幸せで長生きするための特徴

沖縄の盛衰

長生きするための特徴については、様々な研究がおこなわれています。日本の沖縄県は長生きで有名なので研究が行われ、何が良かったのかが明らかになりました。その後、沖縄県は日本国内で寿命の順位を大幅に落としました。落とした理由を調べると、何が寿命に悪いかが分かりました。つまり、沖縄は良いことと悪いことの両方を実践したのでした。

まずは、良いことについて、CNBC make itの記事を見てみましょう。以下は拙訳です。

 


世界の長寿者263人に聞いた、幸せで長生きするための9つの「譲れないもの」

過去20年間、私は5つのブルーゾーン(人々が特別に長生きする地域)を研究するために世界中を旅してきた: 日本の沖縄、イタリアのサルデーニャ島、コスタリカのニコヤ島、ギリシャのイカリア島、そしてカリフォルニア州のロマリンダである。

100歳以上の263人へのインタビューから、世界の長寿チャンピオンたちは、私が “パワー9 “と呼ぶものに基づいて行動していることがわかった。

彼らの人生を長生きさせるための9つの譲れない条件を紹介しよう:

1. 自然に動く

世界一の長寿者たちは、鉄で鍛えたり、マラソンをしたり、ジムに通ったりはしない。その代わり、彼らは常に体を動かすように促す環境に住んでいる。

彼らは庭を作り、家事や庭仕事に機械的な便利さを求めない。職場や友人宅、教会に行くたびに、楽しく歩くことから始まるのだ。

2. 目的

日本の沖縄県民はこれを「生きがい」と呼び、コスタリカのニコイア人はこれを「人生の計画」と呼ぶ。どちらも “朝目覚める理由 “と訳される。

私が訪れたすべてのブルーゾーンの住民は、仕事以上の生きがいをもっていた。目的意識を知ることで、人生が7年も延びるという研究結果もある。

3. ダウンシフト

ブルーゾーンにいる人たちでさえ、ストレスを経験している。ストレスは慢性炎症を引き起こし、あらゆる主要な加齢関連疾患と関連している。

しかし、彼らにはストレスを解消する習慣がある: 沖縄県民は毎日先祖を偲び、アドベンチストは祈りを捧げ、イカリア人は昼寝をし、サルデーニャ人はハッピーアワーを過ごす。

4. 80%ルール

沖縄の人々が食事の前に口にする2500年前の儒教の真言である「腹八分目」は、お腹が80%満たされたら食べるのをやめるようにという教えである。

ブルーゾーンの人々は、昼過ぎから夕方にかけて一番少ない食事をとり、それ以降は食べない。

5. 植物の傾斜

空豆、黒豆、大豆、レンズ豆などの豆類は、ほとんどのブルーゾーンの食生活の要である。肉類は月に平均5回しか食べず、その量は3~4オンス(トランプ1枚分)である。

6. 午後5時にワイン

ブルーゾーンの人々は、アドベンティストでさえも、適度に定期的にアルコールを飲む。適度に飲む人は飲まない人より長生きする。

コツは、1日にグラス1~2杯を友人と、あるいは食事と一緒に飲むことだ。また、一週間貯めておいて、土曜日に14杯も飲むことはできません。

7. 所属

私が話を聞いた263人の百寿者のうち、5人を除いて全員が信仰に基づくコミュニティに属していた。宗派は関係ないようだ。月に4回、信仰に基づいた礼拝に参加することで、寿命が4年から14年延びるという調査結果もある。

8. 愛する人を第一に考える

ブルーゾーンの百寿者たちは、老いた両親や祖父母を近くに置いたり、家に置いたりしている。

彼らは生涯の伴侶と約束し(これによって寿命が3年延びる)、子供たちに十分な時間と愛情を注ぐ(これによって、いざというときに子供たちが世話役になる可能性が高くなる)。

9. 適切なグループを見つける

世界の長寿者たちは、健康的な行動をサポートする社会的サークルを選んでいる(あるいはその中に生まれている)。

沖縄の人々は「モアイ」と呼ばれる5人の友人からなるグループを作り、互いに生涯を誓い合う。研究によれば、喫煙、肥満、幸福感、そして孤独感さえも伝染する。対照的に、長寿の人々の社会的ネットワークは、彼らの健康行動を有利に形成する。

もちろん、これらのルールに従えば100歳まで生きられるという保証はないが、人生の幸せな歳月を増やすチャンスは大いにある。


沖縄の研究がされていますが、現在は長生き県ではなくなりました。それについて、理由を見てみましょう。PRESIDEENT Onlineの2021年8月29日の記事です。


「男性の平均寿命が1位→36位」沖縄があっという間に”短命県”になったシンプルな理由

伝統料理が県民の健康を支えていた

かつて沖縄県は「平均寿命全国1位」だったが、直近では女性が7位、男性が36位と大幅に悪化している。京都大学名誉教授の家森幸男さんは「沖縄県の平均寿命が長かったのは、塩分量が適切で脂も少ない伝統的な沖縄料理を食べていたから。米軍基地の影響などでファストフードを食べるようになってからは、健康診断の結果も悪化していった」という――。

かつては平均寿命全国1位の“長寿県”だった沖縄

長寿地域の崩壊のひとつとして、残念ながら日本の沖縄県があります。かつて「沖縄」といえば長寿県として知られました。

1975年の統計以来、沖縄の平均寿命は女性が全国第1位とトップを維持し、男性も80、85年には1位と、一貫して上位を守り続けてきました。1995年には大田昌秀知事(当時)が「世界長寿地域宣言」を出すに至っています。

メディアはこぞって伝統的な食事、温暖な気候、おおらかな県民性など、「沖縄の長寿の秘訣」を探ったものです。まず沖縄では豚肉がよく食べられていることが知られます。肉だけでなく、内臓や頭部分(皮)、耳、豚足など、1頭を丸ごと食べつくします。

内臓は鉄分やミネラルが豊富ですし、皮にはコラーゲンがたっぷり含まれています。しかもどの料理もいったんゆでてから使うため、余分な脂肪分は取り除かれ、上質なたんぱく質を摂取することができます。

さらに、豆腐とゴーヤを炒めたゴーヤチャンプルー、豆腐ようなど、大豆を使った料理がひじょうに多いのも特徴です。豚肉と大豆によって、日本のほかの地域では不足しがちな良質のたんぱく質をしっかり摂っていたのです。

また温暖な気候にある沖縄では新鮮な野菜や果物が豊富に取れます。ゴーヤを使ったゴーヤチャンプルー、パパイヤを使ったパパイヤイリチー、ニンジンの炒め物など、野菜を使った料理も多くあります。

80年代まではお手本のような食生活を送っていたが…

さらにすばらしいのは、こうした料理がすべて「適塩」であることです。減塩食というと、病院の食事のように「味気ない」「物足りない」というイメージがあるかもしれませんが、沖縄の伝統食は「適塩」で、かつ「おいしい」を両立させているところがすばらしいのです。

沖縄は暑いところですから、豚肉などは保存のために塩を使います。しかし、それを塩抜きするために茹でて食べる習慣があり、その際に脂肪が抜けて、脱脂肪、減塩効果がある、すばらしいソーキそばのような伝統料理が育ったのでした。

こうした伝統的な料理を食べていた時代、沖縄の人たちの健康状態はひじょうに良好でした。私たちは1986年から長く沖縄に通い、琉球大学の協力を得ながら、沖縄の人の食生活を調査してきました。

琉球大学にも協力してもらって、24時間の尿採取をしたところ、食塩の摂取量は8.2グラム。1986年当時、日本人は10グラム以上の食塩を摂取していましたが、その中にあっては最も低い数値でした。

さらにコレステロール値も優秀。血液100ミリリットルあたり、平均180から200ミリグラムでした。これはもう世界的に見ても理想的な数値でした。まさに世界に誇る長寿地域だったのです。

異変は2000年に起こりました。

最新の調査では男性36位、女性7位と大幅に下落

男性が前回の4位から26位と大幅に後退してしまったのです。さらに2010年には男性は30位、女性はトップを長野県に譲って3位となってしまいました。長寿を誇った沖縄の凋落のニュースは驚きをもって伝えられました。

実は私たちはもっと早いうちから食生活の変化に気付いていました。沖縄は米軍基地の駐留地でもあることから、早くからファストフード店が入ってきており、食の欧米化がどんどん進んでいました。それとともに肥満が増え、健診の数値も悪化していっていました。

まさに沖縄が短命になるプロセスを目の当たりにしてきたわけです。長寿宣言は1995年でしたが、その前から変化は徐々に表れていたのです。それはきっと県側も気づいていたことでしょう。「今出さなければ、今後はもう出すことができない」というギリギリのタイミングで行ったのが長寿宣言だったのではないかと思うのです。

実際、沖縄が長寿県1位の座から陥落したのはこの長寿宣言から5年後のことでした。最新の調査(2015年)は男性36位、女性7位と、さらに順位を下げています。さらには65歳未満(30~64歳)、いわゆる働き盛り世代の死亡率は男性でワースト5位、女性も同じくワースト4位と、健康状態がひじょうに厳しい状況にあることがうかがい知れます。

沖縄の健康を取り戻す計画が進行中

今、長寿・沖縄を取り戻す計画が進行しています。名付けて「元気沖縄プログラム」です。琉球大学の益崎裕章教授や、本書の監修者である東海大学・森真理准教授とともに、2040年までに沖縄の長寿を取り戻す取り組みを行っています。

まず小学生の尿検査を行い、一人一人にデータを返します。この「データを返す」ということが重要です。ナトリウムが多いから塩辛いものを食べている、カリウムが足りないから野菜が足りないと、子どもにも自分の食事の不足や過剰がわかります。

それから数カ月してまた検査をすると、みんな数値がよくなっているのです。検査をするというだけで栄養状態が改善しているのです。子どもの食事が変わるということは、家庭の食事が変わるということです。すると当然、大人も変わっていきます。

こうして子どものうちから正しい食生活を身につけ、なおかつ沖縄の伝統料理を取り戻すことで、長寿県沖縄が復活してくれることを心から願っています。