投資家の行動を考える7

◎イベントに合わせた投資

東京五輪と投資

ある個人投資家は、「最近、自らが加入する企業型確定拠出年金(DC)の国内株式比率を25%から30%に引き上げた。理由を尋ねると「2020年の東京五輪が近づくと国内景気も盛り上がりそうだから」との答えが返ってきた。」そうです。

この行動は正しいのでしょうか。

噂で買ってニュースで売れ

私の考えは次の通りです。東京オリンピック開催が決定したのは2013年9月7日で、プロの投資家の行動としては、それ以前に東京開催のうわさが出たり、正式に立候補したり、可能性が高まった時点で関連銘柄や国内株式を買い増すだろうと思います。そして、開催決定段階で売ることが合理的行動ではないかと思います。しかし、私は長期投資家ですから、そのようなイベントに振り回されることなく、長い目で投資を積み重ねる方針です。

◎親、会社からの影響

投資方法を親世代に頼れるか

貯蓄、資産形成、運用に関して親世代が十分な知識があれば問題ないが、日本ではバブルが崩壊して以来、多くの人が貯蓄・投資に自身を亡くしてしまったようだ。バブル崩壊以前は、郵便局の定額貯金に預ければ10年に2倍になり、会社の福利厚生で扱う財形貯蓄は5%以上の金利が付いた時代でした。しかし、バブル崩壊後、株式投資は怖いもの、という意識が一般大衆に定着してしまったようです。親の世代は、子供世代に資産形成、運用方法をアドバイスできなくなってしまいました。

銀行預金を選択すれば年金は増えない

日本では、勤めている会社の導入したDC(確定拠出年金)を、どの商品で運用すべきかが分からず、結局9割の従業員は銀行預金を選択する羽目に合ってしまいました。その結果、退職時に「思ったより年金が少ないのはなぜか」と問い合わせる人が企業に押し寄せているそうです。

還暦過ぎでも「つみたてNISA」

私は還暦を過ぎていますが、2018年からつみたてNISAを始めました。その結果、子供世代などにある程度のアドバイスはできるだろうと自負しています。

親の行動を子供は見ている

「親がやっている少額投資非課税制度(NISA)を自分も始めてみたい」という若い世代もいるようです。若い世代は、自分の仕事と生活で忙しいのですから、資産形成の勉強まで手が回らないのが実態です。そこで、親がやっている資産形成方法が良さそうであれば、安心して利用するようになるでしょう。従って、つみたてNISAやiDeCoなどは、50代、60代の人達が使うように、制度の理解を促進するのが、金融庁、厚生労働省が、今、注力すべきことだと思います。

◎若い時から始めた方が運用成績に差が出る

40年後に20倍

もし、今25歳の人が、利回り8%のファンドに100万円を投資すると、40年後の65歳には、2,172万円になります。つまり、20倍以上になるということです。

SPYとニッセイ

利回りが8%というと非現実的な数字に思えるかもしれませんが、世界最大のETFであるSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の過去の実績は10%を超えています。日本最大のファンドである「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は6%程度ですから、この2商品に半分ずつ投資すると8%になります。

複利の威力

利回りが8%だと40年後に20倍以上になるのは複利の効果です。これはエクセルで簡単に計算できます。若い時から投資を始めれば将来的に大きな見返りがあります。還暦を過ぎた私も、20年後に期待してETF、インデックスファンドを利用しています。