円安と資産評価額

資産評価額急騰

私の資産評価額は、今年の1月6日に最高になった後、FOMCの金融緩和策縮小とロシアのウクライナ侵攻で3千万円急落しましたが、最近ロシア軍に衰えが見え始めたことと、急速な円安が進んだことによって、V字回復して最高額を更新してしまいました。それは私だけでなく、連れ合いも同じです。3月の初旬には想像できませんでした。未来は誰にもわかりません。

円安も要因の一つ

私の評価益は為替相場にも大きく左右されるのですが、最近、株価とは別に、円安が急ピッチで進んでいますので、ロイター、日経、ブルームバーグで有識者の考えを勉強しましょう。


ドル円の上昇に弾み、円安トレンドは当面続く

尾河眞樹ソニーフィナンシャルグループ執行役員兼金融市場調査部長

3月のドル円は、初旬の114円ちょうど付近から125円台まで、約1カ月で11円の上昇幅となった。ドル円が1カ月を通して一本調子に上昇したのは2016年11月以来だ。

<3つの要因>

第1に、米連邦準備理事会(FRB)による一段の「ギアチェンジ」が挙げられよう。

第2に、日本の経常収支の悪化が挙げられよう。財務省が3月8日に公表した1月の経常収支は1兆1887億円の赤字となった。経常収支の赤字転落は、端的に言えば海外からの収入超から海外への支払い超になったことを示すため、為替の需給としては外貨売り円買いよりも、外貨買い円売り圧力のほうが大きくなる。

第3はテクニカル要因だ。これまでドル円の上値抵抗線とみられていたポイントをことごとく上抜けたため、円の先安観から、実需の円売りヘッジなども含めて、様々なドル円の買い需要が炙りだされた可能性がある。

今後地政学リスクや国家間の摩擦によるサプライチェーンの変化、また、世界的なグリーン戦略の影響などにより、エネルギー資源の輸入価格がさらに上昇するリスクも否定できない。さらには、少子高齢化による貯蓄の減少に伴い、今後経常収支の赤字が恒常化する可能性もある。この場合、円安傾向は長い期間継続するかもしれない。


「悪い円安」、日本に進行阻止の手立てはあるのか

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

最近のドル高・円安は日本の貿易赤字拡大の影響を強く受けて進んでいる。日本の輸入企業は日米金利差とは無関係にドルを買い続けるため、日銀が利上げを行っても「実需のドル不足」によるドル高・円安圧力を封印するのは難しい。

「悪い円安」の進行を根本から食い止めるには、日本の貿易赤字体質を改めるための地道な努力を重ねる以外の近道は存在しない。

少し時間がかかるかもしれないが、過去何十年もかけて海外に引っ越してしまった工場を国内に呼び戻すための対策を講じたり、海外からの輸入に頼るエネルギーや食料自給率を少しずつでも上げたりするための技術革新や構造改革が必要だ。


技術革新阻害、政策転換を

野口悠紀雄 一橋大学名誉教授

実質実効為替レートで見た円安が続いているのは、政府が円安を是とする政策をとってきたからだ。円安は製造業の輸出拡大を後押しし、企業業績を押し上げるから有益だと信じられてきた。

だが、中国が製造業で台頭し、韓国や台湾が半導体をはじめとした高付加価値のハイテク産業の輸出を拡大する中で、円安政策はもはや機能し得なくなっている。円安でも輸出は伸びず、コロナ禍からの回復と急激な資源高が企業収益を圧迫している。企業にも、円安が望ましいとはいえない、という認識が広がってきた。

現状の急激な資源高を、企業が全て転嫁するのは困難な状況だ。企業側に円安のデメリットが意識されている今こそ、円安政策を転換する好機だ。円安政策の転換と並行して構造改革を行い、企業の競争力を高めることが求められている。


1ドル150円まで円下落も、円安乗る動き

ソシエテGエドワーズ氏

円は対ドルで約6年ぶりの安値圏にあり、過小評価されているとの見方が既に多い。しかし、さらに値下がりする余地があり、現行水準から2割近く下落して1990年以来の安値に達する可能性があると、ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルバート・エドワーズ氏はみている。

エドワーズ氏によると、「トレーダーが突き進む」中で、円は1ドル=150円程度に下げる可能性がある。円は25日、一時122円44銭まで下落した。円安は地域全体に連鎖反応を起こし、人民元の一段の下落にもつながり得ると分析している。

同氏は顧客向けリポートで、円相場が下落方向で動くときはそのペースは速いとし、「信じ難いほど過小評価され、売られ過ぎにもかかわらず、円はここからまだ下げるかもしれない。この数年の為替相場のボラティリティー不足を背景に退屈でぼんやりしていたトレーダーは、現在の円安を取引機会とみて乗じている」と指摘した。

円は今年に入り対ドルで約6%下落し、先進国通貨の中で最悪のパフォーマンスとなっている。24日も円の下げは続き、一時122円の水準を抜けて円安ドル高が進んだ。

一方、ガベカル・リサーチのアナリスト、ウディス・シカンド氏によると、政策当局者のわずかな発言の変化がセンチメントの大きな転換をもたらす可能性がある。

同氏は24日のリポートで「円の実質実効為替レートは約半世紀ぶりの低水準にあり、為替先物市場の建玉データを見ると、円ショートがますます増えていることがうかがえる」とした上で、「外為市場では安全というより若干危険な賭けがある」と論じた。