若い人へのアドバイス
私は長いサラリーマン人生の間に、資産運用関係の仕事に携わって来ました。その知見をもとに、就職が内定した自分の子供にお金のアドバイスをしました。このブログでは、数回に分けてそれを説明します。
昨日まではアドバイスの前段で、今日から具体的なアドバイスを述べたいと思いますが、昨日も触れたように、円に関する仕事をしていた日本銀行OB、財務省OBの人ほど強く日本の円に対する信認が減少しているようです。その理由は、国債発行残高が膨大になり、既に通常の努力では対応できなくなってしまっているのでないかという不安です。
債務残高の国際比較(GDP比較)
債務残高の対GDP比を見ると、我が国は主要先進国の中で圧倒的に最悪の水準となっています。GDP比では増えていませんが、債務残高は毎年着実に増えています。それが次の図です。
建設国債
青い部分が4条公債残高で、いわゆる建設国債です。第2次大戦後の苦い経験から,国家財政の基本法である財政法(1947公布)において,公債発行を原則として禁止し,財政法4条1項で,例外的に公共事業,出資金および貸付金の財源として国会の議決を経た金額の範囲内で公債(建設公債)を発行したり借入金をすることができます。
増え続ける特例国債
ピンクの部分が特例公債(特例国債)残高です。特例国債とは、建設国債を発行しても、なお歳入が不足すると見込まれる場合には、政府は公共事業費以外の歳出に充てる資金を調達することを目的として、特別の法律によって国債を発行することがあります。通常、これらの国債は「特例国債」と呼ばれますが、その性質から「赤字国債」と呼ばれることもあります。特別の場合にだけ発行できる国債が、今は当たり前のように発行され、それに関して、国会も、マスコミも、経済学者も、国民も、ごく一部の人を除いて危機感を感じなくなってしまっています。危機感を感じているごく一部の国民の中で、最も深刻に受け止めているのが、日本銀行OBと財務省OBではないかと考えています。
ハイパーインフレ
膨大な国債残高の行きつく先は、ハイパーインフレ(ひどいインフレ)だと思います。第2次世界大戦後に日本はハイパーインフレに苦しみました。物価が200倍に跳ね上がったので。しかし、当時の苦しみを覚えている人は、現在非常に少なくなっています。
ドイツのハイパーインフレ
ドイツは過去ハイパーインフレに苦しんだ時代がありました。子供たちが遊んでいるのは紙幣です。
対策は個人でするしかない
現代の日本では、これほどひどいインフレになることは無いでしょうが、ある程度のインフレになることは覚悟して、それに対する予防策を建てなければならないと思います。何しろ、日本銀行の幹部が、インフレタックスの時代になることを発言しているからです。インフレタックスとは、インフレが進めば借金が実質的に減少する半面、現金の価値も減少することによって、個人から政府に実質的資産が移転することです。
長期・分散・低コスト
昭和の後半と平成の時代には、膨大な国債残高への対応策を講じる必要はありませんでしたが、令和の時代は違ってくるでしょう。しかし結論から言えば、対応策は、「長期・分散・低コスト」の投資方法で乗り切るのが一番だと思います。そして、この方法は、もしハイパーインフレにならなくても、最も有力な個人の資産運用方法だと思います。
それでは明日以降、具体的なアドバイスの内容を説明していきます。