若い人へのアドバイス
私は長いサラリーマン人生の間に、資産運用関係の仕事に携わって来ました。その知見をもとに、就職が内定した自分の子供にお金のアドバイスをしました。このブログでは、数回に分けてそれを説明します。
失敗談
それに先立ち、私が長年のサラリーマン人生で携わった資産運用の商品や制度について、ユーザーの立場から振り返った時に、失敗した、こうすればよかったということを述べたいと思います。
② 厚生年金基金
役職定年の元金融機関社員
厚生年金基金の役員をしたこともありました。厚生年金基金の役員は、一人を除いて全員が年金運用の素人です。その一人とは、金融機関で役職定年になって転籍してきた人です。そのような人は長年にわたって、基金などの素人から利益を得てきた立場ですから、基金の役員になったからといって、すぐに基金側の立場に立って、100%基金のために尽くすのは難しいでしょう。微妙な立場で、双方がある程度満足とあきらめを持てるようにうまく泳ぐしかありません。
素人役員は、何をどの程度変えればよいかわからない
他の役員は、勉強熱心な人は機関の資産運用の本を読んだりしていますが、素人では何が問題か分かりませんし、もしわかってもどの程度、どのように改善したらよいかも分かりません。
金融機関が多すぎる
私の立場からは、一つだけ問題提起をしました。それは、関わっている金融機関が多すぎるということです。金融機関が多いことの弊害は2つです。
コスト
一つ目は、それぞれの金融機関にある程度の経費を支払わなければならず、コストが発生します。
同じ銘柄を売り買い
二つ目は、それぞれの金融機関がアクティブ運用をすると、同じ時期に、同じ会社の株式を買ったり売ったりすることがあり、何もしない場合に比べ、売買コストだけが膨らむという事態に陥りやすいのです。私の現在の資産運用方法は、インデックスファンドを地域別に保有していますので、そのような問題は発生しません。アクティブファンドを保有している個人資産運用家も、アクティブファンドには、そのような問題があることを認識すべきです。この問題は、複数のアクティブファンド間でも発生しますが、アクティブファンドとインデックスファンド間でも発生します。それ以前に、コスト(信託報酬)の高いアクティブファンドを保有すること自体が問題だと思います。
レバレッジは高コスト
もう一つ問題提起をすればよかったと思うことがあります。それは、国内株式にレバレッジをかけて運用したことです。レバレッジをかけるとコストが高くなりますので、私個人の資産運用では行わないのですが、厚生年金基金の役員は金融機関に説得されて、その方法を採用してしまいました。役員の内、一人だけは後になってそれを知り猛反対したそうですが、圧倒的多数が賛成したために、原案通り承認されました。個人の資産運用も、厚生年金基金などの資産運用も、金額に差があるものの、運用方法は通じるところがあるので、レバレッジはかけるべきでないと思います。