社会人とお金4

若い人へのアドバイス

私は長いサラリーマン人生の間に、資産運用関係の仕事に携わって来ました。その知見をもとに、就職が内定した自分の子供にお金のアドバイスをしました。このブログでは、数回に分けてそれを説明します。

失敗談

それに先立ち、私が長年のサラリーマン人生で携わった資産運用の商品や制度について、ユーザーの立場から振り返った時に、失敗した、こうすればよかったということを述べたいと思います。

③ 保険

私はかつて、生命保険、医療保険、がん保険、損害保険等の販売に携わったとこがありました。ちょうどその頃、後田亮という保険のプロ(元保険会社社員で現在は保険のコンサルタント)の新聞連載記事を読んでいました。その内容は、次のようにまとめられます。

不都合な真実

“ 保険業界には「不都合な真実」があります。保険会社で働く人たちが、個人向けには販売されていない格安の「団体保険」を愛用していることです。
彼らは、保険には「入れば安心」ではなく「入るほど損」だと知っているのです。この重要な原則が一般に浸透していないのは、保険会社が各種媒体の広告主だからかもしれません。 ”

団体定期保険

団体保険とは、皆さんが自分の勤めている会社の人事・福利厚生部門で斡旋している「団体定期保険」のことです。(もし、つ詰めている会社で団体定期保険がなければ、都民共済なども類似の商品として推奨されるものです。)この商品は、人事・福利厚生部門が周知・とりまとめをしていますからほとんど経費が掛かりません。

がん保険

一方、民間が広告宣伝費を払って売っている商品は高い経費が掛かります。その高い経費と人件費は、保険料に上乗せされることになります。その最たる商品は、テレビコマーシャルや街中でのティッシュペーパー配りを見れば、「がん保険」ということは容易に想像できます。

生命保険会社の部長

生命保険の部長さんたちは、自社の人事・福利厚生部門で斡旋している「団体定期保険」にしか入らないそうです。また、もし保険のプロやコンサルタントに、「どの生命保険に入るべきか」を相談したときに、団体定期保険を、真っ先に推奨しなければ、その人は信用できない、と考えるべきだとされています。

医療保険

日本には高額療養費制度があり、医療保険に入る必要はないと言われています。日本の健康保険料は非常に高いのですが、その理由の一つが高額療養費制度のあることです。私たち日本人は既に高い健康保険料を払い、高額の療養費を払わなくて済む社会に住んでいるのですから、それに加えて民間の医療保険に入る必要はないのです。

民間の保険に入ることは趣味

団体定期保険以外の生命保険、医療保険、がん保険は基本的に損ですから、入らない方が良いのですが、入ることによって精神の安定を得られるとか、どうしてもこだわりがあるという場合には、趣味として少額だけはいることもあり得るかもしれません。かくいう私も、がん保険に30年以上入っています。私自身は止めたいので、連れ合いに何回かやめる申し出をしましたが、連れ合いが頑として拒否するので、仕方なく継続しています。私は経費効率から見て止めたいのですが、それよりも家庭内の不和の方が怖いので、続けています。30年前から加入していると、年齢が若いので保険料が安いので、年間1万円くらいの非効率で済みます。1万円を趣味に使ったと割り切っています。なお、私の知人に、がん保険に入ったとたんにがんが見つかり、治療費300万円をもらえたという人がいます。確率的には0.3%でしたので、極めてラッキーでした。非常に低い確率で恩恵を被る人もいますので、人生は何が起こるか分かりません。