GPIFでもアクティブ運用は失敗

ウォーレン・バフェットがインデックスファンドについて賭けをした結果、アクティブ・ファンドが負けた話は有名です。


ウォーレン・バフェットが行った有名な「賭け」とは、2008年から2017年の10年間、S&P500インデックスファンドとプロテジェ・パートナーズが選んだ複数のヘッジファンド(ファンド・オブ・ファンズ)の運用成績を競った100万ドルの勝負です。 

賭けの概要と背景

  • 提案者: ウォーレン・バフェット(2006年の株主総会で挑戦状を叩きつけた)
  • 対戦相手: ニューヨークの投資会社「プロテジェ・パートナーズ」の共同創業者テッド・シーデス
  • 期間: 2008年1月1日~2017年12月31日の10年間
  • 賭け金: 双方約32万ドルずつ出し合い、国債で運用して10年後に100万ドルに増やして勝者に渡し、チャリティへ寄付する
  • ルール: バフェットはバンガードの低コストなS&P 500インデックスファンドを選び、相手は厳選した5つのヘッジファンド(100以上のヘッジファンドに分散投資)を選んだ。 

結果

10年間の結果は、バフェットが選んだS&P500インデックスファンドの圧勝に終わりました。 
  • インデックスファンドの年平均リターンは約7.1%。
  • 一方、ヘッジファンド側の年平均リターンは約2.2%にとどまりました(高額な手数料が重荷となった)。
プロテジェ側はリーマンショック直後の1年目に優位に立ったものの、2年目以降は市場平均(S&P500)に勝てず、パッシブ投資の優位性を証明する歴史的な対決となりました。

日本のGPIFでも、やはりアクティブ・ファンドが負けました。

2026年8月27日 日経


GPIF、過去10年は「3勝7敗」 積極運用の成果見えず

「ここまでやって指数に勝てないなら仕方ない。そういうところまで手を尽くしたつもりだ」。かつてGPIFで運用を統括した元幹部はこう振り返る。実は運用資産300兆円の「クジラ」にとって市場平均リターンの達成は容易ではない。

GPIFは国内外の株式と債券に25%ずつ投資している。国内株は東証株価指数(TOPIX)、世界株はMSCI ACWIといった具合に市場平均を反映するベンチマーク(指数)があり、それらを25%ずつの割合で合成した「複合ベンチマーク」に負けない収益率が求められる。

2025年度も「複合ベンチマーク」下回る

ところが、25年度までの10年の成績をみると、複合ベンチマークを上回ったのは3回しかない。直近の25年度の運用収益率は16.47%と複合ベンチマークよりも0.18ポイント低かった。単純計算で5000億円も取りはぐれたことになる。

厚生労働相がGPIFに課す25〜29年度の中期目標では、5年間で複合ベンチマークのリターンを確保することを必達目標として求める。これまでの「3勝7敗」の延長線上の運用スタイルでは達成が危ぶまれる。

そこでGPIFはアクティブ運用の強化に本腰を入れる。市場平均に機械的に追随するのではなく、運用者の判断で有望銘柄をえりすぐる。あえてリスクをとってベンチマークを上回る超過収益を狙う運用だ。

外国株アクティブ運用ファンド、5年前の10倍

GPIFの運用委託先のうち、外国株のアクティブ運用は25年度末に75ファンドだった。5年前の10倍だ。国内株アクティブも27ファンドと1.6倍になっている。過去に取引のなかった腕利きの運用会社を国外からも探し、GPIFとの取引に応募するよう働きかけてきた。

こうした経緯を知る前出の元幹部によると、GPIFは「世界最大級のヘッジファンド、米ミレニアム・マネジメントの手法を目指した」という。

目指すは「ポッド」の集合体

ミレニアムは近年安定した高い収益率を上げていることで知られる投資会社だ。「ポッド」と呼ばれる小さな運用チームを無数に集め、それらへの資金配分をトップダウンで調整して安定収益を目指す運用スタイルに特徴がある。

300兆円の巨体のクジラゆえに運用に制約が多いGPIFを、小魚の群れに見立ててコントロールするイメージだ。市場そのものが大きくない中小型株や特定のテーマにも資金を振り向けやすくなる。

「コンサル報酬が高すぎる」 経営委員会が紛糾

しかし、アクティブ運用の成果が数字となって見えない中で、足元では積極運用をめぐり、ある助言会社への巨額報酬を疑問視する声も出ている。

「報酬が高すぎる。もう少しなんとかならないか」。GPIFの業務執行を監視する経営委員会で24年12月、米コンサルティング会社アプライド・アカデミクスに支払う報酬をめぐり議論が紛糾した。経営委は5年ごとに基本ポートフォリオも策定する最高意思決定機関だ。

執行部は今後内製化などによって報酬を減らす努力をすると説明し契約は承認されたが、アプライドとの取引金額は運用会社と比較すると突出して大きい。

アプライドはGPIFが運用改革で頼るコンサル会社だ。定量分析に強みがあり、運用会社の選定やポートフォリオ構築を支援する。複数年で46億円の固定報酬に加え、成果に応じた実績連動報酬次第では最大278億円を支払う契約になっている。

GPIF資金の運用を受託する運用会社の報酬はどうか。23〜25年度の3年間で首位だったニッセイアセットマネジメントは108億円、ブラックロックが83億円で続く。アプライドは条件や契約内容が異なるため単純比較できないが、「異例の規模」との声が少なくない。

今のところコンサル採用による顕著な成果が出ているとはいえない。25年度の運用成績は複合ベンチマークを0.18ポイント下回った。このうち0.15ポイント分は非上場株などのオルタナティブ(代替)投資が上場株の上昇に及ばなかったためという。結果的にアクティブ運用は収益に貢献できなかった。

もともと資産運用の世界では、費用がかさむアクティブ運用によって低コストのパッシブ運用に勝ち続けるのは容易ではない。高額報酬に見合う高収益が得られれば全体として的確な判断といえる。しかし、多額の費用を投じた改革が実を結ばなければ説明責任を問われ、政治的な風当たりが強まる可能性がある。

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