会社の福利厚生1:従業員持株会

◎今日のテーマ:会社の福利厚生1:従業員持株会

私は長年にわたって企業に勤めていました。その間利用していた福利厚生もありますし、私が責任者を務めていた福利厚生もあります。それらについて意見を述べたいと思います。

従業員持株会

最初は従業員持株会についてです。会社は、安定株主の確保を目的として従業員持株会を作っている場合が多いようです。それ以外の目的としては、社員には、会社の労働者という立場だけではなく、株主という立場にもなって、経営の施策を理解してほしいという気持ちもあるでしょう。

奨励金

社員が払う掛け金に応じて、会社は奨励金を払います。奨励金の額は、いろいろで、0.3%のところもあるし、1.0%も払う会社もあります。ただし、奨励金の額をあまり高くすると、福利厚生ではなく、給与の一部とみなされてしまう恐れもあります。

従業員持株会の問題点1:解雇と倒産の可能性

会社の業績が悪い場合には、給料と株価のダブルで被害を被る。このことが最大の問題点です。業績が悪いだけなら、将来回復する可能性も残っていますが、会社が倒産すれば、解雇になった上に株式という金融資産もゼロになるという恐れがあります。そんなことは、普通起こらない、と考える人もいるかもしれません。しかし、私の連れ合いの勤めていた会社は倒産して、従業員持株会で貯めた400万円がゼロになりました。倒産のかなり前に退職していたので、解雇にはなりませんでしたが、400万円の資産がゼロ円になるというのは悲惨です。私の父親は、山一證券と、東芝の株式を保有していました。山一證券は自主廃業しました。東芝は東証1部から2部に格下げになっていますが、2016年ごろは倒産の恐れがありました。

従業員持株会の問題点2:1社に集中投資するリスク

私の投資方法は、分散投資を基本としています。1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)だけで2000社、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)などは500社に分散しています。20社、30社に分散投資する中で、自分の勤めている会社にも、全資産の中で数%だけ投資するのなら、問題は無いと思いますが、高いウェイトで投資するのはリスクが大きすぎます。

注意すべき宣伝文句:会社側の説明を鵜呑みにしてはいけません。

① 奨励金がある

奨励金と言っても、0.3%程度では、あまり魅力を感じません。私の勤めていた会社では、奨励金が1.0%だったので、上限いっぱい利用しました。しかし、今振り返って考えると、とてもリスキーだったと思います。1.0%の奨励金を受け取って、毎年引き出し、インデックスファンドに移管することが、堅実な方法だと思います。

② 値上がり益が期待できる

株式の年平均利回りは、プラスの株式が多いですから、そのようなグラフを見せられれば、値上がりしていると思いがちです。しかし、値下がりしている銘柄もありますし、同じ値上がりしているのであれば、個別株式でなく、1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)などのETFの方が、リスクが低いのです。

③ 給与天引きで手間がいらない

つみたてNISA、iDeCo、特定口座の投信積立は、現在ほとんど手間いらずで活用できますから、給与天引きのメリットはほとんどありません。

④ ドルコスト平均法でコツコツ積み立てられる

ドルコスト平均法のメリットをうたうのであれば、時間分散だけでなく、銘柄分散も言うべきですから、インデックスファンドやETFの方が良い投資です。

結論

奨励金が高い(例えば1%)場合には、従業員持株会を利用しても良いのですが、1年か2年おきに引き出して、その資金で証券会社のインデックスファンドやETFを買うべきです。奨励金が安い場合や、定期的に株式を引き出せそうにない場合には、従業員持株会は利用したくありません。