ、私が大好きなシンプルなエクササイズを紹介しよう:
誰かに別れを告げるときは、もう二度と会えないかもしれないと思って言うことだ。一緒に過ごした時間に対する感謝の気持ちを示すように、別れを告げるのだ。
今日は1人から始めましょう。明日は2人。それが毎日の日課になるまで続けるのだ。
YAHOO!JAPAN ニュース2023年9月27日の記事を見てみましょう。
800人のシニアに聞きました。「あなたの人生で最も後悔していること」は何ですか?
人生を重ねるとさまざまな後悔があります
人生には常に多くの岐路が存在しています。人は、そうした岐路を一つずつ道を選びながら、人生を進んでいくわけです。
しかし、振り返ってみると「あの時、違う選択をしていれば、自分の人生はもっと違う方向に進んだかもしれない。」と考えることは、一度や二度ではないでしょう。そこで60歳以上のシニア800人の方々に、「あなたの人生で最も後悔していることは何か」お伺いしてみました。回答は、自由回答でいただいたものを、計量テキスト分析し、回答内容の多い順にランキング化しました。以下、ベスト10の形でお伝えいたします。
第10位 健康に気をつかえば良かった
第10位は健康に関して。歳を重ねると人は何らかの疾患を抱えたり、病気にかかったりするものです。若い頃の無理やストレスが、響いてくることもあるでしょう。人は、「病気になって初めて健康であることの大切さ」に気がつくのです。
・「若いうちから健康に関する知識を習得したかった。」(62歳・男性)
・「病気をした事。ストレスを溜めないように健康に気をつければよかった。」(60歳・女性)
・「健康にもう少し気を付ければよかった。食べ方や味付けを体にやさしくしたかった。」(64歳・女性)
第9位 海外に行きたかった
今のシニアが若かりし頃の1960・70年代は、日本人の海外旅行が次第に本格化した時期に当たります。海外旅行に興味がない昨今の若者と違い、シニアの人たちは海外旅行が大好きです。なので、歳をとっても「もっと海外旅行に行きたかった」と後悔している人たちも多いのです。
・「もっと早く海外旅行をたくさんしておけばよかった。」(63歳・女性)
・「外資系企業の海外赴任を努力が足りず選ばれなかったこと。」(76歳・男性)
・「もっと英会話を勉強しておけば良かった。海外留学をしたかった。」(76歳・男性)
・「夫と海外旅行に行けなかった。(定年後行く計画だったが亡くなった)」(91歳・女性)
・「海外転勤を断ったこと。行っていればもっといろいろな経験ができ、活躍の場が広がったと思う。」(64歳・男性)
第8位 歯のケアについて
10位の健康への後悔以上に多かったのが、「歯のケア」に関する後悔です。8020運動(80歳までに20本の歯を残す)といった歯に関するケア習慣は確実に高まっているものの、歯の治療に関して後悔する人は一定数いらっしゃいます。日頃のケアが大切なだけに、若い頃からの習慣が大事であるということを思い知らされます。
・「子供の時にもっときちんと歯を磨いておけばよかった。人生やり直したいのは歯磨きだけです。」(64歳・女性)
・「歯を大切にしなかったこと。健康な歯を保ちたかった。」(77歳・女性)
・「勤務先の近くに歯医者がなかったので歯の治療をしなかったこと。会社なんか休んで、治療しておくべきでした。」(74歳・男性)
・「部分入れ歯になった今、後悔している。歯の定期検診、治療をして大切にすればよかった。」(76歳・男性)
第7位 投資について
90年代のバブル崩壊、08年のリーマンショックなど、何度かの不況を経験したシニア世代ですので、投資に関する失敗経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
・「投資信託で1500万円のマイナスを出して、損をするので売れないこと。」(73歳・女性)
・「勉強代とは思うが、30年前の株式投資はキャピタルゲインのみの話題に踊らされデイトレーダーを気取り大損した事。浅はかだったね。」(68歳・男性)
・「現役就業中にもっとお金を貯めておくべきだった。毎月の積み立て方式でインデックス投資をしておくべきでした。」(75歳・男性)
・「バブル景気に乗って不動産投資して失敗したこと。時期的に投資の可否を冷静に分析しておくべきでした。」(76歳・男性)
第6位 両親に対する気持ち
「親孝行したいときに親はなし」とは、良く言ったもので、「もっと話せば良かった」「もっと一緒に旅行したかった」「もっと面倒をみれば良かった」など、両親に対する何らかの気持ちは、誰しも持つのではないでしょうか?悔いのないように親孝行しておきましょう。
・「亡き親とのコミュニケーション。聞いておきたかった、様々なこと。」(61歳・男性)
・「親の介護をもっとしっかりすればよかった。」(67歳・男性)
・「親ともっと色々な事を話したかった。」(71歳・男性)
・「もっと親をいろんな所に連れて行きたかった。」(73歳・男性)
・「親の介護 もっと寄りそってあげたかった。」(74歳・男性)
第5位 就職について
就職というライフイベントは、やはり人生の中で大きな位置を占めるだけに、もし、別の会社に就職していたら、別の人生が待っていたかもしれないと、何かしらの悔いを抱えている方もいらっしゃるみたいです。現在のように転職が当然の社会とは時代環境が違っていたのですね。
・「就職の時に夢をあきらめたこと。失敗してもいいから挑戦してみたら良かったと思います。」(65歳・女性)
・「就職 内定をもらった別の企業に入っていれば退職金がもっと多かったかもしれない。」(64歳・男性)
・「教授から言われるままに就職したらブラック企業だった事。」(66歳・男性)
・「金融機関への就職です。別の業種を選べば違った人生が、・・・。」(63歳・男性)
第4位 子育てについて
子育てに悔いを残すシニアもいらっしゃいました。「育メン」という言葉もなかったこの時代の男性は、仕事一筋で子育ては妻まかせという方も多かったのではないでしょうか。
・「もっとこころの余裕をもって子供を育てたかった。」(63歳・女性)
・「子供の教育、きちんと関与すべきだった。」(70歳・男性)
・「子供の躾に厳しすぎた事。もっと余裕を持って本人の意思を尊重するべきだった。」(70歳・女性)
・「悔やむことは山ほどありますが、一番は、30才代後半から50才代まで、仕事に追い詰められて、妻と子供をほったらかしにしていたことです。」(72歳・男性)
第3位 大学の選択
進学、就職など10代から20代にかけては、人生の大きなライフイベントを迎えます。こうした大きな節目のライフイベントに後悔を感じている人も多いことが分かりました。親の言いなりにならないで、自分の学びたい学部に進みたかったと親の関与を悔やむ声もいらっしゃいました。
・「無理しても大学を出ておけばよかった。」(68歳・男性)
・「大学受験です。その後の学歴社会で痛い目に何回か遭いました。」(73歳・男性)
・「高校生のときに、母親の圧力に逆らえなかったことです。大学は国文科に行きたかったのに、潰しが効かないからと英文科にさせられました。誰が学費を払うのかと言われました。自分の意志を貫けばよかったです。」(62歳・女性)
・「大学の選択。自分の学びたいことがある大学を、親の反対で受験できなかった。バイトをしてでも希望の大学に行っていればよかった。」(71歳・男性)
・「高校3年の時 好きな女の子ができて勉強に身が入らず 浪人して第2志望の大学に入学したこと。」(88歳・男性)
第2位 結婚相手について
結婚に関する後悔の数は3位の倍以上を占め、人生の大きな岐路のひとつであることがよく理解できました。後悔の比率は、男性、女性ほぼ同じくらいでしたが、男性に比較的多かったのは、「一番愛した人にプロポーズしなかったこと」といったプロポーズを悔やむ声でした。
・「違う人と結婚したかった。」(60歳・女性)
・「2人の男性から同時期に結婚を申し込まれ、夫を選んだこと。長い目で見たらもう1人の方が良かったかも。」「(64歳・女性)
・「夫との結婚。夫以外に沢山恋愛をして男性を見る目を付けておくべきだった。優先する順序を間違えたかも。」(65歳・女性)
・「結婚相手。親の意見を聞き入れず、自分で決めた相手と結婚しとけば良かった。」(67歳・女性)
・「結婚したこと。離婚して独りになって今が一番幸せです。」(76歳・女性)
・「結婚相手を間違えた。」(71歳・男性)
第1位 もっと勉強すれば良かった
そして、最も多かった後悔の声は、「もっと勉強しておけば良かった」というものです。進学、就職と同じように、成人以降の自分の人生を決定する大きな要因として「学び」を挙げています。
・「勉強を頑張らなかったこと、それで入れる大学や職業も変わったと思う。自分の努力が足りなかったことに後悔。」(62歳・女性)
・「もっと勉強をして、一生かけるべき仕事に付きたかった。」(66歳・男性)
・「最も記憶力や創造力が高かったはずの10~20代の頃にろくに勉強も創造的活動もしなかったこと。知識や技術を習得しておきたかった。」(69歳・男性)
・「英語の勉強をして海外留学がしたかった。」(64歳・女性)
・「若い頃もっと語学の勉強をしておくのだった。」(76歳・女性)
以上、シニアが後悔していることをランキング形式で紹介しました。こうしてみると、項目として多いのは、「勉強」「進学」「就職」「結婚」など、おおむね30代くらいまでに経験するライフイベントが多数を占めています。しかし、多くのシニアはそうした悔いを抱えつつも、日々の生活を送り続けて現在に至るのでしょう。
まだ高齢期を迎える前の若い人たちは、こうした現在の高齢者の後悔を参考にしながら、自らの生活を今一度点検してみてはいかがでしょうか。