指数100⇒48⇒152
2007年に資産運用を始めてリーマンショック後には、資産の指数が100から48に急落しましたが、現在は152に増えました。評価益はテスラ自動車5台分ですが、本人はコンパクトカーの中古を100万円以下で購入し、10年以上保有していました。自分ではほとんど乗らずに、主に子供が乗っていました。
買うだけで売らない
資産と運用益は同じ形をしています。その理由は、買うだけで、売ることがないからです。
14年前に投資開始
連れ合いが投資を始めたのは2007年のサブプライムバブルのころでした。
サブプライムローン
サブプライムローンは、米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)の住宅ローンで、従来は住宅ローンを組むことが難しかった移民らが融資の対象となった。
住宅バブル
サブプライムはプライムの下という意味で、プライムというのは、焦げ付きの心配のいらない優良な借り手という意味です。優良な貸出先であるプライムローンより劣る融資で、焦げ付きリスクが高い分、貸出金利も高くなります。米国の金融機関は、住宅価格が上昇していたことを背景に、ローン返済が滞っても、購入した住宅を売却すれば完済できると顧客を勧誘し、競い合うようにローン残高を拡大していきました。
債務担保証券
このサブプライムローンはリスクが高く、一般の投資家が扱うのは難しい代物でしたが、信用度が高い公社債などと一まとめにした上で小口化した債務担保証券(CDO)として売り出されました。簡単に言うと、普通の牛肉と賞味期限ぎりぎりの豚肉を混ぜてミンチにして売ったのです。CDOは公社債が中心で信用度が高いとされ、サブプライムローンが組み込まれているため、利回りも比較的高い。米国だけでなく欧州や日本でも流通していきました。
不動産価格下落
しかし、不動産価格の下落が始まると焦げ付きが頻発。サブプライムローンを組み込んでいた金融商品の値段も下落しました。典型的なバブルだったとも言えるサブプライムローンは、最新の金融技術によってリスクが隠ぺいされ、世界中にばらまかれたというのが実態でした。
20年前の日本のバブルと同じ
土地価格の値上がりを信じて疑わず、バブルを拡大した日本の金融機関と全く同じ構図でした。日本の教訓は生かされませんでした。
借金を背負った人たち
私自身は1990年前後の資産バブルで損失はこうむりませんでしたが、私の周りには、銀行から数億円の借り入れをして不動産に投資した弁護士、マンションを2回買い換えて、最後に大きな借金が残った1部上場マンションデベロッパーの部長、土地価格がピークの時に小さな住宅を買ってしまった大手上場企業の元副社長などがいました。それから約20年後にサブプライム問題、リーマンショックは起こりました。人間は20年経つと、過去の教訓を生かせなくなるものです。
誰もが動揺
話を元に戻して、連れ合いは2007年に私の勧めで1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))とSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を、合計1000万円購入しました。購入後数か月すると、サブプライム問題がニュースで取り上げられるようになり、翌2008年9月にはリーマンショックが起こりました。この時の金融関係者の動揺は忘れられません。
NHKラジオの経済評論家
NHKラジオ第1放送では、朝6時40分過ぎから、毎日経済評論家が経済解説をしていました。2008年9月15日も、ある経済評論家は、現在の経済状況は良好であり、今後もこの状態が続くという趣旨の原稿を用意していました。しかし、その数時間前にリーマン・ブラザースの経営破綻が報じられたのです。リーマン・ブラザースは大きな企業なので、倒産した場合の影響が大きく、「大きすぎて潰せない(Too big to fail)」と言われていました。しかし、金もうけばかり優先していた巨大金融機関の幹部が経営責任を問われないのはおかしい、という世論に押されて、アメリカ政府は突如経営破綻を容認したのでした。突然の経営破綻用の原稿を用意していなかった経済評論家は、NHKのアナウンサーから、「そんな意味のない原稿を読んでもだめだ」、と言われたのですが、それ以外の原稿は用意していません。そこで、「まずは、この原稿を読ませてほしい」と頼んで読み終えたとたん、アナウンサーから「実際はそうなっていないのだから、経営破綻をもとに解説を付け加えてほしい。」と言ったのですが、何も答えられず、時間切れとなってしまいました。経済評論家がこの体たらくですから、一般投資家は、大いに戸惑いました。
連れ合いはパニック状態
私の連れ合いも、パニック状態です。「株価がどんどん下がるから、今売って、もっと安くなったら買い戻す。」と言い張ります。それに対して私は、「そんなことができたら、株をやる人はみんな金持ちになる。売らないで持ち続けるのが一番だ。」と説得しました。
ところで最高の投資家であるウォーレン・バフェットはどうしたのでしょうか。
2008年10月、リーマン・シヨックの真っ最中、NYタイムズに次のような文章を投稿しました。ウォール街をはじめ世界中の金融市場が恐怖に巻き込まれていたときでした。タイトルは「Buy American.I am」(アメリカを買おう、私は実行中)。
「米国をはじめ世界の金融市場が窮地に追い込まれた。さらに問題は経済に波及し、吹き出るような勢いである。目先は失業者が増加し、経済活動は低下し、新聞の見出しは恐怖心を駆り立てている。私は米国株に買い出動した。自分の個人資金での投資で、これまでは米国債だけを保有していた(この記述にバークシア・ハザウェイ株は含まれていない。私の保有するバークシア・ハザウェイ株は慈善団体に寄付してある)。相場が現在のような安値圏にあるなら、近く個人資産の100%を米国株にするつもりだ。
なぜ?
現在、株を買う理由は極めて簡潔だ。市場が欲深くなったときには警戒し、市場に恐怖心が蔓延したときは投資のチャンスであるからだ。
いま確実にいえることは、恐怖心が広がり、人気だけで動く目先筋は打ちのめされた。投資家は高いレバレッジに後悔し、企業間の競争が高まることを懸念する。多くの健全な企業の先行きを心配するのは意味がない。これらの企業の業績も一時的には落ちるのは当然だが、向こう5〜20年以内には史上最高利益を上げる」
この投稿の通り、ウォーレン・バフェットはアメリカ株を買い、かなり儲けたという話です。ただし、底値は2009年3月で、それよりはかなり高い価格で買ったと言われています。
株式急落時の3通りの対応
私の連れ合いは、2009年3月に指数48まで下落した後、株式ETFを持ち続け、現在の152まで増えました。リーマンショック時の対応は、大きく分けて3通りあったようです。
- 最も良い方法:株価が下がったところで余裕資金を投資する。
- 次に良い方法:何もせず、株を持ち続ける。
- 悪い方法:ろうばい売りをして株式投資をやめてしまう。
昨年の新型コロナショックの際、リーマンショックの教訓は生かせたのでしょうか。連れ合いは、1割ほど価格が下落したときにVOO(S&P500ETF)を購入できました。底値は3割下落ですから、ベストのタイミングではありませんでしたが、一応上記の1.に該当します。
私は、様子を見ているうちに値上がりしてしまったので、全く買えないまま現在に至りました。つまり、上記の2.に該当します。
なかなか絵に描いたような行動はとれないものです。