バークシャー・ハザウェイの2020年5月の年次株主総会

著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、自分の率いるバークシャー・ハザウェイの年次株主総会を開きました。

コロナウイルスの最中の株主総会なので、例年以上に注目を浴びました。ニューヨーク・タイムスの2020年5月2日の記事を参考に確認します。以下は拙訳です。

バークシャー・ハザウェイは、第1四半期はコロナウイルスの影響を受けて497億ドルの損失

巨額損失は、ウォーレン・E・バフェットの巨大コングロマリットがコロナ危機で被った損害を反映

バフェットでさえ、コロナウイルスの財務上の影響を免れることはできず、彼のコングロマリットは土曜日、第1四半期に497億ドルの損失を報告しました。コロナウイルスの大流行により、大手航空会社や金融機関の株も大量に保有していた投資ポートフォリオは被害を受けました。

この損失はバークシャーにとって過去最大であり、前年同期利益217億ドルから大きく下落しました。このコングロマリットのきわめて多くの投資――そして、長く世界最高の投資家の一人と目されてきたバフェット――は、広範囲で大打撃を受けたアメリカ経済の影響を受けました。第1四半期の全体の投資損失は、営業利益を算入しなければ545億ドルでした。対して、2019年全体の投資利益は563億ドルでした。

4月にも引き続き株式を合計65億ドル売却して、それを基本的に超安全資産の割引短期国債に投資しています。この売却の中には、4大米航空会社のおよそ10パーセントの株式売却も含むと明かしました。

S&P500は第1四半期に20%下落しており、バークシャーの投資は株式市場全体の下落と同じ道をたどったものです。(バークシャーの最大の株式はS&Pの主要銘柄でもあります。:アメリカン・エキスプレス、アップル、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラ、ウェルス・ファーゴで、合計すると1,250億ドルにのぼります。)

損失があるため、6%上昇したバークシャーの営業利益は霞んで見えますが、同社は保険会社ガイコ等、バークシャーが所有・運営する事業の業績の後追いをしています。営業利益は会社の全体業績を測る良い尺度と考えていますが、全体の健全性を理解するに当たって、4半期報告書の投資損益は「無意味なことがよくある」とかねがね言ってきました。

しかし、第1四半期の利益が急落したバンク・オブ・アメリカと、アメリカン・エクスプレスなどの金融機関株式と、4代米国航空会社を含むポートフォリオに対するダメージを、無視することは難しい。(クラフト・ハインツ株式の簿価が時価を40%上回っていることも明らかにし、将来、評価損を計上せざるを得ないかもしれないと、バークシャーも予告しています。)

バーリントン・ノーザン・サンタ・フェ、シーズ・キャンディ等、コングロマリットが全株式を所有するビジネスの中にも、アメリカ経済を揺さぶったロックダウンによって打撃を受けた会社も有ります。それでもなお、ガイコは第1四半期に28%、984百万円の上昇を計上し、一方で、配当収入が増加したために、バークシャーの保険投資全体の利益は少し上昇しました。

第1四半期の結果は、史上初となるオンラインのみの株主総会の前に、リリースされましたが、キャッシュ保有残高は1,373億ドルと報告しました。この総会は、資本家のウッドストックのようなものだ、と言われることもありますが、いつもバフェットとバークシャーのことは何でも称賛する、オマハの週末にかけて行われる華やかな祭典です。

今年は、コロナウイルス危機の期間で、大勢が集まったり旅行することが制限されていることを反映して、明らかに静かな大会でした。バフェット氏の長年のビジネスパートナーで96歳になるチャーリー・マンガーは、ロサンジェルスの自宅にいて出席しませんでした。

「オマハに来てもらうことは、どうしても賢明ではないと思いました。チャーリーは健康で、来年は戻るでしょう。」とバフェットは言いました。

バフェット氏に同席したのは、保険以外の会社について、バークシャー全部を統括する副会長のグレッグ・アベルでした。彼はバフェット氏とは、ある程度離れた別の机についていました。

バフェットを崇拝する裕福な数千の株主に面と向かわず、17,000以上の座席を有するオマハ・アリーナで、ほぼ完全に空席の中、バフェットは延々と語りました。彼は7週間散髪していないとも言いました。彼の話はライブでストリーミングされました。

金融市場の暴落によってFRBが、ドラスティックに新たなキャッシュ注入努力を増やしたことについて説明し、「全面的貸し渋りの瀬戸際まで行った」と話しました。

バークシャーが保有する航空会社の株式に関しては、「私は間違いを犯した、という結論になった」とバフェット氏は言いました。

パンデミックによって旅行が受けるインパクトのために、「航空ビジネスは、大きく変化した、と思う。私が間違っているかもしれず、そして間違ってほしい。」と付け加えました。